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薬師の弟子 ~ティア編~ (5)

 

 始めは、第一印象が悪すぎてすぐに追い出されるかと思ったが…気がつけばなんとかなっていた。


 そして時が経つのは早いもので、私がここへ来てから一週間が過ぎていた。

 今のところは追い出されることなく、私は薬師であるリベルさんの下で働いている。薬師になるための修業をしているので、弟子にしてもらったんだと思う。


 いや、まてよ! ……もしかしたら現時点では掃除、洗濯その他もろもろの家事にたまに薬草の仕分けとかで、ひょっとしたらただの雑用係かもしれないけど…

 それでも私はイメージアップのため、そうこの間のことをなんとか挽回できるよう一生懸命頑張っているのだ。きっと弟子にしてもらえるはずだ。私はそう信じている!


 まあそれはともかくとして、私が最初にリベルさんを見たとき、よくわからないが魔女だと勘違いしてしまったことがあったが、

 フィヌイ様に選ばれた聖女…まあ現在は元聖女だけど…とにかくそれにもかかわらず大変失礼なことをしでかしてしまったのだ。

 今考えてもとても恥ずかしいし、まさに私の中で黒歴史なってしまったことは言うまでもない。

 だがそのことについて、いくら考えても理由は今でもよくわからないまま。


 あらためて……かなり落ち着いてリベルさんを見てみれば、どこにでもいるような小柄な普通のお婆さん。

 見た目が凄い恐ろしい!! というわけでもなく…まあ偏屈そうな人で間違いなさそうだけど、無理やりこじつければ村にいるふつうのお婆さんの枠になんとか収まっている。それが私の感想だ。



 そのリベルさんに、アイネ神官長からの紹介状を初めて見せたとき、メガネの下から胡散臭そうに私のことをじーと見ていたのが印象的だった。


 そこには私が聖女であった頃の経緯と、高度な治癒魔法も使えることも記されているようだったが、

 やはり礼儀として、自分の口でしっかりと説明しなければ失礼に当たると思い口を開こうとしたとき、リベルさんは静かに手でに制し、説明は一切必要ないと言い切ったのだ。


 経緯など手紙を読めば大体はわかるし、そんなくだらない経歴よりも、お前さんにどれだけの覚悟があるのか見極めるだけだとぶっきらぼうに言われてしまったのだ。

 つまり事情はわかったが、特別扱いなど一切しないという雰囲気がありありと伝わってきた。まあ、私も特別扱いなど望んではいないし、内心ほっとはしているんだよね。


 だって、私はこれから薬師として生きていくと決めたのだ。

 それは今は眠りについている主神であるフィヌイ様に恥ずかしくない生き方をするため、そう決めているから。

 特別扱いなんてされたら、自分の実力だって正確にはわからなくなるし、以前のアリアさんみたいに傲慢な性格になり簡単に道を誤ってしまう恐れもある。人間って気をつけていないとそうなりやすいものなんだよ。

 それに調子だってくるってしまうし、なにより私自身そんなことは望んではいないのだ。



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