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壊れかけた世界で死神は抗う  作者: 黒い水
白髪の少女
9/28

ルール説明

疲れた


3/19 追加分が思ったより長くなってしまった

 光が彼らを包む

 そして..

『ようこそ、神人サリエルとその契約者』


 声が聞こえた


 眼を開ける

 白い部屋だった

 いや、部屋なのかもわからない

 白い、白すぎる


 視界に広がるすべてが、目もいたくなるような白

 色がすべて同じため、何があるのかさえ分からない

 色がすべて同じだから、自分がどこにいるのかわからなくなる

 自分を失いかねない、そんな白

 白が自分を塗りつぶし、消し去ろうとする

 もし僕が一人なら狂っていただろう。

 だけど……


「おい..大丈夫か!?」

 隣りにいる少女の手の、存在が、温かさが、声が、自分がここにいる証明となる。


 だから、僕は僕でいられる


自分を取り戻す


まだ意識がもうろうしている。そのため少女の存在が、自分の中から消えてしまいそうで

「サリエル...」

霧がかかったように認識がうまくできない記憶の中にあった、彼女の名前を呼んだ。

「...ああ、わたしはここにいる!」

意識がはっきりする

記憶を思い出す


「...傷は、大丈夫なのか?」

「..意識がしっかりしたと思ったら、わたしの心配かよ。まったく..あー?たぶんだいじょうぶ……かな?」

 微妙な返事をする

「たぶん、って..」

「いやー、わたしだってよくわからねんだよーなー。傷は塞がったぽいけど……なんか誰かとの繋りを感じるし..それに何で塞がったのか理由が……」

「契約したからじゃないのか?」



「……?」



「いや、だから僕と君が契約したかr

「はあ!?契約?契約したのかわたしが?どうやって!」

 予想外の答えだったのかすごい驚いた顔をして問い詰めてくる。

「ちょ!ちかい!近い!なんでそんなに驚くんだ!?」

「わたしはあの時、気がもうろうとしてた!契約を結ぶことはできなかったはずなんだ!誰が契約を!魂の(ちぎ)りをわたしと結ばせたんだ!」


「透明な女の子が……」

「だれ?」

 首をかしげて聞いてくる

「……君がわからないなら誰もわからないよ」

 苦笑いしながらそう言うと

『もうそろそろいいでしょうか』

 声が聞こえ、ぐだぐだしていた会話が終わる

「っ!」

 少女が声に警戒する


『安心してください。危害は加えません。ただこのゲームのルール説明を行うだけです。』


「ルール説明?」

『はいそうです。この世界が神のおもちゃ箱になるのを防ぐ方法。つまりゲームの勝利条件を伝えに来ました』


 人のような感情が宿っていない無機質な声は、そんな言葉を紡いだ


「なんで僕たちにそんなことを伝えるんだ」

『契約をした。つまり化け物を倒すことのできる、世界の運命の決定権を獲得した【プレイヤー】となったからです。』

『まずは配役から、神人は全員で13名います。あなたたちが化け物と呼んでいるアレは全員で12名います。ですが、いままでの戦いで何名か死にました。そのため、現在生き残っている人数はそれぞれ6名、7名まで減っています。』

「おい待て、プレイヤー?何をいっている。それに、『何人か死んだ』ってどういうことだ?」

 疑問を聞こえてくる声に言う

『文字通りの意味です。何か疑問があるならそちらで答えを探してください。私がそれらをすべてを教えてしまうと面白くありません』

「......」

 言葉が出ない

 無機質な言葉は何も教えないという冷たい意思が宿っていた

 無機質な言葉が再び紡がれる。淡々と、人間らしさをすべて排除したリズムで、でも、どこか人間味ある言葉で

『勝利条件を教えます。これが明確でなければ困るでしょう?それは、神殺し。無邪気の神その殺害です』

「あれの殺害だあ?無理に決まってるだろ!ふざけてんのか?おい」

 少女が言う

『いえ。ふざけていません。』

「じゃあな

『説明の途中です。黙っていてください』

 冷たい威圧が白い部屋を埋め尽くす

 冷汗が流れ出る

「っ」

『そう、それでいいのです』

『……話を戻しましょう無邪気の神、あれは殺せます』

『なぜならあれは、弱っているからです』

『この世界の神との戦いで、自身を完全に具現化、可視化できなくなるほどには。見たでしょうあの認識できない黒い姿を、人の認識に頼らないといけないほどアレは弱っています。..疑問があるでしょう。ビルのがれきを空中に縫い留める、現実の書き換え、心臓を握りつぶす、なぜあれほどの力が出せたのか』

