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【書籍化&コミカライズ化】もふもふの神様と旅に出ます。神殿には二度と戻りません!  作者: 四季 葉
第三章 追撃者たち

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またもや再会する

あれから数日後――


商業都市ディルから村五つほど先にある街道を、私たちは東へと向かい歩いていた。

私たちがディルの街を脱出した直後は、見た限りでは街は平穏そのもの。特に目立った様子は見られなかった。


だが、数日経った昨日。街道沿いの村の宿屋で食事をしていた時のこと。こんな話しが聞こえてきたのだ。


数日前、商業都市ディルの市街地で突然、道端に倒れる人が相次ぎ、一時街は騒然となったという。

原因不明の症状で、一時は流行り病ではないかとのうわさも流れたが、患者たちは二日、三日で何事もなく回復したのだ。

結局、その日は日差しが強かったことに加え、夕方には急激に気温が下がったこと。また倒れたのはよそ者が多く、そのことから熱中症の一種ではないかということで話は落ち着いたのだ。


その話をたまたま聞いたとき、ティアはちょうどハンバーグの付け合わせの人参ソテーをナイフで切り分けていたが、そのままピキンっと動きを止め、固まってしまったのだ。

気がつけば顔もすごく引きつっている。


だがその現象を引き起こした張本人であるフィヌイ様はというと、素知らぬ顔で少し温めてもらった蜂蜜入りのミルクをぺちぺちと子犬のフリをして美味しそうに飲んでいた。

そして、ラースもなかなかのもので、何も知らない旅人のフリをして話に加わり、あれこれと街の状況を聞いて探りを入れていたのだ。


このふたり(?)は、なんて度胸が据わっているのかと、思わず唖然と見つめていたのだが・・


そう思ったのもつかの間。まだ一口も食べていないキノコソースがたっぷりかかった、熱々のハンバーグをラースに横から全部取られたのだ。

ティアは猛然と抗議したが、いらないと思ったから食ってやったんだとこの男はしれっと言ってのけたのだ。

くそ~、こいつこの間のこと、まだ根に持っているのかとティアは悔しさを隠しきれないでいた。




そんなこともあったが、今のところフィヌイ様からの神託もないまま、ティアはそのまま東へと向かい歩いている。


今のフィヌイ様は、いつもの子狼の姿をして肩掛けカバンから顔を出し、ぷう~とむくれていた。


――もう、あのまま地下水路の中に転がしておけばよかったのに!あいつまだ、ついてきてるよ。


あいつとは、もちろんラースのこと。

私たちの後を付かず離れず、後ろからこの男はついてくるのだ。これは、無視しようにも気になって仕方がない。

ティアはため息を吐くと、ラースと話をするべく声をかけようとしたその時だった。


「ずいぶんと探しました。ようやく見つけましたよ、ティア様」

「げぇ!」


そこには、見覚えのある神官服。その上から旅装を羽織った男が立っていたのだ。

ティアにとって、まったく嬉しくない再会だったのである。

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