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2.あっという間の数年

 はい!只今上空よりお届けしております!


見渡す限りの荒野!そして、全然神秘的じゃない汚い砂漠!所々にオアシスらしきと、遠くに見える山々!すなわち大自然!自分は多分どこかの大陸にいる。


島国育ちの自分からすれば雄大な景色だが、既に飽きた。


「小僧、もう少しだから我慢しろ」


自分の心の声が聞こえたかのようにタイミングよく話しかけてくる女性。


現状の自分はというと、女の人におんぶして貰いながら空飛んでる。しかも飛行機とかじゃない、何か剣に乗って飛んでるのよこの女の人。


まじで意味分からん。


まあ、とりあえずもう少しかかるようなので、神社で意識を失った後の話をざっとまとめる。


気が付いた時には自分はどこかの街角にぶっ倒れていた。


そこがどこか意識する事すらできず、手にはフライドチキンが握られていた。


意味分からない事を言っているのは百も承知なのだが、本当の事なのでこのまま続ける。


そしてその当時は何を考える余裕もなくそのフライドチキンを平らげ、ゆっくり身を起こすと、自分がどこか板塀に寄りかかっている事を理解した。


周囲の家の様子も何か自分が知っているのとは違う。


表現する言葉も無いまま、虚空を見上げてぼんやりしていると、唐突に中年の夫婦が声を掛けてきた。


しかし、何を言っているかもよく分からずそのままぼんやり見つめていると、中年の婦人らしき人に手を引かれたので、そのまま立ち上がる。


するとその夫婦は明らかに自分より身長が圧倒的に高く、巨人の国にでも迷い込んだかと警戒するも、既にがっちりと手を掴まれ逃げる事も出来なかった。


そのまま手を引かれ、どれだけ歩いただろうか?長い階段の前で急に止まり、一体何事が始まるのかと思いきや、階段横のボロ小屋に放り込まれた。


随分乱暴だなと思ったが、いきなり殺されなかっただけでも良しと、少しづつ回復しつつあった判断力をフル回転させて考えた結果、どうやら自分は昔の中国にいるらしい、しかもどこぞの剣派と言うのか?そういう修行場に引き取られたんだろう。


何故中国かと思ったかと言えば、服装がそんな感じだからとしか言えないし、何故剣派と分かったかと言えば、先の夫婦が揃って手に剣を持っていたから多分そうだろうと思っただけだ。


その後、ニコニコとした人好きのするお兄さんが階段の方から降りてきて、何か話しかけてきたが、何言っているかさっぱり分からなかったものの、身振り手振りでどうやら自分はこの階段周辺を掃除する為に拾われてきたんだという事は何となく理解した。


とりあえずそれからは、ボロ小屋にあった箒で落ち葉を集めて、ボロ小屋にあった麻袋に詰めていれば、朝晩玄米粥らしきものと山菜だろうか草の入ったスープで食いつなぐ事は出来た。


時折、弟子らしき連中が数人がかりで自分を囲んで何やら話していたが、本当に一つも何言ってるか分からなかったので、ぼんやりしていたら、どうやらアホだと思われたらしく、痛い目にも何とか合わずに済んだ。


運命の転機は、ある日お腹が空いて近くの森に入った時の事。


割と環境にすぐ適応した自分は、適当にそこいらに生えてるキノコなどを食べてよく飢えをしのいでいたのだが、自分と同じようにそこらで屈んで草やらキノコやら拾っているお爺さんに出くわした。


長い白い髪を束ねて、冠をつけている様から多分士族だろうと思ったのだが、優しげな様子で声を掛けてきたかと思えば、言葉が通じない事をすぐに理解して、自分の手を引いて例の剣派に行って自分を引き取ってくれた。


後にも先にも剣派の門の中に入ったのはそれ一回きりだが、綺麗に石で整地された広場を囲むように大きな建物がぐるっと立ち並ぶ随分と立派なお屋敷は中々に壮観だった。


そして引き取ってもらって以降は、そのお爺さんの家で暮らす事になった。


もうずっと流されっぱなしなんだけど、本当にろくに言葉が分からないとなれば黙って言うこと聞く以外に処世術なんて何にもないのよ。


運のいい事にそのお爺さんは凄く面倒見のいい人で、仕事は多分薬屋さんか、針もやってたからお医者さんだったのかもしれない。


奥さんも子供もいる様子はなく、これまた地味で人当たりのいいお弟子さんか従業員のお兄さんと細々とやってたみたい。


そして、二人ともいい人だったお陰で少しづつ言葉も覚え、庭で育ててる草の水やりやら、掃除やら店番なんかを手伝っていれば、剣派の掃除係よりはもう少しいい食事にありつけるようになった。


