表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
183/269

ティアの真実、そして決断へ(6)


 一方、ラースは気持ちを切り替えるように息をはくとダレスに向かい、


 「まあ、あの犬っころの真意がどうであれ…いや、何も考えてない可能性が圧倒的に高いが、それでもやることに変わりはないか」

 「そうだな…、フィヌイを取り戻しこの娘とフィヌイの力を合わせ、結界を張り直すことだ。ほころびを直し、邪神の再封印に成功したならば、どう足掻いてもあの男はこれ以上の手出しは完全にできなくなる」

 「だがあのクロノスのいる場所。邪神の影響なのか…瘴気が濃くって、どう考えても近づけねえぞ」

 「ほう、わかるか。ただの人間があの瘴気の中に入れば、邪神に生命力を奪われ即死だ。だがお前たちには、フィヌイの神力がこもったタリスマンがあるだろう。このタリスマンの加護があれば短時間であれば、自由に動き回ることができる。勝機があるとすれば、そのあたりになるか…」


 「そういえば、すっかり忘れてたぜ。あの犬っころ、ついでに渡しておくとか言ってティアと似たようなペンダント、俺ももらっていたんだよな」

 「――ラース! その言い方はないでしょ、フィヌイ様に失礼よ」

 「なんだよ、そんなに怒るなよ。俺も肌身離さず付けてるよ。ちょっと、忘れていただけだろ…」


 ティアの非難の声に、慌てて弁解をしてみたが、だがふと不敵な笑みを浮かべたのだ。久しぶりにこいつとの掛け合いに懐かしくなったのか、笑みがこぼれていた。


 「どうしたのよ…急に」

 「まあ、やるべきことはこれで決まったなと思ってな」

 「なにか作戦でもあるの?」

 「そんなものはない。ただ、俺がクロノスに向かい突っこんでいくから、ティアが隙をみてフィヌイを取り戻す。作戦と言っても、それだけだ――」


 肩をすくめると、あっけらかんと彼は答えたのだ。

 さっきの話しから、どう考えてもダレスの力は当てにはできない。ならば、こちらも腹をくくって突っ込むしかないのだ。

 クロノスにウロボロスが壊滅したことを伝えれば、少しは戦意を無くし投降するのではないかと…僅かな望みにかけたが、それも完全に無理とわかれば、もう最後まで力の限り足掻くしかない。可能性はゼロではないのだ。


 ふと見れば、ティアは戸惑いながらもなにか言いたそうな顔をしていたが、それでも納得してくれたのか。


 「わかった。あのさ、気をつけてね」

 「お前もな・・」


 最悪、せめてティアだけでも生き残れるように最善をつくすしかない。そう心に決めると別れを告げ、彼は地を蹴りクロノスへとむかい突っ込んでいったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