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Re:verse-Re:birth  作者: あーる
第1章『夢と現実の狭間と謎編』
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1-18.『誤解』

「透くんも寝る体勢になったし……私も寝ようかな……」


「うん~! おやすみおやすみ、燈」


 燈は、実のところまだ眠くはないし瑠夏一人に見守られるのは正直不安な部分はあった。特に透に独り占め的な何かの悪さをしたりするんじゃないかという不安が大きかった。

 瑠夏も燈自身と同じく透のことが大好きな女子であり、つまり恋敵である。瑠夏のイタズラっぽい性格もあり、そう思うと燈は逆に安心して眠れなかった。


「(寝たフリをして、逆に瑠夏ちゃんを監視した方が良さそう……私も寝ないのは透くんを裏切るみたいになっちゃうのは申し訳無さすぎるけど……)」


 何分かして燈は薄目のまま、少しわざとらしい寝息を出して寝る演技をしてみる。思ったより、真面目に透や自身を見守っていた瑠夏。その矢先のことだった。瑠夏は、そーっと透に近づいた。


「(え……?)」


 そして、瑠夏は透の寝顔をまじまじと眺めていた。元々ニヤニヤしていた瑠夏だったが透の寝顔に癒されたのか、更に微笑んでうっとりしている様子だった。燈は、この時点で嫌な予感がしたが観察を続ける。


 しかし、燈の予想が外れたのか瑠夏は透から離れた。すると、今度は燈の方をじーっと見つめてきた。


「(え、わ、私?)」


 すると、瑠夏が透に顔を近づけたように、今度は燈にも顔を近づけて来たのである。


「!?」


 燈は、元々赤い顔を更に赤くさせて、起きているのがバレないようにしっかりと目を閉じた。薄目だと確実にバレてしまうだろう。


 燈は、直ぐ目の前に瑠夏の顔がある状況をそのままじっとして必死に耐え続けた。鼻で軽く息を吸って吐くことも繰り返したりしてみて、瑠夏に寝ていることをアピールする燈。その時、燈は瑠夏が「よし」と呟いたように聞こえた。


「(え)」


 瑠夏の気配が消えた燈は、再び薄く目を開けてみる。すると、瑠夏はまた透の所に移動していた。


「(…………まさか)」


 そのまさかだった。瑠夏が燈の予想通りの動きをし始めた。再度、透の顔に近づける瑠夏。さっき以上に二人の顔と顔の距離が近かった。そして、二人の口が同じ高さにある。そして、そのまま――。


「だ、ダメ!!!」


 燈が飛び上がるように起き上がり、全身で瑠夏の身体を抑えて止めさせた。


「うわぁ!?」


 瑠夏は、燈とともに草村の上で転倒する。瑠夏は尻餅を付き、燈は瑠夏の上で這いつくばっているような姿勢となってしまう。燈は、現在の状況にハッと目を覚ますように気づき、顔中が真っ赤に染まる。

 そして、瑠夏も軽く頬が桜色に染まっていた。

 

「あ、燈……あたしが、透の所に行くの、そんなに嫌だった?」


「そ、それは……そう、だけど…………」


「あ、あたしのことが……透のものになるより、燈のものにしたかった? 透に取られたくなかった……?」


「……!? ち、違うよ!! そういう意味じゃない!! 瑠夏ちゃんが透くんにダメなこと、しようとしてたから……!!」


 燈はこれ以上に無いくらい恥ずかしそうに全力で否定する。


「ふ~ん……あたしが透に、何をすると思ったの~?」


「そ、それは、その…………」


 燈は、言葉が詰まって瑠夏から顔を逸らして俯く。そんな燈の顔の様子を、まるで鑑賞するかのように覗き込む瑠夏。こんな状況で、燈をからかい余裕の表情を見せる瑠夏。


「そ、それより、瑠夏ちゃん!! 何考えてるの!? じゃ、じゃあ逆に聞くけど、今、透くんに何しようとしてた? どんなつもりだろうと……誤解され兼ねない行動だったことには、変わりないよね? そ、それに、もし……と、刻ちゃんに見つかったら、その、ど、どどどどうするつもり!?」


「あっ……」


 瑠夏は、燈の言葉を聞いてヒヤッとし、顔が青ざめる。たしかに、刻に見つかったらタダでは済まない。しかも、明日花と乃之の件で透が怪我をさせられてしまい、タダでさえ機嫌が著しく悪い状態の刻。男勝りな物理的な喧嘩の強さを持つあの瑠夏でさえも怖じ気づく程に、刻のことは恐れているのである。


