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藤井遥香、山崎愛子

　...このサイクルを何回繰り返したかは数え切れない。

　これが最初の繰り返しかどうかは断言できない。しかし、いずれにせよ、この苦しみや悲惨さを何も知らなかった頃のことを反映しているので、とにかくここから始めるのが適切だ。

　あの世界での私の名前は「藤井遥香」だった。あの頃の私はとても幸せで活発で、これから起こる人生が大惨事になることをまったく予想していなかった。

　率直に言って、もし高次の存在が可能な限り残酷にしようとしているなら、このシナリオで死ぬのは私だと思われるだろう。

　私の愛は「山崎愛子」だった。多くの才能を持ちながら、それを世間に見せることをためらう、あるいは恐れている孤高の人。

　餌に食いつく魚のように、私はすぐに彼女に興味を持った。

「山崎さん、一緒にランチしませんか？」

「特にないけど…他に遊ぶ友達はいないの？」

「あ、でもできるだけ新しい友達を作りたい…山崎さんが友達になってくれないかと思って…」

「…ごめん、相性が合うか分からない…」

　彼女は私たち二人を守りたいと強く思っていた。でも結局、私はしつこすぎたし、甘すぎた。

「大丈夫！とりあえず一週間友達になってみて、そこからどうなるか見てみよう！」

「あ…あなたが受け入れてくれるなら…」

　圧倒的なポジティブさに、山崎さんも屈服した。

　自分を閉ざす考え方から抜け出すのはゆっくりとしたプロセスだった。不安やコミュニケーション障害があるわけではなく、むしろ表面的なつながりを作ることに意味がないと思っていたのだ。

「学校よりも大事なことに目が向いているみたいで…でも、みんなが幸せな学校生活を送る権利があると思う」

　それが山崎の友達になろうとする私の心構えだった。彼女のような人が、他の生徒と一緒に笑って笑える人に成長してほしいという思いに他ならない。あの頃の私は本当にバカな子供だった。

　しかし、徐々に状況は変わり始めた。

　彼女の視線は、隣の席の窓から教室の前へと向いた。

　彼女は私が所属していた料理クラブに参加し、ジャンクフードとして無視していたお菓子作りに励み始めた。

　一緒に出かける時だけでなく、授業中も笑顔を見せてくれるようになった。

　私たちが言うバカな言葉に彼女は笑い始めた。

　夏休みを迎える頃には、間違いなく彼女を親友と呼べるようになった。

　…彼女が僕に惚れていることには気づかなかったし、僕と一緒にいられるのはあと数ヶ月しかないと知って、それが彼女にどれほどの苦痛を与えたかも知らなかった。

「あぁ、今夜は虫がいっぱいいるよ…明日は絶対たくさん刺されるよ。」

「夏にお月見に誘ってくれたのに虫除けスプレーも持ってこなかったなんて…藤ちゃんはいつも不器用だね。ほら、僕のを貸してあげるよ。」

「あぁ～、いつも頼りになるね、山ちゃん。きっといい恋人が見つかるよ。」

　なぜかその日、口から出てしまった。

「実は…前から注目してる人がいるんだ。」

「あぁ、教えてよ！どんな男が好きなのか知りたいんだ…もしクズだったら絶対渡さないから！」「はは、あなたの口からそんな言葉が出るといつも意外だけど…でもあなたは私の…親友だから、話してもいいと思うわ。」

