連絡手段について
「今、報告するっていったけど……その口ぶりだとラースはこのまま私たちと一緒に旅を続けるとして、セレスティア殿下への報告はナギさんにお願いするってことなの?」
「いいや、ナギには頼まない。あいつは信用できるし殿下の腹心でもあるが……このシェラー村が落ち着くまで、しばらくはここに駐留することになっている。そのために編成された部隊だからな。…それにこの村から王都まではかなりの距離もあるし、そんなまどろっこしいことをしなくても、いつもの連絡手段を使えばいいさ」
「……?」
ティアはここで疑問が浮かんだのだ。
そういえば、ラースは国軍の人たちとどうやって連絡をとっていたのだろうか?
村を占拠していたウロボロスの構成員たちと以前からにらみ合いを続けていた部隊だったとしても…ずいぶんと村人の治療など、入念に準備がされ手際がいいように思える。事前に準備していなければここまで迅速に動けるものでもないはずだ。
ティアは、よくわからないといったふうに首を捻っていると、
「……釈然としない、という顔だな」
「うん、まあね。あんたはどうやって軍の人たち、つまりはセレスティア殿下たちと今まで連絡を取っていたんだろうと思って……頻繁に連絡を取っていなければ、こんなに都合よく動くことはできないはずだし。けど、あんたはそんなに私たちの傍を離れてはいない。伝書鳩を飛ばしたとしても片道だけで数日はかかるはず」
「ああ…そのことか……」
ティアの疑問に、彼は気まずそうに頭を掻きながら少し考えようなそぶりを見せると、
「まあ……この際だからお前にも話しておくか。不信感を持ったままじゃ一緒に旅はできないだろ」
そういうと、ラースは目を瞑りぶつぶつと呪文のような言葉を唱えたのだ。
すると目の前に魔力が集まったかと思うと――
輝く綺麗な鳥が彼の右腕に止まっていたのだ。
大きさは鷹ぐらいはあるだろうか。白く輝きとても優美だが、半透明で周りの景色がちょっと透けて見える。
ティアが見てもただの鳥でないことは一目瞭然。
「こいつは風属性の霊獣で、名前をノアという。こいつを飛ばして殿下たちとは今まで連絡を取っていた。まあ、こいつは風属性だから、特技としては瞬時に目的地まで移動することができる」
ラースの説明をティアはとても感心しながら聞いていた。
へえ~さすがは密偵だけのことはある。こいつはいろいろと隠し芸を持っているんだと思ったのだ。
綺麗な鳥の姿をした霊獣――初めて見る霊獣に私は思わず見惚れていると、膝の上ではもぞもぞと子狼姿のフィヌイ様が動きだしていた。
一瞬私の顔をちらっと見ていたようだが、フィヌイ様も私と同じようにじーと鳥の霊獣を眺めながら目をキラキラさせている。
そして一言……
――なんか、美味しそうだね。ちょっとかじってもいいかな……
「…え?」
私は一瞬、聞き間違いかとも思ったが…フィヌイ様は耳をぴんと立てると口の周りをぺろりと舐めていたのだ。
その言葉にラースは青ざめ、鳥の霊獣は怯えたように震えていた。




