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フィヌイのお宅訪問(6)

 私はできるだけ早く、自分の診療所に戻ってくるつもりでいる。そのため親切なお隣さんの力を借りると決めたのだ。


 親切なお隣さんはとても公平に判断してくれるし、ラースの苦労も普段から本当~によくわかってくれている。そのためか…快く私の頼みを聞いてくれたのだ。

 私は親切なお隣さんに、患者さんが来たらすぐに私に知らせてくれるようお願いする。これでいつ患者さんが来ても対応できるし、私本人がすぐに診療所に戻ることもできるのだ。


 ただ…懸念もある。フィヌイ様に気づかれるとなんかめんどくさい事態になるそんな予感がするのだ…

 私は必要最低限の準備をすると霊獣のノアに案内を任せ、こっそりと家を出ることにする。そしてラースの捜索へと向かったのだ。


 ラースが行方不明になった今日の朝。あいつとノアは珍しく別行動を取っていた。

 そう言ってしまえば聞こえがいいが…ただ単にノアは家で爆睡、朝寝坊をしただけだった。昼前にフィヌイ様がいつものように家に遊びに来た頃合いに、ノアは眠たそうな目のまま、ごそごそと起きてきた。


 普段はラースと共に常に行動しているが、その日に限って…ノアは珍しくお昼近くまで眠っていたのだ。

 ラースも不思議に思いながらも、なんだか知らないが疲れているようだから眠らせてやってくれ――と言っていたので私たちはノアを起こそうとはせず、ノアが自分で起きてくるまでそっとしていた。


 ノアはフィヌイ様とは違い、健康的な朝型だ。夜明けとともに起きて、なにもなければ夜は早くに眠ってしまう。霊獣とは言え、普通の鳥さんと同じ生活スタイルみたいだ。

 当のノアも起きた途端、今日は朝寝坊したことに気づき、私たちが家でゆっくりラースの帰りを待っていたらと言ったにも関わらず、あいつを探しに外に飛んでいってしまったのである。

 そして、つい先ほど慌てて家に帰ってきたわけだが…。


 ラースと契約をしている霊獣のノアが、いくらラースを探しても見つからない。ということはますますフィヌイ様絡みではないかと疑ってしまう。つまりフィヌイ様が、ラースが家に帰るのを妨害している可能性が非常に高いのだ。

 とりあえず私は、フィヌイ様の加護がまだある状態なのでフィヌイ様が施した術であれば解除できる。だからノアは私を呼びに来たのだろう。


 「ピー、ピピピー!」


 どうやら、この辺りでラースの気配が消えたと言っているようだ。たぶん…。

 ノアの案内で気がつけば、村はずれの森林付近までやってきた。違和感がないか、辺りを注意深く見回しながら歩いているとやがて不自然な地割れ、いや深い穴を私は発見したのだ。


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