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『運命』などありません
――この世に落ちてきた時に定まった、神の鎖。
それは誰しもにあり、決して揺るがぬことと思われてきた。
だがある時、『それ』が人が勝手に作り出したものであるのだと、彼女は知った。
難しくはなく、当たり前にわかる話。
もし全ての人に『それ』が初っ端からあるならば、きっと神がやることだ。が、神は実はおらずふわふわとした幻で、この世にはすでに決まってることなど、ゼロなわけである。
『それ』はまやかし。だとすれば、怯み屈することだけはせぬ。
他に惑わされず無視して、揶揄されても気にせずに、私は己のありのままの道へ進むと彼女は志した。
だからね、取り戻してやるの。
――どこかに落とした忘れ物を、必ず。
『う』『ん』『め』『い』だけを省き、その他の五十音の文字を全て使用して書いています。