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6.黄靜

「ん?前に言ってなかったか?子供好きだって」


「えっと、それは俗世にいた頃、まだ小さかった兄弟達がどうなったかって話じゃない?」


「別に兄弟くらい会いに行けばいいだろ?」


「姉さんみたいにこっちの出身じゃないんだから、そう簡単には無理よ……って前もこの話したじゃない」


「ああ、だから子供に会いたいんだろうと思って、ちょうどいい子供がいたから童僕に貰って来た」


「貰ってって……どういう経緯で?」


「そりゃあ、身寄りのない子供が桃花楼に売り飛ばされそうになってたから、私が引き受けたんだ」


ん~どうやらこの二人の間で微妙な齟齬があるみたいだな。


まず姉さんって言ってたから姉妹かと思ったが、それは違う様だ。話を聞く限り出身が違うし、多分俗世ってのは元々自分がいたような場所で、秦さんの方はこっちって事だから元々聖域出身って感じだろう。


確かに二人の風貌がだいぶ違うもんな。


秦さんの方は髪から顔まで布を巻いて隠しているから細かくは分からないが、目元は中国風の横に大きな目をしている。


対してこの家の肉まん食べてたお姉さんの方は、街中にいた人と同じような丈の長いスカートと前合わせの着物のような上衣の上から更に薄手の羽織のような物をまとっているが、顔つきや体つきは何となく丸いって印象だ。美人ではあるが愛嬌があると言った方がしっくりくるかもしれない。


そんな事を考えていると、いつの間にやら二人から視線を集めていた。


「あなたは本当に身寄りがないのね?」


「はい」


「黄靜が、面倒見れないなら私が預かるからいいぞ?何だかんだ連れて来てからここまで余計な事は言わないし、泣きもしなけりゃ叫びもしない。家の事任せるならこういう方が……」


「待って!姉さんが預かるにしちゃ小さすぎるじゃない。分かった!当面私の方で預かって気質や資質を見るから、それからこの子の行く先を考えましょ?こんな小さい子貰って来たんじゃ放り出すわけにもいかないし、内門(ここ)まで連れてこれたって事は、最低限の霊根はあるんでしょ?」


「ああ、桃花楼の大門を抜けてたからな。それは間違いない」


「そうなの?桃花楼は名前は知ってても行った事は無いから、内情までは知らないのよね~」


「まぁ、女修の行くとこじゃないな。私も尊師のお使いじゃなきゃ行ってなかった。それじゃあ、後は一旦頼む。何かあればいつでも言えばいい。私が貰って来たんだから私が責任を取る」


「全く姉さんは相変わらず忙しないのね。お茶だけでも飲んで行ったら?」


「いや、先に師尊への報告がある」


「報告の前にこっち来ちゃったの?」


「子供を連れて師尊の元へ行けるか?」


「それもそうね。それじゃあ、またね」


そう言うと、秦さんはさっさと出て行き、残された自分は肉まんのお姉さんと向き合う。


「それじゃあ先に自己紹介しましょうね」


「自分は白小青と申します」


「ふーん?ちょっと珍しい姓なのね。私は黄靜よ。黄師姉と呼んでくれればいいわ」


「黄師姉よろしくお願いします」


「ふーん?本当に無口なのね。じゃあとりあえず、あなたのお部屋に案内するわ」


そう言うと、自分の手を掴んで引っ張っていく黄師姉。


どうやら秦さんみたいにずんずんと進んでいくタイプではないようだ。年下の兄弟がいるって話だし、子供の扱いに慣れてるって事なのかな?


しかし、急に来た子供にいきなり部屋をあてがえるなんて、何だかんだ黄師姉はいい身分なのか?だとしたら、落ち着き先としては悪くない?


「はい!ここがあなたのお部屋よ!」


そう言って通されたのは、門のすぐ横手にある横長の家だ。


軽く見まわすと、どうやらこの家は、中庭を囲むように横長の家が、四方に建っている。


屋根や造りの立派さから言って、門から正面が母屋なのか、あるいは中国風のなんとか房みたいな言い方があるのかもしれんが。


そして自分の部屋はと言うと、完全に使用人部屋ですね!分かってました!


元々童僕として貰われてきたんだし、何の文句も無い訳だが、何で一目で使用人部屋と分かったかというと、ズバリ掃除道具がしまってあったから。


中はいくつかに区切られていて、道具部屋に炊事場に建物の横には洗濯物が出来そうなスペースまで完備された使い勝手のよさそうな使用人部屋だ。


更に小部屋がいくつか分かれていて、数人の使用人が共同で生活できるようになっているみたいだが、現在使用者はいないのだろう。全く生活感と言うものがない。


「本当は私も誰か雑役弟子か、侍女を入れた方がいいんだろうけど、あまりそう言うのに馴染みがないのよ。とりあえず出来る事だけでいいからやってみて頂戴。あそこの私の部屋は危ない物もあるから触らなくていいからね!」


やっぱりさっき母屋とあたりを付けた場所は、黄師姉の部屋だったか。


まぁ、いくら何でも今日いきなり来たばかりの童僕に自分の部屋なんて触られたくないのが当たり前か。


使用人を雇うのにも慣れてないなら尚更のこと自分の物には触れてほしくないだろうし。


「じゃあ、ちょっと出かけてくるわね!」


へ?いきなり家を知らない童僕に預けて平気なの?!!

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