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Re:verse-Re:birth  作者: あーる
第1章『夢と現実の狭間と謎編』
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1-35.『将来』

「まぁ……とにかく、きみもわたしらと一緒にい続ければあいつがどんな人間なのか、いずれわかってくるよ」

「わたし……正直、知りたい気持ちは別に無いかな。出来ればもう、極力関わりたく無いの……わたしが自分を制御出来ないせいで、トオくんを怪我させたり皆に迷惑かけたり……」

「ま、嫌いな人間のことなんか心底どうでもいいから知りたくないだろうね。でも、それだときみもわたしらと一緒にいられる時間はもっと減るだろうねー。今日、秘密基地の入り口で待ち伏せしてた件を見たからわかると思うけど、あいつは時間が経てばあたしらの所になんだかんだ戻って来るから。だから、あいつと同じ空気をどうしても吸いたく無いなら、きみが譲渡してわたしらと一緒にいる時間を減らすしか無いんじゃない?」


 乃之は今にも消え入りそうな声で呟く。 


「それも嫌だ……せっかく、トオくんとまた会う為に日本に帰って来たのに、結局一緒にいる時間が減ってしまうなんて……でも、わたしは我儘すぎるよね。いきなり皆の輪に混ざって、いきなり問題を起こして……皆からしたら、わたしは問題児の邪魔者だよね」

「その考え方は好きじゃないなー。ま、わたしらに変化を求めるのは違うだろうから、きみが一番変わるしかないのは事実だね。多分、甘い透おにーちゃんのことだから、そのうちきみのことを受け入れるようわたしらに提案はしてくるだろうけど。でも、だからってそんな優しい透おにーちゃんに甘えたりしないように」

「うん……それは勿論だよ。トオくんにだって、これ以上迷惑かけたくないから」


 散々、あんなに図々しく透のことをなんでも知りたがっていたくせにと内心思う心。

 

 一方、燈は話を聞いていて乃之が反省はしたようで安心した。

 少し前までは、乃之が透に対するスキンシップが激しかった為、刻と同様に燈も正直なところ良くは思っていなかった。しかし、現在の状況的に燈は少し前の乃之以上に透と濃く接触し合っている。

 透との接触のしかたの領域が領域なだけに、もう既に乃之のことを悪く思うことは出来なくなっていた燈。


 もし、この現場や刻や心、他の女子たちに目撃されてしまえば乃之以上に怒られてしまうだろう。そう考えると、燈は極端に心臓の鼓動が速くなっていた。透には勿論、他の女子たちにも今更ながら申し訳無くなっていた。


 燈は、絶対に今動いてはいけない状況で落ち着かなくなってくる。段々、心と乃之の会話に頭が入らなくなりそうだった。


 少しの間、沈黙が続いた。心と乃之の二人は二人で気まずい状況。乃之は恐る恐る、声を出す。


「刻ちゃん……許してくれるかな……」

「んー。きみ次第じゃない?」

「え……?」

「透おにーちゃんが手を差し伸べてくれるうちはまだ、希望はあるよ。流石の刻おねーちゃんも、透おにーちゃんの意向は無視出来ないから。他の皆も透おにーちゃんの判断に従ってついていってる形だし。ま、透おにーちゃんに見離されたら、それはもう終わりだけどね」

「そう、だよね……」


 顎より下を湯の中に沈める乃之。心は、乃之とともに浸かっている同じ湯を出て立ち上がる。

 乃之は、思わず心に嫌われてしまったんじゃないかと焦りながら訊く。


「こ、心ちゃん……? もうあがるの?」

「いや、違う。少し暑くなっただけ」


 心は、そのまま壁に寄りかかる。手の甲を額に当てて頭部に溜まっている汗を落とす。

 乃之は、心に見限られてはいないようで安心した。


 何を思ったのか、乃之は心に訊きたかったことを勢い余って訊いてしまう。


「ねえ、心ちゃん……」

「なに?」

「わたし……その……トオくんのこと大好きなんだよね……」

「うん。知ってる」

「え……!?」

「え……!? じゃなくて……あんなにスキンシップしてたら誰でもわかると思うけど」

「……そっか。わたし、自分のことを全然客観的に見れてないね」

「うん、寧ろバレてないって思ってたことの方が驚きだけど」


 心と乃之がコントのようなやり取りをしているが、透に恋をしている燈としては複雑な心境になる話の内容だった。何よりも、ターゲットである透本人がこの場にいて話が聞こえる状況である。

