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Re:verse-Re:birth  作者: あーる
第1章『夢と現実の狭間と謎編』
108/150

1-84.『苦難の調査で得られる収穫』

「こ、これって……!」


 三人とも予想外の内容に驚く。あの刻すらも、目を丸くして驚いていた。



 透が指している本の内容には「ABCDEFGHIJKL…………」といった文字が羅列されていた。


「こ、この文字列って……!」

「アルファベット……だよね?」

「あぁ。間違いない。知らない文字たちの中に……俺たちの知ってる文字が記載されてた。これは一体……」


 透たちは、地球上での生活を思い出して懐かしい気持ちになる。いつの間にか、すっかり故郷が地球が、遠い存在に感じてしまっていたのだ。同じ星でも国が違う言語なのに、見慣れている文字を見ただけで不思議と実家のような安心感があった。


「今までこの部屋で見つけて来た数々の本の中の文字は、私たちの見慣れない知らない文字が沢山あったけど、よく知ってる文字と似ているものも少なくなかった。でも……どれか一文字だけがたまたま同じ形のものがあるっていうならまだしも、その文字列の並びは明らかにアルファベットだね。偶然ってわけでは無さそう」

「こ、この世界にもアルファベットの文字を使う国が存在するって事なのかな……?」

「若しくは……地球上の誰かが、この世界に英語やアルファベットを伝えた可能性もあるかもしれないな」

「ち、地球上の誰かが!?」


 乃之が驚く。


「まぁ、今の時代なら宇宙飛行士等がどんな星に辿り着いていてもおかしくは無いから。地球がいつ温暖化で無くなるかわからないし、火星以外にも人類が移住するのに適している星を見つける為に宇宙中を探し回っている学者も多数存在するんだ。それで行方不明になってしまった人も沢山いるけど……もしかしたら、そういった人たちがどこかの時代で、この世界に残した可能性があるかもしれないよ」

「な、なるほど……宇宙飛行の技術が向上して、距離が百光年以上の遠い星に行けるようになったのも数百年も前からのことだもんね。地球に帰って来れなくなった人が、ここに残していったのかな」

「ただ……そういうことは、法律で定められているから勝手には出来ないはずだよ。もし、その惑星に既に文明があればその星に対する侵略行為に繋がり兼ねないから」

「こういった建物や、色んな文字を見るにこの世界にも文明があることは間違い無いけど、肝心の人間を見かけないな。動物らしき姿は影だけなら見えたけど」


 透たちは議論を重ねていく。そこで、透は恐ろしい可能性に気づいてしまう。


「まさかとは思うが……俺たちみたいに、この世界にいきなり飛ばされた人がいるなんてことはないよな」

「……!」

「あ……」


 透の言葉を聞いて青ざめる刻たち三人。透以外にも、同じような被害者がいるかもしれない事実に恐怖する。


「いや……流石にそれは可能性が低いか。こんなこと、どう考えても非現実的すぎるしなかなかありえないことだから。でも、俺がこうなってるなら他の人も同じ目に遭ってる可能性も無いことは無いか。俺たち以外にも、こんな目に遭っている人がいるとは思いたくは無いが」

「そうだね……それを知る術が無いからなんとも……もし、同じ経験をしてる人が他にいても、それを誰かに話すにはかなり勇気のいることだと思うし」

「そ、そうだよね……とても相談しにくいことだと思う。透くんも、そうだったんじゃないかな……?」

「まぁ、正直なところそうだな。でも、皆が話をよく聞いてよく理解してくれる人だから、俺が話す分には抵抗無かった。ただ……心配や迷惑をかけてしまうという点という意味では気が退けていたけど」

「でも……わたしも含めて、皆はトオくんの言うことを真面目に聞いてそのまま信じたんでしょ? 凄いよね、トオくんの言葉の力って……」

「………」


 透が黙る。


「あ、あれ……? と、トオくん……?」

「別に良いことでは無いけどな。あまり迂闊なことも言えないから」

「あ……」

「……」


 刻と燈は、透の発言の意図が直ぐにわかった。責任を背負い込みすぎていることに。透の言葉の影響力の強さ。それが、他人の人生を動かすレベルに左右させてしまい兼ねないこと。良いことばかりなら良いのだが、現実はそう甘くないということ……。


 そんな空気を察知した乃之は、慌てて透に謝る。


「あ、あの……と、トオくん。ご、ごめんなさい……わたし、その……何も知らないで勝手なことを言って……」

「いや、大丈夫だ。知らなくて当然だから。乃之が謝ることじゃない。俺が気をつければいいだけのことだ」

「で、でも……」


 刻が割り込むように、話をバッサリ切る。


「さて、調査の続きをしましょう。まだ何かヒントがあるかも」

「そ、そうだね……まだ全部読みきれていないし」

「これでようやく半分くらいってところか。気の遠くなる話だけど、手は抜けない」

「が、頑張ります……!」


 そこで、透が小さく独り言のように呟く。それが聞こえた燈は、こっそり透に伺う。


「しかし、おかしいな……」

「透くん? どうしたの?」

「あぁ、燈。実は……今、俺が英語の文字が書かれていた本を見つけただろ? その本の隣のスペースが……まるまる一冊分空いてたんだ」

「え? あ、そういえば……ちゃんと意識して見てなかったけど、ここの部屋ってどの本棚も本がきっちりと収納されてあるね。スペースを必ず残さないように……まるで部屋そのものが新品みたいに」

