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17.術って想定してたよりずっと簡単なんだが?

「くっくっく!大人しく引き下がるなら今の内だぞ!まぁ子供の言う事だし、ちゃんと謝れば許してやらん事もない」


「……じゃあ、謝ってどっかに立ち去ろうかな」


「なんだと!どういう事だ小僧!何か作るって言ったじゃないか!」


「いやだって、辛くなければいいみたいな事言っておいて、後からハードル上げてきたのそっちじゃん?別に自分は作らないなら作らないでも構わないんだけども?」


何だかんだと、頭を離して貰い余裕が出たのでちょいと意地悪したら真に受けたのか、髭もじゃのおっさんが目を向いて迫ってくる。


「く、くそぉ俺の心を弄びやがって!やっとなんかまともな飯にありつけると思ったのに、なんて酷い小僧なんだ!」


目を向いたと思ったら、ギョロッとした両目から涙があふれだした。


いや、ちょっと情緒不安定すぎるだろ。


「なあ小僧?そういうのちょっと良くないぞ?」


いつの間にやら剣をしまったお姉さん?楊さんだったかに窘められるが、そこまで悪い事したか?


「さっきまで暴れてたのこのおじさんじゃん」


「俺は暴れてねぇ!文句言っただけだ!」


「そうだそうだ!」

「小僧!お前人の心はないのか!」

「おっさんが可哀そうだぞ!」


いつの間にやら周囲の野次馬は髭もじゃのおっさんの仲間になっている。いや、しかし自分は頭掴まれてたのに、何もしてないってのは通らないだろう。


しかし、この状況どうにも多勢に無勢だし、いきなり聴衆を味方にできる程の話術も当然ながら自分にはない。……あれ?話術?


〔【話術】なんて術は俺には教えられないぞ〕


クソ!なんかうまい事言いくるめてこの場を逃げられるかと思ったのに、そんな世の中甘くはないか。


何とか逃げる方法は無いかと思案していると、いつの間にやらすぐ横に来ていた仮面のお兄さんに服の襟を掴まれ、吊るされたまま店の奥へと連れ込まれた。


「すまんな君、何分にも未熟なものでね」


「い、いえ」


「君は?」


「え?白です。白小青」


「白?不思議と知っているような名だな」


え?そうなの?自分はそんな仮面した人なんか知らないよ?


「すみません。あ、あのお名前は?」


「沙。ご覧の通りこの店の店主だ」


何か変な言い回しをする人だななんて思っていたら、沙さんの目を見て目的を思い出した。


兎にも角にも辛くない料理を作らねばなるまい。


既に例の感電みたいなやつで、自分の中には【厨術】の記憶が入っている筈だし、思い出してみる。


うーーーーーーーーーーん、何が何だか分かんないな


〔情報量が多すぎるんだ。とりあえず今ある材料を眺めてみれば自然と作れるものが分かるはずだぞ〕


そう言われたので、店の奥の厨房を覗くと、何か見慣れた雰囲気の緑の葉っぱがある。


「あれって韮ですか?」


「分かるか?」


更に、その横には卵が籠に入っているのも見える。


「あれは、卵ですか?」


「当たり前だ」


何か英語の教科書みたいになっちゃったけど、卵と韮があるならニラタマじゃないの?


思い浮かぶと同時に頭に電流が走り、ニラタマの作り方で頭がいっぱいになる。


「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」


なんかむやみやたらと上がるテンションに任せて、竈の前に立つと大きな中華鍋をセットして、竈の下の引き出しを開ける。


そこに霊石をぶち込んで……霊石はどこだ?


と思うや否や、仮面のお兄さんもとい沙さんが銀の葉っぱを詰め込む。


「お手並みは拝見させていただく」


よく分からないが、とりあえず衝動に任せて真気を葉っぱに送って、引き出しを戻すとあっという間に竈に大火力の炎が灯った。


そこにまずはほぐした卵を流し込み半熟になるまでくるくる鍋を回す。


例えが悪いが、まるでダイアモンドコーティングの鍋の様にスルスル動くのが面白い。


ある程度の所で、一旦皿に出して今度は韮を切る。


すると、沙さんが包丁を差し出してきたので、右手で受け取り真気を流すと、包丁が鈍く怪しい光を放つ。


そのまま、韮を適当に刻み、軽く炒めて卵と合わせる。


「行くぞ!」


え?どこに?と思ったが早いか途中で沙さんが調味料とばかりに何かのスープと醤油を横から流し込んできた。


そのまま軽く炒めていくと、あっという間に完成したニラタマだ。


何か拍子抜けするほど簡単に、かつ凄くおいしそうな出来栄えに、自分が何かやらかしたんじゃないかと疑ってしまう。


〔はじめてにしては悪くないんじゃないか?〕


そういうものかね?訳分かんないくらい簡単だったけども。


〔何度も言うが聖域は俗世の上位領域だ。基本的に霊力さえあれば何でもできる〕


いや、でも沙さんとか辛いもの以外作れなかったじゃん?


〔そりゃ、修行の内容とかやり方次第さ〕


何でも出来るって言ってみたり、修行次第だったりよく分からないが、正直なところ今は自分が作ったニラタマに目が釘付けだ。


何でか分からない、ただの炒めた韮と卵なのに異様においしそうな気配が漂ってくる。


無意識に更に手が伸びると、サッと沙さんが皿事攫っていった。


「戦いは非情さ。それ位の事は考えてある」


いや何?戦いって!自分がつまみ食いしそうなことがばれてたにしても、戦うつもりはないよ!

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