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【書籍化&コミカライズ】もふもふの神様と旅に出ます。神殿には二度と戻りません!  作者: 四季 葉
第二章 聖女ではありません

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山の味覚は絶品!

ある日の夕食のこと――


食事はとても美味しく、ティアは毎日の食事が楽しみで仕方がなかった。


この村は山奥にあり、周囲との交流のない隠れ里。

もちろん自給自足の生活で、食材は村や山で調達しているものばかり。

村では家畜と小さな畑を耕し、山では山菜や木の実を取り、狩猟を行っている。

食材はどれも新鮮で、驚くほどおいしいのだ。


街に行かなければ揃わない品物、海の食材は流石に手に入らないが、ここでしか食べれない料理が味わえる。

これは、旅にでなければ経験できないことだ。


しかも村長さんの奥さん、料理の腕前はなかなかのもので、


特にこのジャガイモのスープなんかは絶品でティアの好物となっていた。

こんがり炒めた玉ねぎの旨味と、裏ごししたジャガイモとの相性が抜群。それをミルクとアスパラの汁で滑らかに溶いてあり、口当たりがよく、何杯でもおかわりできるから不思議だ。


茹でたアスパラの温玉のせもまた、捨てがたい。

村の畑で採れた今が旬のアスパラ。取れたての甘みと食感が絶妙だ。茹でた煮汁も捨てずにスープに使っているところが素晴らしい。


そしてこの日のメインは、鹿肉のローズマリー風味。

ローストした鹿肉を、ローズマリーやタイム、他のハーブで臭みを取り、あっさりしているが食べ応えが十分な仕上がりだ。


フィヌイ様は鹿肉がとても気に入っている様子で、美味しそうに食べている。

そういえば狼は、鹿を狩って食べたりするから好物なんだろうなとぼんやりとティアは考えていた。


とにかくこの村での食事は、山の恵みを堪能できとても満足のいくものだった。

そして美味しい食事も終わり、お腹も膨れると自分の部屋へと戻ることにする。


自分の部屋に入ると、ティアは今日採れた薬草を広げて整理をしようと思ったそのとき――



―― ティア!!


突然、フィヌイ様が子狼の姿でひよこっと視界いっぱいに現れたのだ。

耳がぴこぴこ動き、ふわふわでとても可愛い。

思わず抱きしめてすりすりしたくなる衝動に駆られるが、必死で我慢をする。


――話したいことがあるんだけど、少しいいかな・・


気配から大切な話があるのだと感じ、ティアは広げていた薬草を片付けることにした。

薬草の整理などいつでもできる。

フィヌイ様の話を聞いたほうがいいと今は思ったのだ。

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