9/46
7.5 心の病
人は誰もが心に怪獣を飼っている。
大なり小なり、それらは形を変えてはずっとそこに根を張って、チラチラと存在感を表してくる。
怖がっても。
怖がるそぶりすらなくとも。
いつでもいるぞ
どこでも居るぞ
どこで出るかは教えない
そう言って心に棲みつき、いつか同化して主人に成り代わろうとする。
いつ。
いつか。
いつでも。
慎ましやかな心は、願望と欲望で溢れ返った時、怪獣は目を覚ます。
ほんの少しの野望が良識を焼き尽くし。
ほんの少しの野心がその身を滅ぼしていく。
人はこれを、なんと呼ぶのだろうか。