「もちろん話していいわよ！何でも話していいのよ！私は山ちゃんが大好きよ！」

　私は空を見上げるのに忙しくて、彼女の顔に血が溢れていることに気づかなかった。

「本当に、そんなこと言わないほうがいいよ…みんな誤解するよ…」

「ん？誰にでも言うけど～」

「そう思うのはわかってるけど…特別感が薄れるから…」

「あなたが特別だと感じないなら、愛してるって100回、いや1000回言うよ！それほどあなたは私にとって大切な人なんだ、山ちゃん。」

「いや、わかってないよ…私が残りの人生を一緒に過ごしたい人…」

「あぁ、月が見えますか？今夜は満月で大きいから、今日行くのは正しい選択だったってわかったよ～」

「あなただよ、ずっとあなただったよ！私が愛しているのはあなただよ、藤ちゃん！」

　…その夜初めて、恥ずかしさで顔を赤らめながら彼女の顔を見た。

「私も…好きです」

「そんなのじゃなくて…好きって言葉を簡単に口にするのじゃなくて…本当に…本当に好きです…」

　気まずい沈黙。

　ついに山崎が口を開いた。

「ごめん…君が望むなら、普通の友達に戻れるよ」

「わかった！じゃあ付き合おう！経験は浅いけど、頼れる山ちゃんならきっとうまくいくよ！」

　また沈黙が続き、私の新しい恋人は大笑いした。

「あなたらしいね…何を期待していたのかわからないけど…だから好き…」

「恋人って何をするの？知ってるでしょ？」

「はは、もちろん知ってるよ。まずはキスで関係を終わらせることだよ～」

「からかうのはやめて！私はそこまで世間知らずじゃない…反対はしないけど…」

　…そして、まさにそのように、多くの終わりの最初のものが封印された。

　私たちの関係はごく普通に始まった。一緒に多くの時間を過ごし、親密な時間を過ごし、一緒にデートに行く…少なくとも一連のテキストをやり取りしない日はなかった。

　しかし、日ごとに…

「ごめんなさい、何かが起こったの。今日はデートに行けないの。」

「今日は祖父母と会う予定。電話できないのが本当にごめんなさい。」

　日ごとに、彼女は私を避けているように思えた。

　私は彼女を信頼したかった。しかし、この時点まで私をとてもうまく支えてきた盲目的な楽観主義が崩れ始めていた。

「大丈夫。待つことはできる。次に会うときは倍の時間を過ごすだけでいい。」

「祖父母にそんなに頻繁に会えるわけじゃない。いつでも会えるから、一緒に過ごす時間を大切にしてね」

　…そして、最後の一幕。

　ここ数回の外出で、彼女はバランスを崩していたが、ついにその日、倒れた。

　彼女は病院に運ばれた。やがて、彼女は医療用ベッドに横になり、私は少し座り心地の悪い椅子に座り、お互いの目を見つめていた。

「…あれは嘘だったんだね」

「ごめんね、藤ちゃん」

「嘘をついたね」

「…君が私を哀れむような目で見るのに耐えられなかった。いつかは君に話すつもりだったけど…今なら分かる。ごめんね」

「…あとどれくらい生きられるの？」

「…分からない。でも、生まれてから今までずっと…いつ死んでもおかしくないってわかってた」

「山ちゃん…」

「私が昔、誰とも関わるのが怖かったことを覚えてるよね…それが理由。あなたがそんな顔をしているのを見ると…私たちが会わなければよかったと少し思う。」

「それは…そんなはずはない…それならなぜ私に告白したの…」

「…ごめんなさい。あれは私の勝手な願望だった…あの時から死ぬまで幸せでいたかった…私がいなくなった後にあなたたちみんながどう感じるかなんて考えずに…本当にあなたたちみんなと一生幸せだったのに…バカバカしいよね？」

「あなた…あなたは死ねない！私はあなたをとても愛している、あなたがいなくなった後私がどうなるか分からない…どうしてあなたは私にこんなことを…私に打ち明けることもできないの…」

「わかってる…そしてあなたに言わなくてごめんなさい。最初から正直に話していた場合よりも、最後にバレてしまったことの方が今は辛いだろうな…私はあなたが思っているほど頼りにならないのよ？」

「…行かないで」

「…藤ちゃん、愛している。この世の何よりも愛している。だから、私がいなくなった後も、あなたは絶対に死ねない。私のことを思い出して、思い出に涙して、墓石を訪ねて…そうしてくれたら私は幸せよ」

「私たちが経験してきたことすべてを経て…一緒にやらなければならないことがまだたくさんあるのに…あなたは死ねない。お願い」

「…藤ちゃん、私は死にたかった。周りの人たち…両親、友達、みんなの重荷にならないように。あなたがそれを変えてくれた…私は今、本当に生きたい。でも、怖くても…これは人生の真実よ」

「あなたは生きなければならない。私のために…私たちのために」

「あなたを愛している。「この世で最後の息をひきとるまで、私の心の中にはあなたしかいない。だから、どうか…二人で生き続けて。それがあなたへの私の唯一の願い…決して絶望しないで。」

　その後何を話したかは覚えていない。覚えているのは、ベッドに横たわり、翌朝を恐れ、涙が雨のように流れていたことだけだ。

　…届いたメールを確認するまでもなく、もう終わっていたことを知った。

　ベッドに横たわり、呼吸と心臓の鼓動以外は何も感じず、

　それが「藤井遥香」としての最後の記憶だった。