外伝 「 」から0へ 0から1へ
時系列としては二話目の直前と7話のラストの部分
戦闘シーン書こうと思ったけど時間かかりそうなのでやめた
何というか別視点のお話です
(サリエル)死神視点もいつか書く
わかりずらい場所があったら教えてください治します
わたしは無だった
何もない虚無だった。
判断も認識も行動も、何もできない無だった。
無
ただそれだけだ
それ以上もそれ以下でもない
0とあらわすことさえできない
なぜなら、無に物質も可能性もエネルギーも意味も何もないからだ。
だから無と呼ばれるのになにもない無を0という意味を持ったものにあらわせらてしまうならそれは無ではない。
わたしはそんな無だった。
ある日、誰かが何かをした。
それによって無だったわたしに何かがいくつか流れ込んできた。
その瞬間、わたしは無ではなくなった。
だけど、あの時のわたしはまだもっとも無に近い存在だった。
だから、そのあと何があったのかは認識できなかった。
再び物事を認識したのは結構後だった
「なあ...」
声が自分にかけられた
認識が始まった
そこは、一本の木が芝生の真ん中に生えていて、暖かそうな光が当たっている場所だった。
遠くの方にははビルなどの建物が多く建てられているのが見えた。人も歩いている。車も走っている。日常の風景だった。
自分に話しかけた少女はー、白髪の少女は、芝生で寝っ転がり本を自分の顔の上で手を伸ばして、読んでいた
反応した自分をちらっと見ると、すぐ本に目線を戻した
そして、彼女は本をそのまま読みながら
「なあ..わたしとそっくりなおまえは何だ?わたしだけ、にしか見えないぽっいんだけど」
そう聞いた。
その時、私に流れ込んでいるモノのうちの一つが自動的に反応した。
まるでコンピューターのアプリのように、だ。
そして私の口は開き、言葉を機械のように棒読みで紡ぎ始めた
『私は死人の欠片、【残滓】です』
それを聞いた瞬間
本を閉じ
「ああああー!!なーあー!それ、何度も聞いたぜ!?もっと違う返答はできないのかよ?赤ん坊でもそれぐらいできるぜ!?…あー知ってるよ!こんなことを言ってもいつもお前は無口になるの!でもさー知っているけどさー!!」
そんなことを言いながら不満を表すように、じたばたし始めた。
ー何というか、まるでゲームのレアアイテムが出てこない宝箱に、1パーセントの望みをかけて何度も挑戦して結局出てこずがっかりする人みたいだった。ー
このフレーズをどうやら私は、何度も言っていたらしい。
そして無口に戻っていたらしい
あと、馬鹿にされているのは分かったが
一切何とも思わなかった。
その時だった
突然だった
わたしの中で何かが|うずいた
そして...
『おにいちゃんを助けて』
そんな言葉が、口から出た
なんでそんな言葉が出たのかわからなかった
「え...」
白髪の少女はその言葉に何かがひっかかった
でもひっかかっただけだった
何もわからない
ただ..何か大切なことだ。それに..『あのこと』がフラッシュバックする
「...」
芝生から立ち上がる
そして
「そいつはどこにいる!」
『ビル..彼が自殺する。彼を止めて』
また、自分の口が動いて
そこで認識が終わった
認識が始まる
そこはあの日常の風景と打って変わって世界の終末に見える景色のようだった
SFチックな兵器の残骸などが、そこら辺に散らばり
道路はめくれ地面が見え
ビルは飴細工のようにねじ切れ
そして、
切断されたビルの残骸が浮かんでいる場所だった
見渡すとそこに1人の人間がいた
血にまみれたもう死ぬ白髪の少女を抱えて己の無力さに、悲しみに、どうしようもできない苦痛に、叫んでいる人間がいた。
絶望して、救いを求める人間がいた
わたしは、何かを感じた
その瞬間
パキっ、と
わたしの中で何かが割れ変化した
この変化はわたしにあの時流れ込んだ何かが原因ではない
そもそもあれはただのコマンドのようなものだ
コマンドは、パソコン本体を変えたりはしない
変化が進む
パキリ、パキリと割れひび割れ変化する
わたしは無だ
自分が変化する、そんなことはありえ無いはずなのに
...いや違う
私はもう無ではないのだ
認識した
認識を自分の意志で行う。
0が1に変化する
ただ命令を出力する人形からAIのように思考する存在へと
自我が明確なものに変わる
あのとき流れ込んだものを自分の意志で認識する。
自分のデータを認識する
人の物ではない文字と数式の羅列を
そして、ひび割れが全身にまわり
クリスタルのような透明なわたしは砕けた
白髪の少女と瓜二つだった私は砕けた
そして
青い目を持つクリスタルのように透明な小さな女の子が現れた。
彼に歩み寄る
『本当に頼りないよねー、お兄ちゃんは』
わたしは、彼と少女の手を握りそう言う
自分を再構築した時に取り込んだ『記憶』の言葉使いに引っ張られている気がする。あと姿とか声も...
あーもういいや!あとでかんがえよう!
『..kpへ..わたしが、残滓が十三番目の神人サリエルの代行として契約を行います』
管理者にコマンドを伝える
わたしが意思を獲得したこと自体がイレギュラーなので、どうなるかわからない
失敗したらどうしよう
だがそんな心配とは裏腹に状況に変化が起こる
光が私たちを包み始めていた
『頑張ってね、おにいちゃん』
わたしは、そう言った
なぜ、私の再構築が始まったのだろうか
それは、きっとわたしが
理不尽に絶望に突き落とされた彼を救いたいと思ったからだ
答えになってないって?
人の弱さとは時に人を変えるんだよ
そういうことさ
読んでくれてありがとう
これから2週間は投稿しません
続きは待ってて