『理由は簡単です。生み出した化け物の力を使用しているからです。いえ、違いますね。厳密には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()ですが安心してください。化け物が死んだとき、その力は貸し出した神には戻らず消えます。』

「ちょっと待てそれじゃあまるで


『自分から進んで弱っているようではないか。そう言いたいのですね。はい、その通りです。』


「なんでそんな

『さあ知りません。ですがわかることが一つ』


『あれは、楽しみことに執着していて狂っています。楽しむためなら何もかも破壊し、創生して、地獄を、楽園を、作り出します。あれは異常です。あれを常識の物差しで見ない方がいいでしょう』

『痛い目を見ますよ』

「...おい、化け物の殺し方はなんなんだ」

 少女がそれを訪ねる


『不機嫌ですね。アレ、...無邪気の神に殺されかけたからですか?』

「いいから言えよ」

『そういうキレやすい性格が、あなたと彼を殺しかけたんだと思いますよ?まあどうでもいいんですが』


『化け物はあなたたちと同じように、契約しています。契約者を倒すこと、それが化け物の殺し方です。』


「人があんな化け物と契約しているのか!?」

 驚愕の事実の驚く

 化け物、それは人を虐殺し世界が終わりへの道を歩き始める原因となったもの

 そんなものと契約している人の考えが理解できない。

『少し間違いがありました。契約しているのは、死んだ人の魂です。生きていません。そのため、この世界が壊れようがどうなろうが知ったことないのでしょう。』

「それでもそんな...」

『これ以上は、契約者から聞いてください』


『次に、簡単に能力の説明をしましょう』

『ものを多く生み出したり、大きな変化を引き起こす能力を持つ神人、化け物は身体能力が低くなります。反対に、身体能力が高い場合は能力が下がります。』


『最後に神の居場所を教えましょう』

「...おい待て、化け物の契約者はどこにいるんだ!あの都市にはいなかったぜ!」


『...すみません、それは言い忘れていました。ですが、さすが神人ですね、契約者を探しているときに、ついで感覚で、都市全体を探索するとは』

「見ていたのか?まあいい。お世辞はいいからさっさと言え」

「...」

お世辞じゃなくて本当にすごいことを、やっている気がするんだけど..

『..ゲームが始まった日亀裂が発生したでしょう?』

「夜になるとどこかで開き、全身が木で、できているマネキンのような、化け物がはい出てくる、アレ..ですか?」

『はい。雑魚を生み出すアレです。』

「...」

顔をしかめる


雑魚..か

確かにあれらは、火を使えば簡単に無力化ができる。

だけど、無力化しかできない

無限に再生するのだ

その再生を止め殺せるのは隣にいる神人だけ

そのせいで多くの犠牲者が死者が出たのだ

それを雑魚と呼ぶのは、なんとなく吞み込めない

でもそんな自分の感情は、気にも留められず話は進む。

『契約者は、あの亀裂の中にいます。』

『そして、あの中に入れるのは、神人の契約者である小暮夕英、あなただけです。』

「え……」

自分だけ?

「わたしは入れないのか!?」

少女も、同じように疑問に思ったのかそう言う。

『過保護ですね。 ..厳密にいえば入れます。』

「なら!


『ですが、神人があの空間に入ると、契約者とは違い、能力がすべて使用不可能になります。』

「なっ...それでもッ!


『亀裂の中は、化け物の()()()の独壇場です。そんな中で一般人に成り下がるあなたが、中に入ったところで、何かの役に立ち、彼を守れると思いますか?足を引っ張るだけです。』


『それに外にいる。化け物はどうするんですか?』

『あれは神人と違い、亀裂の中でも力を使えますよ?亀裂の中に戻られたら、彼は2対1のリンチにあいますよ』


「ちょっと待って!僕には化け物を倒せる力なんて無..

