羽毛もふもふ日記 (7)
真っ白な髭のお爺さんは、またしても大袈裟にため息を吐くと、
「まったく、お前という奴は……。養父としてお前を引き取りだいぶ経つが、その直情的な性格はなんとかせんといかんな。周りは感情的になっていてもお前だけは静かに、客観的に物事を見つめ、行動する癖をつけなければならん。ここから先、生き残っていくためにも」
「俺だって、好きでこんなところにいるわけじゃない! 無理やり連れてこられただけだ!」
「お前は潜在的に魔力が大きすぎる。制御する術を学ばなければならない。また、魔力による大事故を起こしたくはなかろう!」
「……!」
「ただでさえラースよ。お前は平民出身と貴族から蔑まれている。特に、初代国王から仕えている攻撃魔法を受け継ぐ家門からはな。まあ、それも裏を返せば魔力の強い家系出身というだけの、無能な貴族のただのやっかみじゃが」
「プ…なんだよそれ! 」
「もちろん正面切っては言えん! 儂とて皆から変わり者と言われてはいるが魔力の強い家系出身。風の家門の末席に属しているからな」
気がつけば、お爺さんも男の子も笑っていた。やっぱり仲がいいんだね。
僕はその様子を瞬きしながらじ―と見つめていた。
「そうそう、忘れておったがこの風の霊獣は成り行きとはいえ、お前と契約をしたのだ。これから先、共にいるのだからなるべく良い関係を築いていかなければな」
――嘘でしょ……。また人間と契約なの!!
お爺さんの言葉に、僕はまた動きを止め固まったのだ。その様子に気づいたのか黒髪の男の子は、僕に近づき気遣うように声を掛ける。
「ごめんな…。お前を助けるためにはこれしか方法がなかった。本当はお前を故郷に帰してやりたいが、今の俺にはその力がないんだ。だから爺に頼み込んでお前を助けてもらった。――俺の名はラース。いつか必ずお前を故郷に返してやるから、それまではよろしくな」
ラースと名乗った男の子は、ちょっと釣り気味の目をしていたがそれでも優しく僕に笑いかけていた。僕はこの男の子とお爺さんは信用できるってその時、思ったんだ。