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16.街中で剣抜くとか、やりすぎじゃん?

「俺の邪魔をしようとはいい度胸だな?」


「いや、何にもしてない!」


突然髭もじゃのおっさんに絡まれたと思ったら、何を邪魔したってのさ?


よくよく周囲を見れば、どの席も食事をしていたであろう料理や皿はそのままなのに、人々は席を離れて、髭もじゃのおっさんと、店員さんらしき小柄の女の子だけが、その場に立っている。


っていうか、その周囲を遠目にぐるっと人だかりが囲ってるんだけど、こんなに目立って恥ずかしくないのか?


自分はちょっと身の置き場がないんだけども。


「ああん?じゃあ何で割って入った!」


どういう事か?と思ったが、確かに立ち位置的には、店員さんと髭もじゃのおっさんの間に立っているかも?


いやいやいやいや!押し出されただけ!あっちの野次馬が自分の事を跳ね飛ばしただけだから!やめて!そういう言いがかり!


「いいぞ小僧!そんなおっさんやっちまえ!」

「そうだそうだ!皆の飯の邪魔をしたんだ!ビシッと一言あるだろう」

「そんな女の子をいじめるような奴は懲らしめてやらなきゃ!」


すぐさま言い訳をしようとすると、野次馬共がそりゃあもう五月蠅い!お前らがやれよ!


いやいや、兎にも角にもこの場から逃げなきゃ。文句はそれはもう山ほどあるけど、そんなこと考えてる場合じゃない。


「オウオウ、やるじゃないか小僧」


そんなこと考えてる場合じゃないとか何とか考えてたら、更に場を混乱させるような女の人の声が聞こえてきた。


まじで、嫌な予感しかしないと思って、声のする方を見ればこれまた随分とスラッとしたシルエットの美人がいる。


平時なら、その容姿の寸評もしようものだが今は緊急時、しかも大きな問題点としてその女の人は既に剣を抜き身で構えていやがる!


アホか!いきなり刃傷沙汰でも起こす気かよ!


「おい、あんた!ここいらじゃ見ない顔だけど、何だい?風塵宗で揉め事起こすとは腕に自信ありかい?」


抜き身の剣の剣先を髭もじゃのおっさんに向けて、完全に挑発してますとばかりに語り始める。


「おお!楊師姉だ!」

「キターーーーーー!外門随一の美女!」

「姉さーーんこっち視線お願いします!」

「いや、拙者は楊氏よりも……」


なんかヲタク共が一気にヒートアップしたぞ?って言うかこの世界にもヲタクっているのか?いや、自分には分かるあいつら絶対ヲタクだ!


前の世界でヲタク道を生きてきた自分の感性がそう言うんだから間違いない。


ああ、くそ!髭もじゃのおっさんが自分の頭を押さえる力が強くなった。


「ちぃ……俺はただなんか辛くない物は作れないのか?って聞いただけだぞ?」


「ふーん?本当かね?」


「嘘だー!そのおっさんは樂樂に無理言ってメニューにない物作って出せって迫ったんだ!」

「な!樂樂はただの給仕なのにひでーおっさんだぜ!」

「樂樂はただおっさんでも食べられそうな物を薦めてただけだ」


「うるせぇ!俺は辛い物は食えないんだよ!そうなるとこの宗じゃ毎日ワンタンか包子になるだろうが!」


「辛い物が嫌いな人がいて?」


火に油を注ぐというのはこういう事を言うのか、給仕の女の子が余計な事を言うと、おっさんの手に更に力が入る。


って言うかこの給仕の女の子余裕って言うか、妙な大物感があるな。なんて言うか全てを見透かしたような目をしている。


「嫌いじゃなくて食えないんだっての!」


「気に入らないなら、さっさと風塵宗(うち)を出て行きゃいいじゃないか?」


お姉さんの言う事はごもっともだが、自分の状態もかえりみてほしい。このままいくと頭が割れるっての!


「がーーー!俺だってそうしたいけどな!捌くもん捌かなきゃ、どうやって他所へ行けってんだよ!何ならこんな辺境までわざわざ霊石売りに来てやってんだぞ?お前ら今後霊石なしで生活すんのか!」


おっさんが叫んだ瞬間に、さっきまでやいのやいのと叫んでた連中が急に大人しくなる。


しかも、さっきまで威勢の良かったお姉さんまで、剣先がちょっと下向いちゃってんじゃん?いや、助かるけどさ。


「おら、さっきまでの威勢はどうした?」


霊石が何なのかは分からんけど、どうやら随分と重要な物らしい。


野次馬共が小さな声で左右と話している様子は見られるものの、この状況をどうにかする事は出来ないらみたいだ。まじで碌なもんじゃない。


「何でもいいから、辛くないもん作ってこい!金払わないなんて言ってないんだからよ!」


髭もじゃのおっさんは自分の優勢を悟ったのか、更に言い募る。


「お客様は無理難題をおっしゃる」


また新しい声が聞こえたと思ったら、店の奥から顔の上半分に仮面をつけた随分と若いお兄さんが現れた。


何で料理屋で仮面してるのかは知らんけども、もっと早く出てきてくれても良かったんじゃないか?


「何だと!」


「若者をいじめないでいただきたい」


「クソがーーーーーーー!」


いや、唐辛子でもなんでも抜けばいいじゃん。


〔そういう訳にはいかん。【厨術】で特殊な処理をして作ってる以上、全てにバランスってものがあるし、流派によっちゃそういう事もある〕


うん、教えてくれるのはありがたいけど、先ずはこの状態から抜け出す方法を教えてもらいたいね。


〔修行が進めばどうという事は無いが、それまではまず絡まれないように気を付ける事だな〕


なんつう薄情な!見捨てる気かよ!


〔冗談だっての。お前にも【厨術】を授けたんだから何でも作ればいいじゃんかよ〕


あっ!その手があった。


「自分が何か作りましょうか?」


「ああん?お前みたいな子供が【厨術】を使えるってか?馬鹿いってんじゃねぇぞ!もし、まずかったらその頭かち割るからな!」


いやいや、そこまで?辛くなきゃ何でもいいみたいな事言っておいて、一気にハードル上げるじゃん!

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