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Re:verse-Re:birth  作者: あーる
第1章『夢と現実の狭間と謎編』
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1-4.『町並み』

 透たちがこれから向かう目的地である、秘密基地は透を筆頭とする幼馴染みたちが幼少期からよく集まっていた憩いの場でもある。人口が過密状態で建物の数も凄まじく多い西暦3XXX年代において、数少ない自然溢れる長閑で落ち着く癒される場所。その為、人の通りも透たち幼馴染み以外は皆無と言っていいほど、多くの人に知られていない場所だった。人目も付きにくい場所に作っているからこその秘密基地でもある。そんな場所を、透はこれから徒歩で1時間前後かけて向かっていく。


「じゃあ、明日花はもう行ってると信じて。俺たちも行こうか」


「おー!」


 透たちは、ようやく出発した。


「秘密基地ってどんな所にあるの?」


「ん、あそこのチラッと見える山の所」


 乃之の問いに、瑠夏が簡潔すぎる答えを出す。


「え!? あそこの山まで歩くんだ!?」


「おや? 遠すぎて力抜けちゃった?」


「ううん! むしろ、俄然やる気が出てきたよ! わたしも、この町の生まれだけどほとんどの場所が行ったことない所だらけだから! やっと地元の色んな所に行けるんだって思うと嬉しいよ!」


「あー、なるほどね。日本国外で暮らしていた時期の方が長いとはいえ、地元民なのにああいう所行ったことないのはこの町の民として名が廃るよねー」


「そうなの!! だから、早速色々な所に行けるなんて嬉しい!!」


 乃之はとてもワクワクしている様子だった。


「帰って来たのが10年ぶりなら、当時に比べてやっぱり町並みも変わって見えるんじゃないか?」


「うーん、そうだね……でも、やっぱり根本的なところは変わってないかなって感じがするよ! 生まれた場所の町って、やっぱり他の土地じゃ感じられない魅力と安心感があるっていうか……わたし、この町が前より大好きになったかも!」


「それはわかるなー。あたしも、なんだかんだこの町は生活しやすくて居心地良いし。大好きだよー」


「地元って、やっぱり落ち着くよね。旅行から帰って来たりする時も実感するよ」


「そうだな。俺も、この町に生まれて良かったって思ってる。この町に生まれることが出来たからこそ、皆とも出会えたわけだしな」


「おー。透おにーちゃん、深イイこと言うねー」


「はははっ、心それ古っ」


「えー、そうかな? まぁ、たしかに1000年前からある言い回しだけどさー」


「1000年前……西暦2000年代だよね? わたしたちのこの町は、その頃どんな感じだったのかなぁ?」


「当時の写真や文献で見る限りだと、あの山はもっと広く見えたようだな。俺たちの家からの距離くらいでも緑が広い範囲で映ったらしい。今はあちこちに建物が多数建ってるから少ししか緑が見えないが」


「それに、今は3階道路もあるから山もそんなに高く見えないしね。今歩いてる道路が正に3階道路だから、現に山と目線の高さがほとんどそんなに変わらないよね。でも、闇の時代と長く呼ばれ続けてきて有名な西暦2000年頃当時は、今で言う1階道路しかなかったからあの山も当時は高く見えたはずだよ」


「あの山も、1000年も経てば当時そのまんまの形ってわけでもないだろうしな。多少の変化はあれど、昔からある場所が今もこうして残り続けてるのは感慨深い」


「たしかに、凄いよね……この町で暮らしていた、私たちのご先祖様方がこの町を守り続けてくださった結果だよね」


「世代交代したら、わたしたちもこの町を守っていかないとねー」


「私だけは、厳密にはここが生まれの町じゃないけど……でも、ここの町の方が長く生活してきてお世話になってるし、愛着もあるから私にとっても大切な場所だよ」


「そうだな。刻も、実質この町の生まれみたいなものだろう。この町の生まれとして、そう思ってもらえるのは素直に嬉しいぞ」


「なんなら……元々住んでいた町がどんな感じなのかも、もう忘れちゃったかな。透お兄ちゃんと出会うまでは、そんなに外へ出られてた記憶も無いし……」


「と、刻ちゃん……」


「……」


「あ、ごめん。暗い話しちゃった。今のは忘れてもらえると嬉しいな」


「はーい」


 話で盛り上がりながら道を進む透たち。しかし、まだまだ人の通りは多く、いわゆる都市部に入る区域だった。また、通行人たちも暑いのか半袖や半ズボン、素足にサンダルといった夏の服装をしている人が多くいた。透たちは、人混みにぶつからないよう注意しながら道を進み続けた。


