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Re:verse-Re:birth  作者: あーる
第1章『夢と現実の狭間と謎編』
71/150

1-47.『相違』

「うん……? 刻と燈」

「あ、透お兄ちゃん……ごめんなさい、起こしちゃって」

「大丈夫だけど、どうしたんだ? ご飯の時間があるはずなのに、何故に部屋の電気が……」

「それが、わからなくて。その言い方だと、電気を消したのは透お兄ちゃんではなさそうだね」

「……ということは、刻も燈も違うのか」

「うん……そうだよ。透くん……申し上げにくいんだけど、その。あそこを見て貰えるかな……?」


 先程、燈が刻に示したように今度は透に示す。透がそれを目にしてしまうのを、緊張しながら見守っていた刻と燈。


「……うわ。本当にびっくりしたな。まさか、あれが今光っているのか……?」

「おそらく、そうだと思うよ。透お兄ちゃん……よかったら、私があの箱を開けようか?」

「いや、いい。俺が自分でやる」

「だ、大丈夫なの……? 透くん」

「俺が開けないと……あの夢を見たのは今のところ俺だけだから。だから、一番わかってるのは現状は俺だけだと思ってる。だから、そんな俺が見て確認しないわけにはいかないと思ったんだ。夢の時と、何かが違うかもしれないしな」

「透お兄ちゃん……」


 透の勇気には、感服するがそれと同時に透のことが心配な刻と燈。刻は、透を背後からそっと抱き締めた。


「私がついてるからね」

「ありがとう」


 透は深呼吸をして、奇妙な物体が入った箱をそっと開ける。それをごくりと呑み込みながら見守っていた刻と燈。



 ――透が箱を開けた瞬間、箱の中から赤黒い光が一気に放出した。


「うわ」

「お、思ったより眩しい……」

「き、昨日と同じ光り方だね……」


 目を瞑る透たち。ようやく光に慣れてなんとか目を開けることが出来た。


「改めて思うが……不気味で禍々しい物体だな」

「も、もう見ても大丈夫なの? 透くん……」

「正直、不快で見れば見るほど気持ち悪くなる。夢の内容を鮮明に思い出してきて……いつの間にか何かを飲み込んで、胃の中に変な物が現れたような気分だ」

「無理しないでね。本当に……」


 すると、透が呟いて箱の中に手を入れようとする。


「……触ってみるか」

「え……!?」

「ほ、本当に……!? 何が起きるかわからないよ……!」

「ちょっと、確かめたいことがあって。こいつは本当に、あの時の夢に現れたような奴と同じ物なのかどうかを」

「ちょ、ちょっと待って、透お兄ちゃん……本気なの? もし、それが夢に出てきた物と同一なら、透お兄ちゃんはどこかに消えてしまうかもしれないってことでしょ? もし、夢に出てきた隕石が降ってくる森や噴火直前の火山にでも辿り着いてしまったらどうするつもり? いや、触るだけで異動するのは非科学的だろうから、そんなことは起こりえないっていうそんな現実的な話はさておき……それに、その物体の光の色は見るからに危険で……」


 刻が混乱しながら慌てふためいて透への説得をする。


「と、刻ちゃん、言いにくいんだけど……もう透くん、物体を手に取って持ってるよ」

「ええええええ!?」


 しかし、透が物体に触れていても何も起こらなかった。刻はパニック状態になりかけていたが、なんとか冷静になって落ち着きを取り戻した。


「……へ、変化無し?」

「みたいだね……」


 すると、相変わらず無表情の透が冷静に言葉を発する。


「……違うな」

「え?」

「ち、違うって、それは一体どういう意味……」


 透の言葉に困惑を隠せない刻と燈。


「俺が夢で見た時に触った時とは、まるで違う物に触れているかのように感触が違う。いや、夢と現実がそもそも違うから当たり前だけどな。でも、夢を見た時には草村や洞窟を歩いた感触はたしかにあったから……あれらは自分の知ってる感触だった。だから、恐らくこれも……感触は夢で触った時と現実通りの可能性は無くはない。初めて触る物だからどっちが正しいかはわからないけど、現実世界で今触ってるこの感触が確実に正しいんだろうな。一つだけはっきり言えるのは、夢の時と今で感触が全く違うということだ。若しくは、見た目は一緒なだけの全くの別物の可能性も……」

