神官長に対する評価
フィヌイ様の神官長に対する評価に、ティアはぷぷっとふきだしそうになってしまう。
可笑しくってたまらないのだ。
・・だがセシルさんの手前、真面目な表情を崩してはいけないと思い必死で耐える。
まさか、あのふさふさの頭髪がカツラだったのか・・人様のことをむやみに笑ってはいけないのだが、神官長の姿を思い浮かべると、どうしても・・
うぷぷっぷ・・
脇腹が痛いがひたすら我慢だ。
――主に賄賂に使っていたようだね。貴族や王宮への根回しとか。それで地位を買ったり、私腹を肥やしたり、とにかく自分の為にしか使ってないよ。
でも今頃は、神殿に聖女がいなくて寄付金が思うように集まらないから、ストレスで血圧が上がって頭の血管が切れそうになっているんじゃないかな。
フィヌイ様はのんきに尻尾をふりふり細かな内容を教えてくれた。
笑いを必死に抑えていたがティアだったが、今度は怒りの感情がふつふつ心に湧いてくる。
なにそれ!下働きの給料はスズメの涙なのに、その使い道はなんだと! ティアは憤りを隠せないでいた。
聖女の治療費は高いだろうとは思ってはいたが、まさかこれほどとは・・とんだぼったくりもいいところだ。
「そうですか・・セシルさん。我が国の主神たるフィヌイ様の御心を思うなら、これ以上・・神殿に寄付をする必要などありません!
もし寄付をしていただけるなら、心から民衆を思いやっている救護院や孤児院の方へお願いします」
「それが、我らが神の御心なのですね」
「あ・・これは・・そんな気がしただけです。旅の修道女でありながら、差し出がましいことを言ってしまい申し訳ありません。
あの、せっかくなので金貨は一枚だけ頂いておきますね。ちょうど旅費に困っていたので助かります」
「ふふふ・・ティアさんは面白い方なのね。それになんて思慮深いのでしょう。私たちも見習わなければいけませんね」
そんな話をしつつ・・しかし結局のところ、それでは気が済まないからと押し切られ、金貨百枚入りの布袋を持たされてしまったのだ。
残りの金貨については、長い期間をかけ救護院や孤児院へ寄付してくれるということで話はまとまり、
尊敬の眼差しを向けられ、とても感謝されてしまったが・・ティアとしては複雑だ。
なるべく善い行いを心がけようとは思ってはいるが、それほどの人格者でもないし、どこにでもいるごく普通の人間だと自分では思っている。
ただ・・思い通りにいかない世知辛い世の中ではあるが、探そうと思えば良いこともあるし、なるべく人生を楽しみながら善い行いを無理のない範囲で行うつもりでいる。
もちろん、聖女うんぬんとは別の話だが・・
聖女であること。結局はバレてしまったが、セシルさんの口止めと暗黙の了解で口外されることはないだろうとその時のティアは思っていたのだ。




