~プロローグ~ リューゲル王国の伝承
――むかしむかし、神様は地上で人間たちと平和に暮らしていました。
しかし、あるとき世界を変えるほどの大戦が起き、神様の多くは人間を見限り天上へと帰ってしまったのです。
それでも僅かな神様は、人間を見守るため地上に残ってくださいました。
このリューゲル王国でも、地上に残ることを選んだ神様――主神フィヌイ様が見守る国。
フィヌイ様は、後にリューゲル王国の初代国王となった若者に加護を与え、その若者と共に大戦を終結に導いた崇高な神様なのです。
神々の中でも強い力を持ち、大地の豊穣と繁栄、戦いにおいては勝利をもたらす神様として一般には知られていますが、気まぐれな神様としても有名です。
フィヌイ様は一か所に定住することなくふらりと旅に出て姿をくらましてしまうことも珍しくありません。ですがリューゲル王国、初代国王となった若者に加護を与えてからは、この国に住み見守って下さっているのです。
そして、その姿は人の姿でいるときもあれば、鳥や動物へと気分により姿そのものを自由に変えていました。ただし、純白な毛色と青い瞳はそのままに人々はそこから神様であるかどうかを判断していたのです。