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童話

作者: 泣月子

人の世の

善悪美醜の

もろもろすべてを


童話は教えて

くれはしない


教えてくれたら

今の大人も

たぶんこんなに

右往左往は

していない


だけど

太古の昔から

大人は童話を

つくりつづけた


童話をつくる

そもそもの

大人自身に

してからが


毎日を

生きていくのは

あたふた

おっかなびっくりだけど


それでもなお

あとに続いて

歩み来る

小さな大事な

者たちに


せめてせめて

これだけはと

切なる想いで

童話をつくる


子らが読む今 

たとえ大人の

想いの五分しか

伝わらなくても


いつか

大きくなった日に

残り五分に

はたと気づいて

にんまりすれば

万々歳だと

祈りにも似た

気分でつくる


それでも大人は

童話をつくる


おどろおどろしい

この世の中の

一見醜い

いさかいも


童話の中の

うさぎやくまや

たぬきやさるの

どんちゃん騒ぎと

大して変わりや

しないじゃないかと

自嘲しながら

童話をつくる


やさしい言葉で

気楽に書いた

こどものための

暇つぶし


童話はぜったい

そんなさもしい

代物ものじゃない


片想いとは

百も承知の

大人から

こどもに宛てた 

切ない切ない

ラブレター


長く生きても

答えも出せない

大人から

こどもに宛てた

人が生きる

不思議についての

まじめな

公開質問状


嘘だの

揶揄だの

皮肉だの

飛び交うこの世に

嫌気がさした

大人から

こどもに宛てた 

嘘いつわりなき

遺言状


小さな大事な

者たちへと

せめてせめて

これだけはと


だから童話は

大人の良心の

最後の砦


さあ

はじめるよ


むかしむかし 

あるところにね…



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