何となく気になる
「・・フィヌイ様」
――ん? どうしたの。
ちょうどフィヌイ様はオムレットも食べ終わり、口の周りを舐め、毛づくろいを始めていた。
ティアは建物がある方角を指で示すと、
「あの建物・・なんか気になるんです。ご飯を食べ終わった後に行ってみませんか・・」
――ティアにしては珍しいね。いつもなら必死で食べているのに、
「ええ、まあ・・そうですね」
曖昧に答え、もぐもぐと自分のオムレットを食べながら答える。
フィヌイは建物がある方角を見つめると僅かに目を細め、
――ふ~ん、なるほどね。いいよ。建物の近くまで散歩がてら行ってみよう。
「モグ・モグ・・はい」
口の中にいっぱいに物を詰め込んだリスのようになり、ティアは答えたのだ。
「ずいぶんと、大きなお屋敷なんですね・・」
ティアは、ほけっとした顔で石造りの大きな建物を眺めていた。その姿は田舎から出てきたお上りさんのようで・・
大きな門の前には護衛が左右に二人。門のなかには、噴水と大きな庭園が広がり、奥には二階建ての大きなお屋敷があったのだ。
――貴族の邸宅とは造りが違うみたいだ。財をなした豪商の屋敷だろうね。
遠くから見ていた建物は街の中心近くにある。
朝に比べると人通りも多く、誰もティア達を気にする人などいないようで。
だが、ふと見るとティア達と同じように建物を見つめる人物がいた。
遠目からだが、旅装の格好でフードを被っている。長身の若い男の人のようだ。
ティアはその人を気づけば目で追っていたのだ。
その人物は、こちらが見ているのに気づいたのか、すぐに人ごみの中へと静かに消えていく。
なぜだか、ティアはその人のことがなんとなく気になっていたのだ。