「小暮..契約者は、わたしと同じように能力と身体能力が獲得できるんだ。だけど..」

『そうです、右手首を見てみなさい』


言われた通り手首を通てみる

「なあっ!」

そこには

少女の目と同じ色の


血のように赤いリングがあった


「これは..」

『それからあなたの固有の能力が、発動します。そして、あなたの身体能力も上がっていますよ。..能力によっては上がっていないかもしれませんが』

「...これなら僕は戦えるのか?」

『そうだと思います』

「そうか、なら..」

「まて!まって!!」

戦う決意を固めることを引き留めるような、だけど何かに怯えるような声が響く

「...」

その声の主は少女、サリエルのモノだった。


僕はその怯えを知っている


「能力があったって危険には、変わりないんだぞ!?殺されかけたわたしを忘れたのか!身体能力があったって、特別な能力があったって死ぬときは死ぬんだぞ!」

『契約を行ったため、あなたと彼は、契約前のあなたより、強いですよ』

「わたしが、言いたいことはそういうことじゃないッ!!」


ぽろぽろと大粒の涙をこぼしながら

彼女は、サリエルは、

「死なないなんて保証はないんだ!命に二度目はないんだ!!!死んだらそこまでなんだ!!やりたいことも、やりたかったことも、全部できなくなって、未来が可能性が、なくなるんだぞ!?それでいいのかよ!」

「それは君も同じだろ」


「そうだ!だけど私はお前に生きて欲しいんだッ!......そ、それにお前が死んだら、契約している私も死ぬんだ!いいのかよ!私が死んでも!!!そ、それに..」

泣きながら、

きっと、感情もぐちゃぐちゃになりながら

それでも必死になって、彼女は僕を戦いから遠ざけようとする。

「それに!それに!そ

「わかってるよ」

「ッ...!?」

僕は、優しく彼女を抱きしめた。


僕は、彼女の気持ちが痛いほどわかった。

だって、同じだから。

自衛隊の父が、化け物どもから人を助けるために、出て行ったとき彼女と同じように父に言ったから。

「だっ!たら!」

「わかるよ。だけど、僕は君と一緒に戦う」

「なんで!?わかるなら!わかるならなんで!」


「君一人だけを戦わせたら、僕は後悔すると思うから」

「...お前が死んだら、わたしも死ぬんだ。死ぬんだよ...わたしが、死んでもいいのかよぉ...」

抱きしめられながら、泣きながら、か細い声で自分を人質にして、そんなことを再び言う。


「言いわけないだろ」

「なら..」

「だけどさ、それを言うなら。『僕が死んだら、君が死ぬ』、その反対の『君が死んだら、僕が死ぬ』っていうのはどうするんだい?僕は死にたくないから戦う、なんて言ったらどうするんだい?」

「ぅっでも」

「君が、僕が戦おうとするのを引き留めるのは、僕が傷ついて欲しくないから、だろ?」

「...」

「僕も同じで、君に、より多く傷ついてほしくないんだ。」

抱きしめるのをやめる、一歩離れる

彼女の顔は涙でぐしゃぐしゃだった

ハンカチで目元を拭いてやる

「僕は今日ずっと君に、守られてばかりだった。」

「そのせいで君は、死にかけた。」


「あれは..わたしが..かってに」

目が合わせられないのか下を向き、喋る。

しゃっくりが止まらないのか、言葉が途切れ途切れで発せられる


「僕が足手まといになっていた事実は、変わらない」

「だから、せめて」

「戦えるようになったのだから、君の傷を肩代わりさせてよ」


「......」

「だめかな?」

「..あああああ!!!これじゃあダメって言えるわけ!ねーだろ!バーカー!!!」

頭を搔きむしって、顔を上げた彼女の表情は

泣いてできた赤いあとが、あるのが不思議なぐらいの笑顔だった


「そういったんだからには、わたしが傷つかないように、がんばってくれよ!死ぬなよ!」

「言われなくてもそのつもりだよ、サリエル...お前も死ぬなよ」

「おーけーだ!」

『なれ合いは済みましたか?それでは最後になりましたが無邪気の神の居場所を言いましょう』

「ああ、頼む」

「お願いします」

『バベルの塔、そこにあれはいます』


 視界が変化する


「んー?終わりましたですかー?長かったですねー待ちくたびれましたですー」


 そこはあのビルが崩れた場所だった

 浮かんでいた瓦礫はすべて地面に落ちていた

 月明かりの下

 ビルが並んでいた場所にしては場違いな大木があり。その上に誰かが座っている

「待たせた..か、そりゃすまねーなー化け物。さっさと殺してやる」

 少女は、敵意を隠さず言う


「契約したんですねー、面倒くさくなりましたねー、暇だったぶん、きっちりぶっ殺してやるですよー、かくごしろーですー」

 化け物は親しげに、だけど不気味に笑いながらそう言った。

次は戦闘



たぶん

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