18夜会2
本日2回目の更新です。
楽しく読んでいただければ幸いです!
「で? こちらの麗しい御令嬢は? 紹介してくれるんだろう?」
「そうそう!気になってたんだよな」
どうやら、この会場にはゆっくり話ができるように2階に特別室が設けてあるらしく、ボックス席のようなものが作られているようだった。
隣同士を壁で区切った空間で、一つ一つ独立した部屋になっている。
ちょうど下の大きなホールが見えるようにできており、空間を楽しめるように窓などは付いていない屋根のない部屋、と言う感じだ。
少し話のしやすい場所を、とリクエストすればこのような部屋を用意してもらえる。
その部屋に入った途端、興味津々と言ったようにビシっと示し合わせたようにアーノルド様とトム様が手を挙げ、そう言った。
「あ、俺はアーノルド・トリトン。アーノルドと呼んでくれ。騎士団に所属している。ヴァンとは昔なじみってやつだな」
「俺、トム・サラドルナっす。俺もトムで! 同じく騎士団所属です。ヴァンの数少ない友人です」
サッと姿勢を整えて挨拶をする様子はまさに騎士らしく、礼儀正しい。
私には騎士の友人がいないのでわからないが、お客さんでたまにお店に来ていた騎士の方もそう言えばとても礼儀正しかったのを思い出す。
騎士団の中には貴族の方も多いと聞くので礼儀がとても大事なのだろう。身分が高い方と会う機会も多そうだ。
「初めまして、アーノルド様、トム様、私はベリル・アトランドと申します」
「………アトランド?」
トム様の目がぱちくりとはためく。
「………僕の妻だ」
「え」
「え」
「「つ、妻ぁ!?」」
「ま、待て待て待て待て。お前………いつのまに」
「そ、そうだそうだ!俺たちの誘いをことごとく蹴って、お前、結婚?」
「いや、そう言うわけでは………僕も仕事が忙しくてだな。今は彼女のおかげで時間ができたからこうして、第二王子殿下の催しにも参加できたんだ」
ぴゅうとアーノルド様が口笛を鳴らすと、トム様が嬉しそうにニカっと笑って「じゃあ乾杯しなきゃだなー!」とグラスを掲げる。
「だな! よし、俺が——」
「——何に乾杯だって?」
「!」
突然降ってきた声に、ひゅっと喉が鳴る。
それは全員が同じだったようで、予期せぬ誰かの侵入に、アーノルド様とトム様がばっと背後の出入り口である扉を振り返った。
そこには金に輝く美しい髪と金の瞳を怪しく細めるの男性が、ドアに背を預ける形で立っていた。
愉快そうに口角が釣り上がる。
パタン、と扉が閉まる音だけが、その場に響いた。
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