表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化&コミカライズ化】もふもふの神様と旅に出ます。神殿には二度と戻りません!  作者: 四季 葉
第三章 追撃者たち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/271

空の下での朝食


昨日言われた通り、ティアは朝起きると眠っている子狼姿のフィヌイ様をふんわりと毛布に包んだのだ。そしていつものカバンにそっと入れる。


窓を見ると金色の朝の光りが差し込んでいた。

今日もいい天気になりそうな予感がする。すると心が晴れやかな気持ちになってくるから不思議だ。ティアは宿をでると地図に示されている目的地へ、朝食を買うために元気よく向かったのだ。


まだ朝ということもあり、人通りは夕方に比べるとそれほど多くはないようだ。街のあちらこちらで、小鳥がチュンチュン鳴いている。


フィヌイ様ご指定の目的の屋台は、ふわふわの甘くていい匂いがしたのですぐに見つけることができた。

後はフィヌイ様が食べたいと言っていた物があるかどうかだが・・店員さんに聞いてみると残りは少ないがまだあるそうなので、ティアはほっと胸を撫で下ろす。

まだ、目当ての物は売り切れてはいないようだ。

あんなに、食べたがっていたのに無いのはさすがに可哀そうだしね。


この近くには、朝食を売っている屋台はいくつか出ていたが、他のところに行くのもめんどうだし、ティアもここで朝食を買うことにしたのだ。


ちょうど、近くには公園もありベンチもある。ティアはそこで朝食をとること決めたのだ。

石で作られだベンチに座ると、傍らにそっとカバンを置く。

フィヌイ様が目覚めるまで、ぼんやりと公園の樹木や花々をみながらそこで待つことにしたのだ。


しばらくの間、ぼんやりと景色を眺め静かに耳を澄ませていると、

すうぴぃ~すぅー・・・

フィヌイ様の寝息が聞こえてくる。


カバンの中を静かに覗くと、耳が垂れて気持ちよさそうに眠っている。やっぱり眠る姿も可愛いなあとティアの心はほんわかと和んでいく。

だがふと気がつくと、わずかに口から舌の先が出ているのだ。


猫の舌はざらざらしているが、イヌ科の動物の舌はどうなっているのか、ふと気になったのだ。

だが、神様に向かってそんな罰当たりなことをするなんてできない・・でも、なんかすごーく気になるが今は必死で我慢する。

そうだ。気を紛らわすため空でも見ることにしよう。今日は晴れて青空も見えるし、涼しい風が吹いているなあ~としばらくそうやっていると、

フィヌイ様がカバンの中からもぞもぞとでてくる気配がしたのだ。


カバンから外に出ると、前足と後ろ足を念入りに伸ばしてから、ぶるぶるっと体を震わせる。

気持ちよさそうに欠伸をすると、ティアの顔を見つめたのだ。


――おはよう、ティア!

「おはようございます。フィヌイ様、よく眠れました?」

――うん、よく眠れたよ。


そう言うと、尻尾をひと振り。

ティアは包みを取りだすとフィヌイの前に広げたのだ。


「これで、良かったんですよね」


包みの中からはバターと菩提樹の蜂蜜がたっぷりしみ込んだオムレットを取りだす。あれから時間が経ってしまったが、まだほんのりと温かい。


フィヌイ様は目を輝かせると、


――そう、これが食べたかったんだよね!ありがとう、ティア。それじゃ、いただきます~


言うが早いか美味しそうにもぐもぐと食べ始めたのだ。


その光景を微笑ましく思いながらも、もう一つの包みを開けてみる。

こちらは甘さ控えめの生クリームとカスタードが入ったオムレットがでてきたのだ。

朝食としては、どうかとも思ったがたまにはいいだろう。

ティアもフィヌイと一緒に仲良く食べ始めたのだ。


そして何気なく遠くの建物を見ていると、なぜかはわからないが石造りの大きな建物が目に留まる。

理由はわからないが、ティアはなぜかそこが気になったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