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Re:verse-Re:birth  作者: あーる
序章『プロローグ編』
14/150

序-14.『帰宅』

「え?」


「と、(とおる)お兄ちゃん……?」


 (とおる)は正面は向いているものの、明らかに後ろにいるであろう誰かに向けて言ってるような雰囲気だった。(とき)(あかり)は、後ろを振り返る。しかし、誰もいなかった。少しして、(とおる)はまた歩き出す。(とき)(あかり)は、そそくさに(とおる)について行った。


「と、(とおる)くん……さっきも誰かが後をつけてきている気がするって言ってたよね?」


「それ、かなり怖いんだけど……(とおる)お兄ちゃんの直感は、ほぼ必ずと言っていいくらい当たるから尚更」


「……警戒はしておいた方がよさそうだな」


(とおる)くんを一人にさせない方が良さそうだね……(とおる)くんの言う通りだとしたら、本当に誰かにつけられてるってことだから」


「……あぁ。だけど、狙いが俺とは限らない。(とき)(あかり)の可能性も0じゃないから、決して俺に気を取られないでほしい。自分の身も守るようにな」


「う、うん……わ、わかった……」


(とおる)お兄ちゃん。誰かに後をつけられている感覚を覚え始めたのって、いつから?」


「……いつからだろうな。色々考え事をしていて、上手く思い出せない。今日は中学校生活初日、クラス表、明日花(あすか)にいちゃもんを付けられる、滑って下の階に転がり落ちて怪我をする、乃之(のの)と約10年ぶりの再会、入学式……色々な濃い出来事が盛り沢山だったはず。それなのに、何故か昨日見た夢が脳内で最優先されている」


「え?」


「そ、それって、どういう……」


「どうも普通の夢とは何か違った感覚なんだ。俺もなんて言語化したらいいのかわからない。夢にしてはやけに鮮明に覚えているような……」


「そういえば、まだ聞いていないんだけど……よかったら、教えて貰えるかな? (とおる)くんは、どんな夢を見たの?」


「……隕石が降り注ぐ夢だ」


「……え」


「い、隕石!?」


 (とき)(あかり)は、思わず呑み込む。


「……この話は、帰ってから続きを話すか。万が一のことを考えて、俺たち以外の誰かにはまだ聞かれたくないから」


「わ、わかった……」


「……」


 (とき)(あかり)は、(とおる)の体調の心配は勿論、言葉に表せない何かの嫌な予感が唐突に押し上げてくる感覚になる。(とおる)の性格上、非科学的なオカルト系は信じないはずの(とおる)が夢一つでここまで深刻な雰囲気を作り上げてきたことは今までに一度も無かった。そんな(とおる)に、一体何があって(とおる)にそうさせているのか。二人は、まるで(とおる)自身のことのように不安になってきた。


 (あかり)は、この怖い雰囲気を少しでも明るく変えようと、別の話題を振ってみることにする。


「そ、そういえば、(とおる)くん……さっき、今日の出来事をいくつか話してくれたよね? もう一つ、しかも大切な出来事を忘れてるよ?」


「大切な出来事?」


「え、(とおる)お兄ちゃんならわかるよね?」


「……わからない。あと一つは何だ……」


 (とおる)は考え始める。(とき)(あかり)は、それが衝撃的すぎて、驚きを隠せずにいた。しかも、フリとかでは無く、本気でわからなさそうに考えていたのである。


「え、(とおる)お兄ちゃん……本当に今日が何の日かわからないの?」


「……あぁ。真面目にわからない」


 (とき)(あかり)は、困惑してパニックになりそうになる。まるで、(とおる)が何か別人になってしまったんじゃないかと。若しくは(とおる)(とおる)自身が誰なのかを忘れてしまったのかと。そんな錯覚すら抱く程に、二人は焦燥感に苛まれる。


