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【書籍化&コミカライズ化】もふもふの神様と旅に出ます。神殿には二度と戻りません!  作者: 四季 葉
第三章 追撃者たち

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ディルの街の迷宮(4)


ティアとフィヌイは、ディルの街の下に存在する、闇に覆われた地下水路の中を静かに歩いていた。



そして、今から少し前の話――


フィヌイに暗殺者の足止めをしてもらっている間、ティアは路地を真っすぐに走り抜けたのだ。

行き止まりにまでくると、フィヌイの指示に従って地面に手をかざし魔力を放出する。すると、地面に異変が起きる。


大地に働きかけ、地属性の魔法を使うと地下水路へと潜りこんだのだ。

まあ、しごく簡単に言えば・・地面に人ひとりが通れる穴を開け跳び降りただけだが。


ティアとしては、本当は穴を深めに掘ってしばらくの間、身を潜めて隠れるつもりだったが・・・偶然にも地面に穴を開けたら地下水路へ繋がってしまったのだ。


そしてティアが通り抜けると、地表は何事もなかったかのように元の形状へと戻っていく。

これと同じ要領で、自然物である岩などを通り抜けることも可能だ。

以前この方法で、アドラ・ネーシュの邸宅に侵入したことがある。地味だが、使い勝手はとてもいいとティアは重宝していた。



この国の主神であるフィヌイ様は、四大元素の中で地を司る属性の神様に分けられる。つまりは大地の力を使った魔力、この場合は神力とでもいうのか・・?を最も得意としているのだ。


また、聖女が扱う『治癒の奇跡』も大地の癒しの力を具現化したもので、厳密には地の属性に分類される。

そんな私もフィヌイ様の加護を受け、聖女の力を得たときの副産物として飛躍的に魔力が上がり、地属性の魔法も使えるようになっていた。


そう、ベルヒテス山で地属性魔法で落石を避けながら断崖絶壁を行く無茶苦茶な修業は、無駄ではなかったのだ。

今となっては本当に涙なしには語れない思い出だ・・・


さらに鍛錬をすれば、高位魔法も操ることも可能になるとフィヌイ様は目を輝かせながら力説もしていた。


高位の魔法は――大地そのものを自由に操り、働きかけることができる術である。

具体的には、大きな地割れを起こしたり、起伏を変え山を創ったり、大地震を起こすこともできるそうだ。

そんな戦乱の時代でもないし、近くに人がいたら大騒ぎになると予想ができ、そもそもとても危険なのでとやんわりと断ろうとしたら、


――ティアは、食っちゃ寝、食っちゃ寝の箱入り聖女じゃないんだから!危険から身を守る術として絶対に役に立つから覚えたほうがいいってば!


とフィヌイ様にごり押しされてしまい、今は地道に鍛練に励んでいる状態だ。


そして高位の治癒魔法では――相手に触れずに広範囲の治癒も可能になるらしいのだ。これに関しては本気で習得したいと思い、懸命に修業している最中である。


そんな訳で、簡単な地属性の魔法なら、今のティアの実力でも扱えるようになっていたのである。

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