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Re:verse-Re:birth  作者: あーる
第1章『夢と現実の狭間と謎編』
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1-12.『予想』

 透が再び横になると、寛ぐつもりは無かった刻や燈、そして颯空や呂威、月葉(つきは)といった真面目な性格の傾向の人物までも便乗する。各自が、まるで自分の家のようにリラックスして休んでいた。


 そして、透はある人物の気配を感じる。


「……」


 秘密基地に来る際に通った道の方向に目をやると、何者かの人物がいた。しかし、視力の良い透には、その人物の正体は直ぐにわかった。明日花だった。


「……」


 明日花が、チラチラと気まずそうに、そして恥ずかしそうに動揺しながらこちらを覗き込むようにして様子を伺っている。明日花が自身や皆に対し、悪態をついたこと、そして雰囲気をぶち壊したことを後悔しているのだろうと透には直ぐにわかった。心なしか、明日花にとって最も付き合いの長い幼馴染みである透のことを特に見ている回数が多かった。


 好きなだけ言うだけ言ってその場を去り、結局後悔して元の場所へと戻ってくる素直になりきれない人物。それが遠山明日花(とおやまあすか)という人物であることは透もよく知っていた。

 

 おそらく、向こうは自身にバレていることを知らないだろうと透は思った。なので、敢えて気づかないフリをして視線を変えた。


 透は、明日花のことを呆れてはいるものの、怒っていたり恨んでいたりしているわけでは無かった。今回の騒動を起こした原因は、紛れもなく明日花だということは透自身もよくわかっている。だからこそ、明日花にもそろそろ自身の望む方向に変わってほしいと透が心の中で願っていた。寧ろ、明日花に応援すらしていたのである。


 決して、意地悪をしたいわけでは無く、自身が明日花に手を差し伸べることで明日花が甘えた人間で居続けることになってほしくなかったのである。明日花がそういう人間で居続けたいのならともかく、決してそうじゃないことも透は幼馴染みだからこそ理解していた。仮にもし、明日花がそういう人間であり続けることが望みだったとしても、明日花の為にならないとわかれば透は反対して説得している。


 学校でも起きたクラス表のトラブルにて、透が明日花に執拗に絡まれて悪者扱いされたこともあったが、それとは別になんだかんだで幼馴染みだからこその明日花に対する心配が透にはあった。そして、それは明日花も透のことが心配だったのは同じだった。


 明日花がおかしな方向では素直な為、透がクラス表を手に取っていたことを目にした時は、透が悪い人間に墜ちてしまったんじゃないかと思い込み、焦ってつい突っかかったのである。事情も知らずに、頭の中が真っ白になって暴走したのだった。現在もまだ、羞恥心と後悔で透のことを考える度にそれらの出来事を思い出す。


 透に強い罪悪感はあるのに、素直になれずちゃんと謝ることすらもままならない。そんな自身の情けなさは、明日花自身がよく自己嫌悪していた。周りに誰もいない時は、一人で陰に隠れて泣くことも少なくない。透は、過去にそんな明日花の姿を何度も目撃している為、明日花が裏で何をしているかもお見通しだった。


 きっと、さっき刻によって抑制されていた興奮する乃之から逃げた直後も、誰にも見られない所へ行って一人で泣いてたのだろうと透は察していた。


 気づいて慰めてに行ってあげたところで、明日花の性格上プライドが許さなく再度暴れて負の連鎖になることは透は目に見えていた。過去の経験から、火に油を注ぐようなものだと予想出来ていたのである。透が自分から何か行動を起こしに行くよりかは、陰からそっと見守り続けて明日花の方から頑張って動いてもらい、良い方向に変わってくれることが最善策だと透は思った。


 透が再び休み始めようとすると、燈が透の隣に座って来た。

 

「透くん?」


「どうした?」


「今日、何時に帰る予定かな?」


「そういえば……話すことばかりに気を取られてて、特に考えていなかった。燈は、もう帰りたいのか?」


「あ、ううん……訊いてみたかっただけで、何時までには帰りたいとかは特に無いかな。私は、透くんの帰る時間に合わせるよ」


「なるほどな。せっかく来たから、俺としてはもう少しゆっくりしたいって個人的には思ってる。それに、今って思ったより暑いから、この時間に移動するってなると熱中症や脱水症状を起こすリスクもあるだろうし。もう少し涼しくなってから帰るのもありなんじゃないか?」