「そうなんだ。そのはずなんだけど、俺が見ていたここの本棚だけは、並び方が異様で違和感があるんだ。いくら文字が読めないとはいっても……周囲の本に記載されている絵や写真から類推して、ここの本棚だけジャンルがバラバラな感じがする。百科事典コーナーに、子ども向けの絵本が混ざっているような感覚なんだ」

「そ、それは……たしかにおかしいね。少なくとも、私が見て来た本棚はどれも本が続いて並んでる感じだったよ。一巻から始まって最終巻、前編と後編で分かれてそうな本とか……それに、本はどれも新品そうで誰かが使ったことあるような古い感じも無かったかな」

「…………」


 燈が話し終えると、透が何か考え事をしているように固まる。


「と、透くん……?」

「あぁ、ごめん。そうだな、たしかにどの本も綺麗な状態だった。とすると、考えられる可能性はやっぱり……」

「…………」

「……とりあえず、今はいいか。まだ全部調べ終わっていない以上、後でわかりそうだし。とりあえず、まずは見れる所を全部見ていこう」

「そ、そうだね……」


 透と燈は、一旦また別れてそれぞれ調査に励む。


 透たちは、再度調査を続けた。しかし、大半が読めない文字だらけで流石の透や刻もそろそろ精神的に参って来る。解読出来ない物を解読出来ないもどかしさ、文字が読めないってだけでどの本にも重要な情報が載っている可能性は高いからこそ腑に落ちなかった。

 写真等を見ても、見たことの無い景色や人物の写真、生き物の写真も多数散見される。その中には透や刻がこの世界に来た時から言っていた見たことの無い植物も含まれており、二人の話がより現実的になってくる。


 燈や乃之も、花に興味が無いわけでは無いのである程度の知識はあるのだが、どの花を見ても答えられなかった。透や刻なら答えられそうにも思えたが、その二人でもわからない物なのだから本当に地球上には存在しないものなんだろうと改めて再認識する。



 色々考えながら、調査を続けた透たち。既に燈と乃之は頭の回転が出来なくなっていて疲れ果てていた。透たちの感覚では、もう既に五時間以上はここで調査をしている気がした。


 それまで、誰も気にしていなかったことを乃之が口にする。


「そういえば……今、何時かな」

「いつもの感覚なら、そろそろお昼御飯にしたい頃だけど……」

「でも……外の景色を見る限り、まだそんなに時間経っていない感じだね。まるで、まだ朝のような」

「ええ!? まだ、お昼じゃないの?」

「ここが地球上じゃない可能性が高いから、それはそんなに不思議なことじゃないかもしれないよ。感覚的な話で言えば……昨日の夜も異常に長く感じたし。朝の感覚で起きたつもりがまだ深夜だった。つまり、地球に比べて明るい時間も暗い時間も相応に長い可能性がある。寧ろ、地球と全く一緒の可能性の方が低いんじゃないかな。まぁ……たしかに、慣れない状況ではあるけどね」

「感覚が麻痺してくるよね……地球の自転は自然現象によるものだし。こっちの世界がもし地球上じゃないなら、人工的の可能性ってあるのかな……」

「そういえば……さっき、トオくんたちは外の太陽が人工的な感じがするって話をしていたよね?」

「あぁ、してたね。まぁ、それについてはまだ確信は無いけど……本当に自然に出来た物の可能性もゼロじゃないから。何より、この世界が地球上と全く同じ理論で成り立ってるとは限らないから」

「益々気になって来るね……」


 刻たちが会話をしていると、透の手が止まる。


「……」

「透お兄ちゃん。この列の本も全部見終わったの?」

「あぁ。その様子だと、刻たち三人も担当の本は全て見終わった感じか?」

「そうだね……私は全部見終わったよ。本は高い所にも積まれてるから、台を移動させるのも大変で余計に疲れちゃって……」

「わ、わたしも……もう、手も足も動かないよ……」

「ということは……この部屋にある本は全て見終わったということになるのか」

「そういうことになるね」

「結局……この世界にも、アルファベットがあることくらいしかわからなかったのかな」

「いや、まだ……」


 透が何か言いかけたその時、乃之が今も拘束されている彰人に詰め寄る。


「ねえ。本当にヒントはここにあるの? わたしたちに嘘ついてるんじゃないよね?」

「ん? 嘘はついていないよ」

「じゃあ、どうして……! わたしたち、ここを全部調べたけどアルファベットがあることくらいしかわからなかったよ!?」


 乃之が怒りながら彰人に言うと、彰人は真顔で言葉を返した。


「本当に全部調べたの?」

「……え?」


 乃之は困惑して力が抜けた声を出す。


「な、何言ってるの……? わたしたちが、全部見てないと思ってるの? まさか、あなた途中で寝てたりしてないよね!?」

「お、落ち着いて、乃之ちゃん……」


 そして、乃之は透の言葉によって我に返ったように止まる。


「乃之……悪いけど、そいつの言う通りなんだ。まだ、見ていない場所がある」

「え? そうなの?」


 そして、それは燈にもわからなかった。思わず、燈も訊いた。


「と、透くん……それって、どこに……」


 すると、刻がそれを指示した。


「あそこだよ」

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