時折、回診に行く時には荷物持ちなんかをして少しづつ街の事も理解していったのだが、やはり拾ってくれたお爺さんが良かったのだろう。街の人にもかなり優しくしてもらえたものだ。


詳しい事は全然分からないが、お爺さんはかなり篤志家だったらしく、身分や立場に関わらずだれでも診てあげていたようだ。


そんなこんな数年、どうやら自分は巨人の国に迷い込んだのではなくて、ただ体が子供だという事に気づいた時には、8歳になっていた。


ちなみにこの年齢は多分そのくらいだろうとお爺さんが勝手につけた年齢で、正確な所はやっぱり分からないままだ。


ある日の事いつも通り店番をしていると、明らかに体調の悪そうなお兄さんと随分と露出の多い派手な服のおばさん4人が来店した。


初めて見る人達なので、何かあったらいけないと誰か呼びに行こうとすると、何故かそんな時に限って剣派の人が店に訪ねてきた。


そして剣派の人達が何でか知らないがそのお兄さんに絡んで、おばさん達を馬鹿にし始めたので、やんわり止めに入ったら、いきなり殴られて気絶した。


まじで、剣とかで鍛えてる奴が子供殴るなよ!って後から思ったが、どうにも街の人に優しくされ過ぎて自分の警戒心が甘かったのかもしれない。


気絶から目が覚めると、周囲がやたらと騒がしい。


自分は家のベッドに寝かされていたのだが、目が覚めると同時にお爺さんから銀の入ったお金を渡されて、裏口からこっそり出て行くように言われた。


どうやら、例の体調の悪そうなお兄さんと剣派の人達が殺しあったらしい。いや寧ろお兄さんの方が江湖で、名の知れた殺し屋だったらしく剣派の弟子を数人血祭りにあげたっぽい。


それだけならまだしも原因は自分にあるとかいって、剣派の人達がぶちぎれてるとか……とばっちりもいい所なんだが、どうやら剣派の人達はこの辺の顔役でお爺さんもあからさまにたてつく訳にもいかず、自分を逃がそうとしてくれている。


やむなく財布を懐にしまって、出て行ったのはいいものの、街中の事しか知らない自分が何処へ行ったらいいかも分からず、あてどなくうろつくしかなかった。


ふと、気が付くとかなり治安の悪い地域に入ってしまい、これはまずいとすぐさま大通りに向かおうとしたところで、女の人に声を掛けられた。


それは以前お爺さんが病気を見てあげた遊女と言えば品があるか、まあそういう商売の人で普通なら病気になれば気合で治すか叩き出されるかしかない様な露出の高い服を着てても地味さしか勝たんような女の人だった。


どうやらとっくに自分の事情は街中が知る所らしく、その遊女さんがどこにも行くところが無いなら、いっそ剣派の人に見つからない場所へ連れて行ってくれると手を引いてくれた。


街の奥へ奥へといくと、妙な匂いと靄が立ち込め、いつの間にか温泉場に辿り着いた。


こんな場所が街中にあったのか?と不思議に思っている間もなく、それはもう大きな門の前が目の前にあり、そこをくぐると温泉のにおいに混じって妙に淫靡な香りというのか、日本人でも分かるように言うなら中華風吉原みたいな所に出ていた。


いかに広い街とは言え、こんな大規模に遊郭街建てられるほどか?と、何かもう狐にでも化かされてるんじゃなかろうかとあっけにとられている内に、一件の遊郭に入りそこの女将さんらしき人と、例の遊女さんが話始める。


「この子は恩人が育ててたお子で、親もいなければ行く先もない子なんですけど、童僕として置いてはくれませんかね?」


「桃花楼じゃ、男はどういう扱いになるか分かってて言ってるのかい?」


「ええ、ただこの歳で、頼る辺も無い子ですから」


「ふん、そういう事なら預かるけどね。童僕ならそれなりに可愛がられるだろうし……御門が通れたなら最低限才能はあるんだろうしねぇ……」


と、まあこんな感じで妓楼の下働きとして売られるのかと、それでも野垂れ死ぬよりはましかと、腹をくくった所で、さっきの剣で空飛ぶ変なお姉さんの登場。


財布を丸ごと女将さんに投げ渡して、自分を買ったかと思いきや、剣に乗って空高くい舞い上がり、荒涼とした砂漠の上をひたすら飛んでる。


凄く簡潔にまとめたようで、実際言葉も何も分からない状態で、日々手探りで適応するだけの毎日にこれと言った感想も無い。


強いて言いたい事は一つだけ。


何で急に皆して日本語使い始めたんだ?この剣に乗ってるお姉さんとか、妓楼の女将さんとか完全に日本語なんだけど!


後あの遊女も街にいる時はいつの時代だかも分からん中国語風の言葉喋ってたよね?さっき急に日本語喋るじゃん!

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