「たしかに、それもそうだよね。私も、今この暑さで帰る気は流石に無かったから……よかったよ」


「燈も、帰るまでにゆっくり休んで体力温存しておこう。慣れてる道とは言え、想定外の暑さだから帰りの途中バテるリスクもあるからな」


「そうだね……透くんの言う通り、私も休ませて貰うね」


 透と燈が話していると、刻も燈とは反対の位置の、透の隣に座る。


「なんだか……時間が経てば経つほど、やけに暑いよね。気温30℃越えてるかもしれない」


「え!? そ、そんなに?」


「燈ちゃんは暑さに強いし、普段から火照ってるから体温高めなイメージがあるし感じにくいのかもしれないけど、今は相当暑いよ。まだ4月の上旬なのに、既に例年の夏並みか下手するとそれ以上の暑さがあるね」


「ふ、普段から火照ってるから体温高めなイメージ……いや、流石に私も例年の4月よりは明らかに暑すぎることはわかるよ!?」


「ここ最近、色々ありすぎたせいで感覚が麻痺し気味だが……流石に異常すぎる気象だな。何がどうなっているんだろうか」


「今、世間ではどう騒がれてるんだろうね。この山奥じゃ、町の声も聞こえにくいし流石にわからないね」


「本当に、一体何が起きてるんだろう……怖すぎるよ。これから夏の季節を迎えたらどうなっちゃうのかな……」


「異常すぎて先のことは想像もつかないな。過去のデータとか参考にならないんじゃないか?」


「多分ね……ここまで暑すぎる4月が今まであったのかどうか、私も記憶に無いから自信が無い」


「そ、そんな……透くんや刻ちゃんでも記憶が定かじゃないなら、本当に今年は異常そうだね……」


「地球の公転軌道や自転軸の傾きでも狂ったのか、極端に日射量が多い気もするね。人類が他の惑星に移住しないといけない日が遂に来てしまったりして」


「え!? そ、そんな……!! それだと、この町ともお別れしちゃうってことになるよね……?」


「自然の力に対抗してこの町を守りきるのはかなり難易度が高いよね。それも、星が傾くレベルの自然災害が起きたりでもしたらね。まぁ……私だって、そんなことは考えたくないし、この町が大好きだから可能なら絶対そうはなってほしくは無いんだけど」


「自然災害、か……俺にとってはタイムリーな話題だ」


「あ……! ごめんね! 本当にそんなつもりは無かったんだよ。ただでさえ、透お兄ちゃんがそれで苦しい思いをしてるっていうのに……」


「いや、刻が謝ることは無い。これも全部、俺が見た夢のせいだから……しかし、見た夢が夢なだけに、この先の未来が正直不安にはなってくるな」


「そうだよね……夢に出てきたこの物体が、まさか現実に実在してたから……隕石や火山噴火も、そのうち……とか不安になってくるよね」


「……一旦、考えるのはやめようか。そんなレベルのことが本当に起きてしまっても、今の俺たちに出来ることは結局限られてるからな」


「そう、だね……いつでも地球上から逃げられるように、予め準備しておく必要はあるね。近いうちには起こらない保証は無いし。起こらなかったとしても、準備はしておいて損は無いからね」


「透くんたちの家は……宇宙へ行ける自家用ロケットも持ってるんだよね」


「まぁ、一応は。ただ、知っての通り父さんは医師だから本職じゃないから親戚か父さんの友人の力を借りることになるな。もちろん、その時は燈も含めて皆も乗せてもらえないか交渉はするつもりだけど」


「ありがとう……凄く、心強いよ。知ってる人たちが多いと安心もするし」


「あぁ。予想が不可能なことは、時間が経たない限りいくら予想しても正解はわからないから、現時点ではそんなに深刻に考えなくてもいいかもな。そもそも、時間が経ったところでわからない可能性も十分にありえるしな」


「透お兄ちゃん……」


「透くん……」


 透の言葉には、重みや説得力を感じていた刻と燈。二人は、特に透の強さを重々承知しているが無理していないとは思いたかった。ただでさえ、夢に苦しめられていたり、気絶したり、体調が悪化したりと透に連続で良くないことが降り注いでいるのに、もうこれ以上は透が思い詰めて自身を圧迫してほしくなかったのだ。透が苦しむと、まるで自身のことのように自身まで苦しくなる。透の健康が安定することが、刻や燈にとって一番の願いだった。


「俺も、あいつらを見習った方がいいのかもな」


 透が見ている方向を、刻と燈も便乗して見る。そこには、元気にあちこちゴロゴロしたりしてリラックスしている心たちの姿があった。

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