再会
ダレス様は一息つくと、僅かに険しい表情となり次の言葉を紡いでいた。
「――さらに言えば、封印を守るものとしてここに留まっているともいえるか。……どうやら着いたようだぞ。ここがお前にとって始まりとなり終わりとなるだろう」
ティアはその意を察すると、決意を込めた表情で静かに頷いたのだ。
『封印を守る』その意味が示すもの、それは聞かなくっても判ってはいた。そのために、ここに導かれたのだとティアは理解していた。
つまり、結界のほころびがここにはある。そして、予想が正しければ邪神の封印がここにはあるのだ。
ランプの明かりに照らされた先には、石で造られた古びた祭壇のようなものが浮かび上がっていた。この場所が、終着点になる。
――予感めいたものが頭をよぎったのだ。
だが、その時――
「やっと会えましたわね! これで、私の苦労も終わる……さあ、一緒に神殿に戻りましょう。フィヌイ様! 真の聖女である私と共に――!!」
甲高い、若い女の声が辺りに響いたのだ。
弾かれてようにティアは、声がした方角に顔を向けると、古びた祭壇の入口には黒いローブを羽織った若い女の姿が見えたのだ。
ティアはその人物から目を逸らすことができなかった。それは、とてもよく知っている人物だから。
だが、ティアがその名を発するよりも早く。
「アリア――!! お前こんなところで何をやってるんだ!!」
「貴方…もしかして、兄さんなの・・?」
彼女が発する言葉に、ティアはいろんな意味で唖然とする。
そして…そこにいる人物こそ、主神フィヌイによって聖女の資格を剥奪された、アリアの姿だったのである。