ティアの真実、そして決断へ(3)
だが、ティアは――
顔を上げると、クロノスを青い瞳で真っすぐに睨みつけていた。
「クロノス……あなたが言いたいことはわかったよ! あなたは、私と血のつながりがある親戚なのかもしれない。けど、ただそれだけのことでしょ。そんなくだらないことを、わざわざ持ち出して私たちに揺さぶりをかけたいわけ!」
「なんだと…」
ティアは怒っていた。相手に疑いや不安をたきつけ、信頼関係を壊そうとするその手口に。相手が傷つき悲しむ様子を見て、嘲笑うその姿に――
彼女の瞳には、青い炎が揺らめいていたのだ。
「私は、あなたの言葉なんか信じない。だって、あなたは人の心を平気で傷つけて、不幸に陥れた人たちを見て楽しそうに笑っている。そんな人の言葉なんて信用なんてできないわ!」
「誤解がないように言っておきますが…私は親族として姪である貴女を思い、そうではないかと可能性の話をしているだけですよ」
「馬鹿にするのもいいかげんにしてよ!! 私だって、ただ人を傷つけて面白がっているだけなのか。それとも攻撃するための発言なのか、本当に…こころから――その人のことを思いやり話しているのかくらいわかるわよ。頭はそんなによくないけど、それくらいの判断ぐらいできるわよ!」
ティアはいったん、気持ちを落ち着けるように息を深く吸うと。
「クロノス、あなたは本当は一体なにがしたいの……?」
クロノスはティアの問いには答えなかった。だが、かわりになにかを思い出したかのように怒りを表し、呪詛のような言葉を投げかけたのだ。
「生意気な小娘め……。そういうところは母親そっくりだな。妹のくせに身の程をわきまえず、兄である私ばかりか、当主の大叔父にまでたてつき……。あげくのはてに一族を裏切り、どこぞの男と逃げた一族の面汚しめが!」
その言葉にティアはハッとする。そして理解したのだ。
クロノスの妹が私のお母さんなのだと……。そして一族を裏切って、きっとお父さんと逃げたのだということを……