「なんだか、考えれば考える程、疑問が膨大に増えて来て問題の難易度が上がっていくね。答えを探せば探す程、答えが遠のくような……そんな感覚だよ」

「本当に、これは一体何だろう……透くんと刻ちゃんでもわからないことがあるなんて……」

「……悔しいね。透お兄ちゃんと私が一緒にいて、ここまで考えてもヒントすら見つからない問題があるなんて」

「これが何なのかがそもそもわからない以上、どう推測したところでどれも邪推にしかならないからどうしようも無いんだよな。知っていい物なのか、知らない方がいい物なのかもわからないし。後者なら、今すぐ捨てたいところだが……誰かが心を込めてプレゼントしてくれた物の可能性もまだあるから、捨てにくい気持ちもある」

「そうだよね……リスクを考えれば、何も知らないで捨てるのが一番良さそうだけどね……」


 燈がそう言った時、刻は深刻そうに話す。


「……待って。捨てたところで、何も意味が無い気がする」

「え? どうして?」

「私は、透お兄ちゃんの誕生日プレゼントを部屋に運んでいたから一番よくわかってるんだけど……プレゼントを運んでいる間、本当にこの物体の存在に気がつかなかったんだ。部屋に行ってみたら、まるで自分の存在を激しく主張するかのように現れていたような感じだったんだ。透お兄ちゃんが断末魔をあげる前ね。私も、初めて見たのがあの時だったし本当に異質なんだ。大袈裟に聞こえるかもしれないし、馬鹿なこと言ってるって思うかもしれないけど……なんかこの物体、意思を持ってるかのような感じがするんだよね」

「え……!?」

「私はオカルトとか半信半疑だから、ちょっとやそっとのことじゃ信じたりはしないんだけど……これに関しては、何かが違う。オカルトとかそういう類いを超越したような。そんな感覚なんだよ」

「そ、それって……どういう……」


 すると、透が話す。


「実は、刻の言う通り俺もそんな気はしていた。どうも、ただ事では無い気がする。気のせいだとか、偶然とか、そんな言葉で片付けられるような内容では無さそうな。こればかりは、理解して貰うには経験してみるしかなさそうなんだけど本当に言語化が難しいような違和感なんだ。何らかによって呼び寄せられているかのような……そんな気分だ」

「……私にとっては、透くんや刻ちゃんの口からそんな台詞が出てくること自体が驚きだよ。超常現象とかそういうのを信じてるところを見たことが無いから、オカルトとかそういうのも娯楽の一部としか考えていなさそうだったから……」

「まぁ、内容によっては本当だったら面白いのにとか思ったりはするよ。でも、今は全然面白く無いしワクワクもしないけどね」

「なぁ」


 透の一声に、刻と燈が一瞬でピタリと止まった後、静かに透に振り向く。


「二人も……この奇妙な物体を持ってみるか?」

「え、いいの?」

「あぁ」

「じゃあ……私から持つね」


 すると、刻が透から物体を受け取り手に持つ。


「なんだか……光を出してる割には思ったより冷たいね。見れば見る程、不思議な物体だったけど。いざ触ってみると、もっと不思議に思える」

「夢の時に現れたこいつは、もっと温かかったんだけどな。強く光り始めないのもそうだし、俺も今直接触ってみて変な感覚になったんだ」


 刻が、燈に手渡す。燈も、初体験する奇妙な物体の感触。刻の言う通り、発光してるのに冷たかった。こんなことが、ありえるのかと不思議に思う燈。


「これは、元々地球に存在していた物なんだろうか?」と透たち三人は同じことを考えていた。

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