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絶対に読まないでください

作者: あやかぜ

※お願いです。この物語は、絶対に読まないでください。

あなたの心を侵します。

読めば、戻れません。

これは警告です。どうかページを閉じてください。


 


……まだ読んでいますね。

なぜですか?

怖いもの見たさ?

ただの好奇心?

それとも、自分だけは大丈夫だと信じていますか?


 


いいでしょう。

ならば、忠告はしました。

責任は負いません。


 


この物語には“名前”が出てきます。

その名前を知った者は、なぜか誰かに話したくなります。

無意識に、無自覚に。まるでウイルスのように。


 


そして“それ”を口にした瞬間、

あなたの「日常」は、静かに消えていきます。


 


それでも読みますか?


 


 



 


彼女の名前は、シノハラ クミ。


ごく普通の人間でした。

朝は電車に揺られ、昼はコンビニでサラダチキン、夜は小さなワンルームで静かに眠る。

そんな、誰でもない誰か。


 


でも、ある日彼女はこの物語を読みました。

「絶対に読まないでください」というタイトルにもかかわらず。


 


その後、彼女はこう言ったそうです。


「ねえ、ちょっと読んでみてよ。

最後、ほんとにヤバいから」


 


その言葉を境に、

彼女の記録が消えていきました。


 


家族は「そんな子、いません」と言い、

友人は「いたような気もするけど……名前が思い出せない」と首をかしげた。

SNSのアカウントは消え、写真の顔はぼやけ、

ついには名前すら“ノイズ”になった。


 


でもひとつだけ、残っていました。

──彼女が最期に書き残した“感想”です。


「この話、マジでヤバい。

でも一番怖いのは……

私の名前、“シノハラ クミ”じゃなかったはず、ってとこ」


 


そう。

彼女は、読んでいるうちに“名前を上書きされた”のです。


 


 



 


ここまで読んだあなたへ。


あなたの名前は、本当にあなたのままですか?


スマホのメモ帳、履歴、SNSアイコン……

一度、確認してみてください。


 


違和感がなければ、まだ間に合います。


 


ただし。


もしあなたの中に、「シノハラ クミ」という名前が引っかかって離れないのなら──

それはもう、始まっています。


 


あなたの存在は、

少しずつ、周囲の記憶から削られていきます。


誰かの写真に写らなくなり、

誰かの会話に登場しなくなり、

あなたという人間が、**“この物語に吸収される”**のです。


 


 


でも、たった一つだけ、助かる方法があります。


 


この物語に“感想”を残してください。


「怖かった」でも「意味不明だった」でも「ヤバすぎ」でもいい。

あなたが“読み手であった証拠”を刻むのです。

それが、あなただけの脱出コードです。


 


感想を残した者は、読み手であり続けられる。

書かなかった者は、静かに登場人物へと書き換えられる。


 


さあ、あなたはどうしますか?


 


 


──あなたが、次の「シノハラ クミ」にならないことを祈っています。


 


──完。


感想を‥おね‥が‥‥

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