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僕は自分の世界で無双する  作者: ウエンズディー・S・水田
行って帰りし物語りセカンドシーズン

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13/13

僕は修羅場に巻き込まれた

今回はかなりR15な内容です。

 柔らかくて暖かい春の朝日が部屋に差し込んでいる。

 僕はモフモフの大きな毛布を頭からかぶって日差しを避けながらウトウトしていた。

 クッションの効いた寝床が気持ちいい。

 けど、ここは何処だ? 自分の家じゃ無い。

 僕はもぞもぞと体を起こした。

 気が付くと僕は一人、知らない部屋で寝ていた。寝床は大きなベッド。シンプルだかしっかりとした作りだ。毛布もマットレスも上等な物を使っている。寝心地が良いわけだ。

 部屋は飾り気がなくベッドの横に衣装ケースがある程度でガランとしている。普段は使われていないのだろうか。


 なんだか頭がぼうっとしている。そう言えば……。僕は次第に昨晩の事を思い出してきた。


 この世界は何年過ごしても年齢が変わらない。年齢が増える設定を入れていないからだ。

 僕も美崎もいつまで経っても見た目も年齢も学生のまま。

 けれど記憶は積み上げられる。

 本当ならば僕達は二十歳はたちになっている筈だった。


「二十歳のお祝いしようよ」

 僕は美崎にどうかなって相談してみた。思いつきではあるけれど。

「うーん二十歳ね。全然実感わかないけどやっても良いかもね。実感わくかもしれないしね」

 そんな事で僕達はお祝いをかねて、お酒も飲んでみようと言うことになった。

 美崎が僕達のためのお酒を開発した。

 完成したお酒。その名も、

 『甘酒おとそ』

 お酒を飲んだことが無くても、あんしんして飲める渾身の逸品だそうだ。


 そしてついに昨晩、僕達は、僕達の事を慕ってくれているスペシャルキャラ達と二十歳のお祝いをしたんだった。

 集まったスペシャルキャラはだいたいが軍の兵団長達。戦い以外の時はみんなとても気の良いキャラだ。お祝いの席にピッタリ。こうして集まって見るとほとんど女性キャラだな。美崎が作ったからなのかな。

