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鍵盤物語  作者: 寝藻
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第一話 異変

私自身、5歳からピアノを習っていたことがあり、その経験を活かせないかと思って作成しました。

小さい頃はピアノやっていたけど、あまり弾けなくなってしまった方や、ピアノは弾けないけど猫ふんじゃったは弾ける人など、様々な人がいると思います。

読んでいただいた全ての方にピアノに興味を持ってもらいたい。また、勇気を与えたい。

そのような思いで執筆しました。

 第一話 異変


 宮本タツヤ


「さぁ、今回クラスの合唱の課題曲は…『ハレー彗星を見上げて』です!」

 と担任のミヤシタ先生は誇らしげに言って満面の笑みで教室を見分たしていたが、クラスのみんなは原曲がよく分からないのでキョトンとしていたし、僕も自分の机の角の削れて丸くなっているところをぼんやりと眺めていた。

「じゃあ今回もピアノの伴奏はタツヤさんにやってもらおうかな!」とミヤシタ先生に名指しで言われたので、

 しぶしぶ「はい。」と僕は頷いた。

 隣の席の親友のコウスケが「またタツが輝く季節がやってきたな」とニヤニヤしながら言ってきたがスルーした。


 うちの中学校は1学年大体12クラスくらいの普通の進学校だが、12月にある音楽会に力を入れて取り組むのが伝統となっており、クラスそれぞれ力の入れようが半端なかった。

 当然合唱と楽器を使う合奏があり、合唱にはクラスから1名、ピアノを弾く伴奏者を選出することになっていた。


 去年の中学1年の時のクラスの伴奏は僕が担当した。

 当時の学活の時間で「やりたい人?」と先生が聞いても誰もおらず、

 そしたらコウスケが「タツ、ピアノ弾けるよ!」とクラス中に響き渡る声で言ったため、ピアノを習ってることがバレると共に、伴奏の白羽の矢が立った。

「ええータツヤ君ピアノできるの意外!」

「あのタツヤが?」

 といろんな声が周りから聞こえたが、クラスの力になれればいいか、と思い

「誰もいないからやります。」と答えた。


 趣味とはいえど5歳からピアノを習っていたので、伴奏自体はあまり苦労することなく無難にこなすことができた。また、男子が伴奏を担当することは珍しく、他のクラスはさもピアノが弾けそうなお嬢様みたいな女の子達が伴奏を担当していたため、僕の演奏自体は平凡だったが目立った。

 その結果、クラスの伴奏者=僕という位置付けになったのである。


 お昼の休み時間になった。

「いいよなぁ、タツはピアノが弾けてよぉ。」

「いやいや、コウスケはスポーツできるじゃん。僕運動音痴だし。」

「でも、タツ一部の女子から人気ありそう。」

 それクラス1人気のあるおまえが言うんか、て思って僕はコウスケをじっと見た。


 実際コウスケは顔整ってるし、運動神経抜群で優しく人あたりもいい。実際彼のことが好きな女の子もクラス内に複数いるだろう。自分の親友にはもったいないぐらいの男である。後カラオケ一緒にいったりすると、彼の歌はうまい。羨ましい。

「例えば誰よ、一部の女子、て。」僕が聞くと、

「うーん、例えば……コハルさんかな、おまえのことじっと見てる気がする。」

 とコウスケは怪談のように言った。

 ビビってコハルさんの姿を教室内に探したが見当たらなかった。

「脅かすなよ。僕そろそろ音楽室に行くわ。」

「おう、授業遅れるなよ」

 とコウスケに言われ

 コハルさんかぁ。あんまし関わりないなぁと考えながら僕は音楽室に向かった。


 実際の音楽会は俗に言う3本足の大型のグランドピアノで演奏しなければならない。自分の家にはアップライトといって奥行きの短い家庭用のピアノはあるものの、音のなめらかさだったり、ペダルの伸びなど全然違う。

 なので僕は伴奏が決まるといつも、時々昼休みに音楽室のグランドピアノに触るようにしている。


 ハレー彗星かぁ。簡単だったらいいなぁ。と思って廊下を進んでいると、音楽室の扉が少し空いている。


 変だな、ここはいつも閉まっているしこの時間は誰もいないはずだぞと思ってのぞくと、ショートカットの小柄な女の子がこちらに背を向けて立っていた。


 ん。女の子?あれは誰だ?と思って入ると女の子はビクっとしてこちらを見た。


「え、コハルさん??」

 なんと音楽室にいたのは先程コウスケと話題になった、コハルさんだった。

 コハルさんはクラスでも女の子グループ内にはいるものの、あまり目立つタイプではなく、どちらかというとまだ謎が多いイメージを持っていた。

 だからあまり会話もした覚えがない。

「あ、えと、同じクラスの宮本タツヤです」と一応自己紹介しつつ、

「ここであの、何をしてたの?」と聞くと

「別に……………。」とコハルさんはうつむきながら言って下を向いて沈黙してしまった。


 こうゆう時コウスケならうまいんだよなとか思いつつ、何話そうかと自問自答していると、

「伴奏、頑張って。」と少しはにかみながら言って、コハルさんは音楽室を出ていってしまった。


コハルさん、あんま話したことなかったけど案外いい人かもな。と思ってグランドピアノに近づいて楽譜を置いた。


しかし鍵盤に手を置いた時点で何か得たいの知れない気持ち悪さを感じた。まるで、ピアノの蓋の開いているところから誰かに覗かれているようだった。謎の悪寒が身体中かけめぐり、

これはやばい、と思った瞬間目の前が全て真っ暗になった。

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