11.愚痴とか言ってみる
一先ず黄師姉の師匠の事については今後自分がそれとなく訪ねて面倒を見るという事で話がまとまったので、このまま午前中は黄師姉は修行、自分は掃除という事になった。
ここで、朝飯は食わんのかね?とか思う所なのだが、不思議と昨日肉まんを食べてからお腹が空かない気がする。
〔そりゃあ、気を導入して体質が変わり始めてるからさ〕
一人になると現れるシステムさんが話しかけてきたので、掃除がてら話し相手になってもらおうか。
「体質が変わるってのはどういう事?」
〔どういうって言われると、全部説明したらまた嫌がるだろ?〕
「かいつまんで欲しいね」
〔簡単に言うと不浄の物が出にくくなるし、修行が進めば木の実でも食ってれば十分満たされるようになる〕
「そういう欲みたいなのが薄れていくのも修行の成果なんだ?」
〔一面としてはそうかもな〕
なんとも歯切れの悪い回答だが、多分修行ってのも具体的な部分と抽象的な部分があるのだろう。納得はしてないが、一旦納めて消化するしかあるまい。
「それにしてもさ、これから修行するしかないってのは分かってるんだけど、いきなり専門用語多すぎない?修行してる人達は皆どこで習うのさ?」
〔ああ、それな?俺も面倒だとは思うが、慣れだよな。誰であれ誰かに弟子入りして修行するのが基本な訳だから、師匠の使う言葉を真に受ける訳だ。その師匠もまたその師匠の言葉を使ってる訳だ〕
「つまり、誰かが何となく利便的に使った言葉を慣習的に使ってるって訳か」
〔そんな所だな。だから最近の言葉だと俺も分からない事があるかもしれないぜ〕
「若造よりはモノは知ってても、新しい言葉やなんかは弱いのか」
〔可能性としてはそういう事もある〕
「じゃあ、あの築基ってのは何さ」
〔ああ、あれは修行の段階だと思えばいい、お前が凝気期だろ?その一個上だ〕
「へ~じゃあ、言う程大したこともないのか」
〔いや~?筑基に至った以上、相当な使い手だぞ?大抵の連中は凝気期で一生を終えちまうんだからさ〕
「そうなん?じゃあ、筑基したら神になるのには先が見えるんだ?」
〔全然無理だな。次は結丹だし、その次は金丹だろ?そこから元嬰に……〕
「無理じゃん、神になれとか無理ゲーじゃん!」
〔そりゃあ、神に簡単になれる訳ないじゃないか?〕
「なんかさ~異世界来たんだから、チートとかないの?無理言われてる気しかしないんだけど」
〔ついこの間まで、運命を受け入れてたかと思いきや、チートとか言いやがってな!そんなのちょっとしかないっての〕
「ちょっとあるのかよ!口から出まかせでキレてみたら、ちょっとチートあるとか何その微妙なの!」
〔うるせーな!事実は小説より現実なんだよ!無から有を生み出せないように、チートにも理由や限界があるだっての!何もなしにいきなり神になれるようなチートがあるとしたら誰がどうやって何の目的で作るってんだよ!〕
「いや、それは知らんけどもさ。自分のチートくらい教えてくれてもいいじゃん!出来るだけ有効活用するし!それで神になれればシステムの目的にも合うんでしょ?」
〔そりゃな?まぁ、元々隠す気もなかったし説明しておくか!まずお前は毒無効っていうか、毒吸収体質だ。とはいえ、一定以上の猛毒だとさすがに死ぬ〕
「微妙……毒なら何でもいけんのかと思いきや、一定以上だと死ぬとか微妙」
〔微妙、微妙いうけどな。そうそう無理だぞ?煉虚期の連中でもお前を毒殺するのはまず無理だ〕
「また知らん単語出ちゃったんだけども、口ぶりから察するに、相当な毒でも大丈夫?」
〔本当によっぽどじゃなきゃ大丈夫だ。寧ろ毒を飲むほど体が強くなるし、修行も進む〕
「毒吸収体質だからって事?体が強くなって修行も進むって?」
〔ああ、お前がこれから霊力を貯めて修為が進めば当然ながらそれに見合った肉体に変化していくわけだが、逆にその高い能力を持った肉体を維持するのには、より多くの霊力が必要になる〕
「ああ、だからその肉体のスペックそのものが、高ければ霊力の吸収も進むし、仮に霊力が減っても元々別要因で上がった肉体だから、維持が楽になる」
〔そんな所だな。他にも魔気を吸収する事でも肉体が強くなる〕
「また専門用語じゃん!」
〔いや、これはそんな難しく無いだろ?〕
「魔の霊気的なやつ?」
〔分かってんじゃないか!〕
「そのまんまじゃん!」
〔そりゃ言葉ってのは基本そのまんまを表すものなんだから、専門用語だとか変に隔たりを持たなけりゃ結局意味はついてくるんだって〕
「じゃあ、筑基の意味は?」
〔この世界に慣れれば、自然と分かる〕
「慣れかよ!って言ってもしょうがないのか」
〔どうした急に?〕
「いや、どうせ帰れないし、この世界に慣れるしかないのは当たり前かと思ってさ」
〔そりゃそうだな。出来る限りは何でも説明するからいつでも頼ればいいさ。あともう一個あってだな〕
「え?何?」
〔とりあえず、目に真気を集めてみろ〕
「集めてみろじゃないねん!確かに真気とか言うのも前にちらっと聞いた気がするけどさ、何それ?」
〔ああ、そうか……じゃあ、まずは腹の底にある霊力をだな……〕
真気講座が始まってしまったが、掃除全然進んでないんだよなぁ。黄師姉に怒られないか?