 そんな彼女達は元の世界のお酒を模したお酒。僕と美崎は甘酒おとそ。インフィニティはジュースで乾杯した。


 甘酒おとそ。まるで甘酒とおとそを絶妙な配合でブレンドしたかの様な味わい。おいしい。

 飲んでるととても愉快な気分になって、頭がぽわんとする。

 ワイワイ賑やかな中、美崎が声をかけてきた。

「フィニットちゃんが眠たそう。わたし先にフィニットちゃんと寝るね。ハル、飲み過ぎないでね」

「うん。わかった」

 そして美崎とわが子は僕とわかれて、僕達の家にファストトラベルしたのだった。


 もうちょっとしたらこのパーティを終わりにしようよ。でも……。もう少しだけ。ゴクゴク。 

 その後の記憶が曖昧だ。飲み過ぎたのかも。

 何となく誰かに抱きかかえられて、ベッドに寝かされたような気がしなくもない。


 そして今に至る。


 そんな僕が知らない部屋を見回していたその時、ドアがバンと開いて大柄な女性が入ってきた。僕を見ると「おぅ。ハル様お目覚めじゃないか」と嬉しそうに近づいてくる。

 彼女は重装兵団長のグラビス。狼をモチーフに僕達がデザインしたスペシャルキャラだ。

 赤みを帯びたまん丸な瞳。頭の上には尖った耳。腰まで届くシャギシャギした赤髪。

 嬉しそうにいている時の彼女の表情は普段と違って犬の様に可愛らしい。

 そして今の彼女の姿。普段は重厚な鎧で身を包んでいるが、今は鎧を脱いでいる………。

 って……。鎧を脱いでも重厚だ。特に胸が……。

 彼女の服装だけど………。これってビキニスタイル!? 黒の。

「あの。グラビス。その格好だけど」

 僕は彼女の胸から目が離せない。

「ああこれか。ビキニだ。色は黒な」

 分かりすぎることを屈託無く言う。

「なあ、これどうだ?」

 そう言うと髪をかき分けてポーズを決める。

「ハル様のために着てきたんだぞ。気に入ってくれたか?」

 破壊的なボディが目の前にさらされ、僕は目のやりばに困ってしまう。

「ハハハ気に入ってくれたんだな。そんな事よりハル様。服を着たままじゃないか。着替えなくては。おれが手伝おう」

 そう言って重厚な体をグイグイと寄せ、僕のももに手を置くと、胸元に鼻を寄せてクンクン。

「ハァー。この匂い……。たまらない……。ハァハァ」

 グラビスがトロンした表情になる。

「ハル様。ハァハァ。下着も……替えないとな。ハァハァ」

 グラビスは目をギラつかせて、呼吸も荒く僕の服に手をかけてくる。

「ちょっと。グラビス。グラビスさん。あの、僕、自分で出来るから。て言うか、着替えの服どこなの?」

「そこのケースにでも入ってるんじゃないか。ハハァハァ」

「そんな都合良く入ってるかな。確かめないと」

 僕はこのおかしくなりかけている雰囲気をどうにかしようとしたが、出来なかった。

「そんなの後でもいいだろう。さあ脱ごうぜ。二人で二十歳おとなの時間を楽しもう」

 グラビスは僕の襟元のボタンを外しにかかる。

 やっぱり僕はまだ子供でいい。大人は早すぎる。

 このままでは僕は、僕はすっ裸にひんむかれてしまう。

 そして僕は今までの僕じゃなくなってしまうんだ……。ごめん。ごめん美崎……。


 とその時ドアがバンと開いて、女性が入ってきた。

「ハル様。起きてるっ? お着替えしょ。ボクが手伝ってあげ…………」

 現れたのは、軽装兵団長のレビス。ネコ科の動物をモチーフに僕達がデザインした、これもスペシャルキャラだ。

 銀色のショートヘア。青い瞳。頭には尖った猫の耳。

 スラリとした柔軟な身体は体操選手のよう。

 そんな彼女は今、片手を頭の後に乗せて脇を大きく開き、もう片手を腰に当てて腰を突き出すポーズを決めたまま、驚いて固まっている。

 そしてレビスの服装は……。服装は、って、これ服じゃないだろう。

 ピチピチの水着だ。黒いワンピースタイプの。しかも布地が極限まで少ない。

 シャギシャギとした鋭い切れ込みがボディラインを際立たせている。

 背中、脇、ウエスト、さらけ出しの地肌はデザインの一部だ。腰に細い布が走ってその下はまたがら空き。女性らしいスラリとしたレッグラインの強調具合が破壊的だ。魅せる水着と言うか、見せすぎだ。

 ウオータースライダー厳禁。一度脱いだら、こんがらがった布きれと化して、どう着ていいんだか分からなくなるような代物だ。


 レビスはグラビスを見て一瞬固まると、

「ちょっと待ったぁ。グラビス。あんた何やってんのよ」と、鋭く叫んだ。

 瞬く間に僕の目の前で二人の言い合いが始まった。

「ハル様の着替えを手伝ってるんだ。見りゃ分かるだろ」

 そう言う風には見えないと僕は思うんだけと……。

「何だって! ハル様のお世話はボクの役目だ! てか、あんた、そのはしたない格好。ハル様に変なことするつもりでしょう」

 レビスが言うとグラビスが応戦する。

「どっちの台詞だ。はしたないのはお前の方だろう。何だその格好は」

「何だっていいでしょ。とにかくボクがハル様のお着替えをするの。あんたは引っ込んでて」

 レビスはシュタッと素早く僕の横に立つと、僕の襟首を片手でつかんだ。

「いや、着替えさせるのはおれだ」

 グラビスは反対側から僕の襟首をつかんだ。

「ボクだ」「おれだ」

 襟首が左右から引っ張られる。

 ギュギュギュー

 このままでは、服が真ん中から裂けてしまう。

「ボクだ」「おれだ」

 ギュギュギュギュギュギューー

 修羅場だ。これは修羅場だ。


 その時、僕の背中でもぞもぞと人が動く気配。すると毛布の中から小柄な女性が現れた。

「ふみゅー。うるさいアルよ。どうしたアルか?」

 現れたのは隠密兵団長のシレン。イタチ科の動物をモチーフに僕達がデザインしたスペシャルキャラ。ロングの艶やかな黒髪に黒い瞳。頭に乗ったまあるい耳が可愛らしい。

 そして今の彼女、胸元を毛布で隠してるけと、肩が丸出し。

 これって裸じゃないよね。


 ………………。場の空気が凍り付く。


「ふみゅーーー。わたし寝不足アルよ。ハル様と一晩共にして眠れなかったアルよ」

 修羅場レベルが上昇の予感……。


 その時、世界が止まりオプションモードに切りかわった。ベッドの横に美崎がニコニコと笑顔で立っている。

 ニコニコ

「ねえハル。あなた昨夜は家には帰らず、こんなとこで何してたのかな。わたしずっとあなたの帰りを待ってたのよ」

 ニコニコニコニコ


 修羅場。修羅場だ……。

 

 僕の冒険はここで終わった……。


 GAME OVER

甘酒おとそはアルコール度数0.0001%未満。決して0ではないので、要注意です。

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