「んー、それにしても。人類の町づくりの技術の進化は凄いなー。1000年も経つと、こんなに変わるのか!」


「まるで1000年前の町を生で見たことあるみたいな言い方するじゃん」


「いやいや、あたしも写真とか色々見たことあるんだってば。この辺とか、特にこの町の歴史的な資料館とか観光名所とか偉人の像とか町についての歴史的な解説看板とか多いっしょ?」


「まぁ、そうだねえ。山の方は特に集中してるよね」


「今は……3階道路のおかげで、元々高い位置から山を歩くことが出来るよね」


「そうだな。昔の人たちは3階道路が無かったから、1階道路の高さでこの辺りまで歩いて来て、更にここまでの高さの坂を登らないといけなかっただろうから大変だったろうな」


「山の道路は、高さだけで言えば昔も実質3階道路みたいなもんだよねー」


「当時は昇り降り出来るルートが少ないから、不便さは変わりないけどね」


「3階道路は、障害物も少ないから割と直ぐに山に近づけるねー!」


「やっぱり……わたしたちの住む町は特別だよ! 皆、見て! 海の景色が綺麗だよ!」


 乃之の指す方向に振り替える透たち。たしかに、海はキラキラと青く、そして白く輝いていた。透たちにとっては、何度も見ているので見慣れた光景ではあるが、それでも魅了された。何度見ても飽きないくらいの、絶景である。


「おお……改めて見ると、やっぱ凄いなー。あの中に、沢山の人がいるんだもんねー」


「夜になると、夜景が綺麗だよ。乃之ちゃんも、映像か何かで一度くらいは見たことあるんじゃないかな?」


「うん、勿論!! でも、まだ生で見たことないから近いうちに見てみたいな……」


「俺の爺ちゃんと婆ちゃん、山の方で暮らしてるから町の景色とか簡単に見られるな」


「え、ほんと!?」


「乃之ちゃんがよければ、今度泊まってみるー?」


「いいの!? トオくんたちさえ良ければ是非!!」


「はぁ……心ったら、また」


「……刻? なんかあった?」


「別に。なんでもない」


 瑠夏が、燈に囁くようにして訊く。


「ねえ、燈。刻……なんかあったの? 不満そうだけど……」


「あぁ、うん、ちょっとね……私の口からじゃ言えないかな……」


「えー、何それ! 超気になるんですけど……」


「いや、瑠夏ちゃんも聞かない方がいいよ……知らない方が良いこともあるよ」


「な、なんなの……よくオブラートに包むあの燈がそう言うって、よっぽどじゃん……」


 話しながら歩いてると、時間も短く感じるのかもう秘密基地の近くまでやって来た。人通りも段々少なくなって来ている。少し道路から外れた所を進むと、一気に自然の割合が増す。多くの木々に、ようやく森と呼べるような地帯に訪れた。透が周囲を見渡し続けて、思わず呟く。


「やっぱり……そうだよな」


「どうしたの? 透くん」


「いや……地球上の森って、本来はこれが普通だよな、と思って」


「あ……」


 透の返事に、燈は察する。夢で見た森の状況と、今歩いている従来の森の状況を比較しているのだろうと。具体的に、透が何をもって二つの森を異なって感じているのかまではわからなかったが、きっと見た本人である透にしかわからない何かがあるのだろうと燈は思った。直感ではあるが、燈は二つの森で生えている植物が異なるとか、時間帯が違うとか、誰でも思いつきそうな範疇の次元で透が違和感を抱いているわけでは無さそうに思えた。

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