「あ、危なかった……たしかに、見られてたら大変なことになってた。燈は、人の恋にイタズラする悪魔のキューピットかと思ったけど……逆に救世主様だった……!」


「い、いや、煽てないで!? いくらチャンスだと思ったからって、後先のことを考えてくれないと……というか、刻ちゃんに限らず心ちゃん以外の女子全員が機嫌悪くし兼ねない案件なんだけど……」


「ご、ごもっとも……で、でもさ、進展しているライバルがいれば、皆ももっと透と親密になりたくなって張り合いが出てくるんじゃないかと……」


「そ、そうかもしれないけど……!! 今はとにかく状況が悪すぎるよ!」


 燈と瑠夏が軽く揉めてる、というよりかは燈が一方的に瑠夏を説教している状況だが、そういうやり取りが続くと直輝が起き始める。


「んにゃ……なんか、やけに賑やかじゃねーか」


「あ……!」


「あ、直輝。おはよ~」


 直輝は半目のまま、眠そうに周りを見回して頭を抑える。そして、欠伸をした後、全身を伸ばして気持ち良さそうにストレッチを始めた。


「ご、ごめんね、直輝くん! 起こしちゃったかな……?」


 燈は、自分のせいで直輝を起こしてしまったんじゃないかと思い、慌てて謝る。


「んあ? なんで燈が謝るんだー? オレに何か変なイタズラでもしたか?」


「あ、いや、そうじゃなくて……私が瑠夏ちゃんと少し騒いじゃったせいで直輝くんを起こしちゃったんじゃないかと思って……」


 直輝は、納得しつつも少し疑問になる。


「あー、なるほどな。別に燈のせいじゃねーよ、オレのペースで自分の意思で起きたんだ! オレの体内時計も、そう言ってるからな! って、ん? オメーらって、そんなにじゃれ合う程の仲だったか?」


「あ、いや、これは、その……」


「燈ってば、いきなりあたしのこと押し倒して来たからびっくりしたよ~」


「なんだと!? あの大人しくて消極的な燈が、そんなことすんのか!? ついに燈も、発情期って奴か!?」


 燈は、再び顔中を真っ赤にさせて、恥ずかしがりつつも瑠夏に抗議する。


「ちょ、ちょっと瑠夏ちゃん、誤解させるようなこと言わないでよ!! あのね、直輝くん。違うの。瑠夏ちゃんが……」


「大丈夫だぞ、燈。別に恥ずかしがることはねー。オレらはもう中学生だ。そういうことしたくなるヤツもゴロゴロ増えてくる。行動力があるヤツは、その分たくさん青春出来るからな!」


「だ、だから、違うんだってばー!!」


 燈は、直輝の誤解を解くどころか、完全にそっちの方向へと思われてしまい心が折れそうになる。


 そして、颯空と呂威も起きる。


「ん……おはよう。あれ、何時だ?」


「あ、颯空くんに呂威くん……おはよう」


「目が覚めた直後、やけに騒がしくなったような気がしたが?」


「ごめんね。あ、あのね、実は……」


「あたし、燈に急に押し倒されちゃ……んっ!?」


 燈は、瑠夏による流布をこれ以上防ぐ為に、吹き込まれる前に慌てて瑠夏の口を塞いで弁明する。そして、一連の流れを颯空たちに説明した。そして、ようやく誤解が解けて場が落ち着く。


「なんだよ、てっきり燈がマジでそっち方向に目覚めちまったのかと思ったじゃねーかよ」


「まったく、汚い奴め。嘘を言わなければ扇動すれば良いとでも思っているのか?」


「いつの時代のメディアだよ。そんなことしようとすれば、いくら燈でも止めさせるに決まってるだろ」


「あはは、ごめんごめ~ん。あたしも、これは流石に卑怯だと思ったよ。でもさ、慌てて必死な燈って、めっちゃ可愛いからついおちょくりたくなっちゃったんだよ!」


「もう……酷いよ。瑠夏ちゃんなんてもう知らない」


「ごめんって! あ~か~り~! 嫌いにならないで~?」


 瑠夏は燈に抱きつく。


「だ、だめ、抱きつかないで! 瑠夏ちゃんのせいで、余計に暑くなったのに!」


「暑くなかったら良いんだ~?」


「ダメー!」


 颯空たちは、全然反省していない様子の瑠夏にやれやれと溜め息をついて呆れていた。その時、状況が突然に一瞬で急変する。


「何を騒いでるの?」


 刻の突然の声に、燈たちは心臓が飛び出しそうになる程に、飛び上がるように驚く。今までの騒ぎがまるで嘘だったかのように、一瞬で静まり返った。

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