「きょ、今日は(とおる)お兄ちゃんの誕生日だよ!!」


「……あぁ。そうだった」


「え、本当に忘れてたの……?」


「……不覚にもな」


「自分の誕生日を忘れるほど、ずっと頭の中で支配される夢で悩まされてたってこと……?」


(とおる)くんが疲れること自体珍しいけど……それくらい疲れてたんだよね? きっと……たしかに今日は余計に疲れる出来事もあったけど……」


「……本当に疲れているのかもしれない。たかが夢で、こんなに追い詰められることなんて無いはずだ。帰ったら少し仮眠でも取るか……」


「うん、そうしよう? 今日は(とおる)お兄ちゃんが主役の一日だから、部屋でゆっくり休んでてよ。パーティの準備は私たちだけで頑張るからさ。そもそも、主役に準備させるのはおかしいけどね。だから、(とおる)お兄ちゃんは楽しみに待ちつつ、お誕生日パーティが始まるまで寝てて?」


「……悪いな。手間をかけさせる」


「全然。私たちが好きでやることなんだから。むしろ、私たちだって準備することすら楽しみなんだよ」


「……ありがとう」


 色々あり、(とおる)(とき)は松本家、(あかり)は前田家とそれぞれ自分の家に帰宅して一旦解散する。


「ただいま」


 (とおる)(とき)が帰ると、既に何人かの弟や妹たちが帰ってきていた。双子の妹が、(とおる)(とき)を迎えに来る。


「おかえりー、(とおる)おにい。(とき)おねえ」


「お帰りなさいませ、(とおる)お兄様、(とき)お姉様」


「心は? もうお昼ご飯食べて学校へ行った?」


「行ったよー。会わなかったの?」


「うん。あの子、どの方向の道選んで行ったんだろ。昼だから通行人の数はそんなに変わらないだろうし、登校が大変そうだけど一人で大丈夫かな。心配だから私と一緒に行ってあげようと思ってたんだけど」


「それ、(とき)おねえが大変じゃない? また学校行くつもりって、絶対疲れるじゃん」


「どなたかと待ち合わせしてから行くそうですよ。だから、(とき)お姉様がそこまでされるのは大丈夫かと思われます。それよりも、もっと大切なことがありますよね?」


「そうだね。じゃあ、私は着替えてくるよ」


「そーそー、心おねえって何時に帰って来んの?」


「定時制はたしか15時には入学式終わるはずだよ。だから、帰って来る時間は16時前くらいじゃないかな」


「わかりました。心お姉様が、珍しくリビングを掃除してくださったので、直ぐに(とおる)お兄様のお誕生日パーティの準備が出来そうです」


「へえ……それはたしかに珍しいね。心もやるじゃん」


 (とおる)(とき)が自分たちの部屋に戻ると、制服から私服に着替えた。二人は手洗い場へ向かって手洗いとうがいを済ませ、昼食を取る。


「あれ……(とおる)おにい、全然お昼ご飯進まないじゃん。食欲無いのー?」


「そうか? いつも通りのペースだと思うが」


「腹空かせておきたいなら、アタシが少し貰ってあげようかー?」


「こら! (とおる)お兄様のご飯ですよ! 気軽にいただこうとしないで!」


「食べたいなら俺がまだ口付けてないやつはやるよ、ほら。その代わり、一粒も残さず綺麗に食べろよ」


「え? そんなにあっさりくれると思わなかったんだけど……」


「と、(とおる)お兄様……?」


「ごちそう様」


「あ、(とおる)お兄ちゃん。食器は私が片付けておくから、そのまま置いてていいよ。部屋に戻ってゆっくり休んでて」


「わかった。ありがとう、(とき)。ごめんな」


 (とおる)はそう言って、席を立ってリビングを出る。


(とおる)おにい……もしかして、本当に食欲無いの?」


「私も……正直、そう見えました。(とおる)お兄様がご飯を残すなんて、かなり珍しいですし……」


「あぁ、ほら、今日は中学校初日だし、色々詰め込まれて疲れたんだよ。私だってそうだし。それに、たくさん料理を用意しないといけないんだから、どっちにしてもお腹は空かせないといけないでしょ? だから、二人は心配しないで! さ、早く(とおる)お兄ちゃんのお誕生日パーティの準備するよ」


「ふーん……」


「はい……そうですね」


 双子の妹たちは、(とおる)のことを心配しつつも、そのままリビングに残る(とき)や他の兄弟姉妹たちとともに(とおる)の誕生日パーティの準備をする。(とおる)は、意図はしなかったものの結果的には誕生日パーティに備えて、昼飯を少なく取って腹を空かせておくことが出来た。昼食を取り終わった(とおる)は、自分たちの部屋に戻ってベッドで仮眠を取りに向かう。

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