死者のために
読んでくれてありがとう!
「なんであなたがここにいるんですか白石さん」
「やあ、小暮君。裁判以来かな?」
白石透。
やせすぎと言えるほど体は細く。
真っ白なテーシャツを着ていて、四角い眼鏡をかけた33ぐらいの男性。
そして、僕の妹をひき殺した殺人犯
契約者のリングを持った殺人犯がそこにいた。
ーしかし、そのリングはどこか欠けていた。ー
「...」
僕はただそいつをにらみ続けていた。
「だんまりかい?……ひどいなー。再開ができたのに……」
白石が悲しそうに下を向く。
「……きちがいが」
僕はぼそりとつぶやいた。
再開ができた?だから何だ?妹を殺した奴とあって嬉なんて思うと思っているのか?
静かな殺意が心で渦巻く。
「きちがい、なんてひどいなー。」
へらへらと笑いながら、僕の独り言に白石はそんな返答をした。
「..ッ!」
「ちょっと、ちょっと.....そんなに警戒しないでくれよ。契約だったかな?それをしたから、聴覚とかするどくなってるんだよ。ただそれだけ」
「おとうさん!このひとしりあいなんです?」
白石に抱きついていた少女が顔を上げ、話しかける。
白石は
「そうだよ知り合い。お父さんのお友達」
優しくその子の髪を撫でて微笑む
その撫で方は、まるでガラス細工に傷がつかないように大切にするような撫で方であり。
ーー何かの後悔をはらんでいた。
「お父さんの手ーおおきい!」
「ははっ..そうかな?」
「うん!」
微笑ましい親子、そういうのが適切と言える光景がそこにはあった。
白石が自分に顔向ける。
その目からは何の感情もうかがえない。
虚無があった。
「君に話したいことがあるんだ。.....そのーなんだ。お茶でもしないか?」
白石はそう言った。
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そこは、広大な芝生が広がっている草原だった。
暖かい日差しが降り注いでいた。
「そとは何日たったんだい?.....無邪気の神が現れてから」
そこで、大きめのピクニックに行くようなシート敷いて、バターとパンとパンを切るナイフを間において、白石と僕は座っていた。
少女は、草原で走って遊んでいた。
「...わからない。生きるのに必死で日にちを数える余裕なんてなかった」
「そうか、....あっこんなこと聞いた理由は..ここはどうやら時間の流れが遅いみたいなんだ。どれくらい遅いのかわからないから、外から来た君に聞いたんだ」
「そうですか....次は僕が質問する番です。...ここはどこですか?」
「無愛想だね~。少しぐらい親しみを覚えてくれないとおじさん泣きそうになるよ?」
「質問に答えろ」
「.............ここはどこか僕はわからない、かな」
「わからない…?」
「うん。わからないんだ。ここがどこか」
白石が苦笑する
「僕は死んだはずなんだけどさ、起きたらここにいたんだ。……死んだはずの娘のイザベラとね」
白石は空を見上げる
僕も見上げればただ青い空が広がっていた。
これほどに晴天といえる晴天があるのかと言えるぐらいに、だ。
うっかりここが亀裂の中だということを忘れそうになるほどに
「僕が君の妹を殺した理由を言っていいかな?」
突然、白石がそんなことを言った
「は?殺した理由?」
「うん、ころs
「ふっっざけんな!!馬鹿にするのもいい加減しろッ!!」
勢いよく立ち上がり白石の胸ぐらをつかむ。
はらわたが煮えくり返りそうな怒りがそうさせた。
白石が驚いたような顔をする
ふざけるな、ふざけるなア!!
「殺した理由!殺した理由だとッ!!お前は理由があって偶然の事故じゃなくて!お前の意思で!僕の妹を殺したのかアアッ!!」
「ああ、なるほど確かにそんなふうに捉えられるか、ごめんごめん」
「ッ!なにが!」
「連続殺人事件」
白石はそう一言そう言った。
「それがなんなんだよ!」
「僕の娘がそれによって死んだ。そんな悲しさを背負いきれない僕は自暴自棄になって人をひき殺した。そう世間は言った」
「.............」
「どいつもこいつも僕の人生を知らないのに、だ」
「何が言いたい」
「僕の人生を聞いてくれよ」
白石が、胸ぐらをつかんだ手を弱弱しく掴む
僕は、白石の目を見た。
そこには変わらず、何の感情も見えず。
ただ虚無があった。
手を離した。
「やさしいね。君は」
「.............」
怒りはまだ、おさまらない。おさまるはずがない
だけど、だけど彼が何を思っているのか何であんな非道なことをしたのか聞きたくなった。
そして白石は、自分の過去を語り始めた。
最後までありがとう!