ティアの真実、そして決断へ(8)
――意識を失ってどれくらい経ったのだろうか、俺はなぜここにいるのか? どうしても思い出せない……
真っ暗な闇のなか、なぜか身体は鉛のように重い。目を閉じ静かに横たわっていると、どこからともなくこちらへと近づく、奇妙な音が聞こえてきたのだ。
てくてくてくてく……。
軽くて妙な足音だ。人ではない…4本足の動物。小動物の足音だろうか…?
その足音は、俺の目の前にくるとピタッと止まったのだ。
そして…おそらく動物の前足だろうか。ちょんちょんと俺の顔を突っついてくる。
目を開けろということだろうが? こっちだって目を開けたいが、身体が鉛のように重くてどうしても動かすことができないんだよ。まぶただって重くて開かないのに、
疲れているんだから、静かに眠らせてくれよ…! まったく、うるさい犬っころだな!?
そこで、ふとラースは思い出したのだ。
――そうか……!
俺はあのとき、クロノスに肺までに達するような深手を負わされ…そのまま意識を失ったんだ…。そういえばティアは今頃どうしているんだろうか?
そんなことを、ぼんやりと考えていると…。
『ヴわワアンンン――!!!』
「――!?」
大音量の鳴き声が、耳元でガンガン響いたのだ。
どうやらしびれをきらした小動物こと、フィヌイの犬っころが俺の耳元にきて大音量で鳴いたのだ。しかも思いっきり、容赦なしだ。
あまりの大音量にラースはおどろき目を開けると。
「ああ、くそ~耳がきんきんと反響しやがる…」
そして目の前には、子犬の姿をしたあのふてぶてしいフィヌイの顔が視界いっぱいに広がっていたのだ。
青い目でこちらを睨みつけている。どうやらかなり怒っている…そのことははっきりとわかったのだ。