 当事者である透は二人の話をどんな心境で聞いているのか、燈は胸が張り裂けそうなくらいに心臓が痛くなってくる。心と乃之の会話に混ざって話している立場でも無いのに、燈は気まずくなっていた。


 そして、燈の僅かな望みを打ち砕くかのように、二人による気まずい話はどんどんエスカレートしていく。


「刻ちゃんってさ……トオくんと血の繋がりは無いんだよね? じゃあ、やっぱり……将来は結婚出来ちゃうのかな」

「ま、血が繋がって無ければそりゃ当然に法律上問題無く結婚出来るよねー。従兄弟姉妹(いとこ)同士での結婚も法的に問題無いくらいだから、尚更。それに、刻おねーちゃんは透おにーちゃんのことが何よりも大好きだし」

「……そうだよね。やっぱり、わたしじゃ無理なのかなぁ……」

「……その話はまだ5年、早めに見積もっても3年は早いんじゃない? 刻おねーちゃんだとしても」

「で、でも……今のうちにトオくんとある程度の進展がないと不安だもん……他の子に取られちゃうんじゃないかって……」


 膨れ上がる乃之と心の恋愛トーク。燈は、訊けば訊くほど身体が熱くなったり冷たくなったりを繰り返して呼吸が乱れそうになる。


「……まぁ、大好きな人と18歳で直ぐ結婚出来るようにするなら、今からでもある程度の話はして準備を進めていった方がいいだろうね」

「やっぱり、そうだよね…………刻ちゃんもやっぱり、トオくんのこと……。それに、わたしなんかがトオくんの相手じゃ、絶対に釣り合わないだろうし、刻ちゃんを始めとする皆に反対されちゃうだろうし…………」

「……」


 心は、流石に乃之のことが気の毒に思えてきた。大好きな透と幼い頃に分かれて、祖国である日本を離れて1国際都市で生活し、その間はまた透と会う為にずっと我慢して日本語の勉強も頑張り、およそ10年の時を経てようやく念願の透に会えたと思った矢先、大勢の恋敵や透を怪我させてしまうという。

 

 心自身は、透より魅力を感じて好きになる男と今まで出会ったことが無いので恋心というものを理解出来ていなかった。つまり、生まれてから現在に至るまでのおよそ13年間、一度も誰かに恋をしたことが無いのである。

 その為、乃之にどこまで寄り添ってあげられるかわからなかった。


 しかし、「せめて話を聞くことぐらいなら出来ないだろうか」と心は思った。


 若しくは、自分の知っている情報を乃之に教えてあげる。

 そう考えた直後、乃之に「そんなことまでする必要はあるのだろうか?」と疑問になる。

 正直、乃之のことを心個人としてはまだそこまで信用出来ていない。いくら久しぶりに透と会えて嬉しいからとはいえ、あまりにも馴れ馴れしく身勝手な行動が多すぎたように心は思った。


 何よりも久しぶりに会うまでのブランクが空きすぎていて、現在の乃之がどういった人物なのかもまだはっきりとわからない。信用するには、まだ関わった時間が短すぎる。


 心は、透がここ最近夢に苦しめ続けられてきた状況が状況なので、これ以上混乱させる事態は増やしたく無いと思った。乃之に何かを話すのであれば、注意深く話をするように構える。


 ――と思ったが、乃之は未来が怖いのか口を開かなくなってしまっていた。

 心は、このままでは仕方が無いので乃之をフォローしてみることにした。

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