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月奏の調律師 〜無音の旋律は恋を知らない〜  作者: 寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
さよなら、私の愛しい人。この旋律が、永遠の愛の証明
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都市の旋律、三つの愛

ルナが「Here Today」の旋律で世界の「音」に答えた瞬間、魔力塔の周囲に渦巻いていた無数の譜面は、疑念を捨て、輝き始めた。それは、ルナへの絶対的な信頼と、彼女の愛が、世界の心を救った証だった。


だが、安堵もつかの間、足元から地響きが轟いた。空に浮かぶ都市リュミナ・ヴェールそのものが、激しく揺れ始めたのだ。


「しまった……! ヴァレリオの魔術は、世界の調律を妨害するだけじゃなかった。都市の根幹にある『自律譜面』そのものを歪ませていたんだ!」


カイルが、観測器の数値を見ながら叫んだ。都市の譜面は、ヴァレリオの魔力汚染と、ルナの壮大な調律の干渉によって、自己を修復する力を失い、暴走を始めていた。街の建物が崩れ、人々が悲鳴を上げる。


「ルナ、君が世界の指揮者になるんだ。都市そのものを調律して、崩壊を止めるんだ!」


ノアの言葉に、ルナは力強く頷く。彼女は、もはや恐怖も迷いもなかった。家族を失った悲しみ、ヴァレリオの絶望、そしてノアとカイルから受け取った愛。そのすべてが、彼女の「無音の譜面」を、真の**「覚醒の譜面」**へと進化させていた。


ルナは、自身の調律結晶ハーモナイトを掲げ、都市の空へと向かって静かに舞い上がる。彼女の周りには、金と銀、そして緑の光が渦巻き、壮大な光の譜面となって広がっていく。それは、彼女の心が奏でる、壮大な交響曲の序曲だった。


「ノア、カイル……私の『音』を、世界に響かせて!」


ルナの呼びかけに、ノアとカイルはそれぞれの役割を果たす。ノアは、自身の無音の譜面をルナの譜面に重ね、彼女の魔力と心を完全に安定させる「共鳴者」となった。それは、彼がルナの存在を心から愛し、守りたいと願う、彼だけの「音」だった。


「ルナの調律は、俺が守る!」


カイルは、魔力塔の魔力系統を最大限に調整し、ルナの魔力がスムーズに流れるように手助けする。彼は、ルナの才能を最大限に引き出す、最高の「副指揮者」として、彼女の隣に立つことを決意していた。


ルナは、二人の愛に支えられ、心の中で一つの旋律を思い浮かべた。


The Associationの**「Cherish」**。


その曲は、愛する人を大切にすること、そして愛によって全てが満たされることを歌っている。その旋律が、都市の暴走する譜面に触れると、魔法のように美しいハーモニーを奏で始める。


都市の建物が、ルナの「Cherish」の旋律に合わせて、元の形を取り戻していく。崩れかかっていた魔力塔が修復され、人々は、ルナの奏でる旋律に耳を傾け、安堵の涙を流していた。


ルナは、ノアの愛とカイルの決意に支えられ、都市の「音」を完璧に調律した。彼女は、世界の調律師として、そして指揮者として、真の力を手に入れたのだった。


物語は、いよいよフィナーレへ。最終話まで、あと2エピソードです。ご希望があれば、お気軽にお申し付けください。

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