羽毛もふもふ日記 (2)
きらきらと輝く綺麗な光。
その正体が知りたくって僕は好奇心から、大森林の神域から外の世界へと飛びだしたんだ。
光が見えるのは、大きなもみの木のてっぺん近く。
僕は、翼を広げパタパタと羽ばたき加速する。
けどおかしい。いつもは風が飛ぶのを手助けしてくれるはずなのに、今日に限っては行ってはいけないって言っているみたい。
綺麗な光の正体を確かめたら、すぐに神域に戻るから…ほんのちょっとだけ、見るだけだからね。
僕は綺麗な光を目指して飛び続ける。
やがてもみの木のてっぺんに着くと、そこにはこの辺では見たことのない人間が使うような道具がぽつんと置かれていたんだ。
後でそれが…霊獣を捕まえるための魔道具だということを知ることになるけど、その時の僕はそれがなんなのかまったくわからなかった。
それはお日様の光を反射してきらきらと輝いている。
僕は、なんでこんなに輝いているのか不思議になり、もう少し近づいてみたいと思った。
そしてその道具に近づいた途端――!
「――!!」
魔力で作られた無数の糸のような物に絡めとられ、動きを封じられてしまった。
慌てて飛び立とうとしたけど、もう身動きが取れない…。目の前も糸に覆われ何も見えないしどうしよう。
僕は不安になりそんなことを考えていると、近くで声が聞こえてきた。
「やったか!!」
「ああ、まだ若いが鳥の霊獣が一羽、罠にかかったみたいだな」
「やっとか。これでこんな辺境の地ともおさらばだな。まったく、我儘で癇癪もちのご当主様に仕えるのも楽じゃねえよな。使えそうな霊獣を捕まえてくるまで、帰ってくるなって! 無茶言いやがって…あの野郎!!」
「強い魔力のあるお貴族様同士の、くだらない意地の張り合いだろ。戦乱の時代は終わっても、強い魔力を誇示したいのさ」
「くだらねえ」
「まったくだぜ。まあ、これでやっと国に帰れるんだ。良しとするか」
二人の男は、そう言いながら笑っていた。
僕はじっと会話の内容を聞いていたけど、震えていた。
今、どういう状況になのかはっきりと理解できた。悪い人間に捕まったんだ…!どうしよう。
嫌だよ。みんなと離れたくない!
神域がある大森林に居たいのに…。
僕は助けを求めるため魔力を込めて力いっぱい鳴こうとしたけど、なぜか急に眠くなりそのままストンと眠ってしまったんだ。