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フィヌイのお宅訪問(2)

 相変わらず…神の威厳などまったく感じさせない、間抜け顔の白い犬っころはこちらを見て変な顔をしていた。


 「キャウギャウ」

 ――なんで、山を降りて最初に見るのがラースなの! ティアとかアルだったらよかったのに…これじゃ感動の再会が台無しじゃないか!!


 上半身を低くしながら、犬っころの姿で訳の分からないことを抜かしている。


 「お前は! そう言って昨日もその前の日も…ここ最近毎日のように、俺の家にただ飯を食いに来ているだろうが!」

 ――そうだっけ? 僕はただの子犬だからそんなの覚えてないよ~。


 今度は目を棒線にしながらしれっとお座りすると、後ろ足で耳の後ろ側を気持ちよさそうに掻いていた。


 「こいつは…」


 完全に俺のことをおちょくっていやがる。


 「フィヌイ! お前のいる場所はこの国が創られたときから、王都の神殿って決まっているだろうが! なんで毎日のように俺の家に来るんだよ!」

 ――神様にだって息抜きは大切だよ。それに僕は、気まぐれな神様で有名だからね。どこに行こうが自由だし、それに会いに来たのはティアとアルだよ。べつにラースに会いに来たわけじゃないもんね~。


 いつもの犬っころの姿で尻尾を短く振りながら、ドヤ顔で言い切ったのだ。

 なんか…イラっとしたがこれではフィヌイのペースにまんまとのせられてしまう。俺はなんとか冷静さを取り戻すと、


 「フィヌイ、お前はこの国の主神だ。むやみやたらに動けば、この国の王家が何かあるのではないかと勘繰ってくる。お前は王都の神殿にいた方がいい。もし、このまま神殿を留守にする時間が多ければ、聖女となったティアの次はアルスじゃないかと国は疑ってくるぞ。お前には悪いが…もうここにはくるな」

 ――え~~! 二人に会えないなんてヤダ!


 そう言うと、ふんっとそっぽを向いたのだ。

 さすがに今のはイラっとしたが、怒るのを俺はなんとか堪える。


 「ど、どうしてもアルスとティアに会いに行くと言うのなら、俺を倒していけ!」


 フィヌイはぴいんと子狼の耳を立てると目を輝かせながら、


 ――ほんと! 本当にいいの! それじゃ、遠慮なくラースを倒してから二人に会いに行くね!


 言うが早いか、フィヌイは地面を前足の肉球でとんっと軽く叩くように足踏みをすると、急に地面はぐらぐらと揺れ始めたのだ。


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