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Re:verse-Re:birth  作者: あーる
第1章『夢と現実の狭間と謎編』
104/150

1-80.『混沌スケジュール』

「あ? 何がおかしいんだ、テメー?」


 すると、彰人が笑いながら答える。


「いやいや。決して悪い意味じゃないよ。流石は透くんだなぁって思っただけさ! だって、想像力があまりにも高いから僕から説明することが無くなっちゃったんだよね! お陰様で手間が省けたんだ!」

「はっ。おまえが喜んでる時点で悪い意味じゃねえかよ」

「……大体、説明することはまだあるだろ」

「あはは! たしかにそうかもしれないね」


 彰人は行悟(いくご)(しゅん)に笑顔で返す。

 そして、透が話を切り替える。


「話が逸れたけど。お前の『この建物内を探索すればわかる』っていうのは先にこの建物に入ってから直輝たちが来る前の間に、この建物内を色々調べていたから言えるということか?」

「そういうことになるね。この建物は、結構広いから何人かずつで手分けして探してみることをお勧めするよ」

「たしかに……なかなか大きな屋敷だよね。わたしの家と同じくらいの大きさかも」

「フン……金持ち自慢?」

「……!」

「……あ」


 乃之は明日花の言葉にイラッとするが、抑える。自分はもう手を出したり、暴力を振るわないと誓ったのだと。元々、人を怪我させたくもないのだが透に嫌われることもまた刻に怒られるのも嫌だった。

 一方、明日花もつい癖で言っちゃって後悔する。いつも、誰かを貶す度に後悔はしているのだが、乃之に関してはまた色々な感情もあり罪悪感があった。

 それに、彰人という存在が現れたことによって透の身の危機だということで、明日花は余計な問題を作っている場合じゃないと思った。



 そして……透を始めとする幼馴染みたちが想像しなかった行動を、明日花が取る。


「……ごめん」

「……えっ?」


 思わず困惑する乃之。そして、乃之に続いて周りが連鎖して驚く。


「ええええええええ!?」

「な、何よ!?」

「い、いや……明日花から謝るなんて珍しすぎるなーって。一体、どんな風の吹き回し!?」

「あのプライドの高いオマエが……一体、何があったんだよ?」

「明日、雪でも降るんじゃねーか?」


 散々な言われようの明日花。明日花は顔を赤くして恥ずかしそうに反発する。


「あ、アタシだって悪いと思ったら謝るわよ!! アンタたち、アタシのことどんなクズだと思ってるわけ!?」


 すると、乃之が笑い出す。


「……ふふふっ」

「アンタは何笑ってんのよ!?」

「ごめん、つい」


 明日花と乃之のやり取りを見て微笑ましくなる周囲。それにより、皆にとっては異分子の扱いである彰人がいるにも拘わらず場の雰囲気は明るくなっていた。

 まだ仲良いとまでは言えなさそうではあるが、それでも以前よりはどちらもお互いに高圧的な感じは無くなっていた。

 二人とも、自分たちのせいで透や心を怪我させてしまったことについて猛省して改心でもしたのか、少し大人になっているようだった。そんな二人の様子を見て「やれやれ」と思いつつも眉を八の字にしつつも口角が上がる刻。


「いくらアタシでも、そこの透を殺すかもしれなかったのに謝らないクズとは違うわ」

「…………」


 明日花のセリフで、険しさ、憎しみ、悲しみ、嫌悪といった強いネガティブな表情をそれぞれしながら彰人を見下ろす幼馴染みたち。透と月葉(つきは)だけが、無表情のままだった。無論、月葉(つきは)も心の中では彰人のことを嫌っていた。

 皆が彰人に対しての好感度が嫌いに偏っている中で、当の直接的被害者である透が最も普通寄りだった。透に至っては、彰人のことは嫌悪よりも純粋に疑問が多いミステリアスな存在だったのである。



 そんな雰囲気の中で、透はとあることを切り出す。


「話を戻すけど、この建物を探せば本当に色々な情報がわかるんだな?」

「うん。本当だよ」

「……そうか。なぁ、皆」


 すると、透は皆に告げる。


「こいつを足だけ解放してやってくれないか」

「は!? オマエはまた何を言い出すんだよ、透!」


 そして、透は話を続けた。


「乃之。直輝たちでもいい。首輪はどこかになかったか?」

「え、首輪?」

「……一応あったけど。まさか、こいつに付けるのか? 透」

「そのまさかだ。こいつに案内してもらう」

「え?」

「ええええ!?」


 透の言葉に、彰人を含む全員が驚いた。


「そんなに驚くことか? だって、こいつの言うことはまだ信用出来ないだろ? なら、証拠を見せてもらう為に引率してもらう方が効率良くないか?」

「だが、透。そいつがまた何かを仕掛けている可能性はどうするつもりだ? お前を引率中に、どこかで陥れる可能性もあるだろう?」

「でも、俺たちが建物内を探すなら結局同じじゃないか? もし、こいつが呂威の言う通り本当に何かを仕掛けていたとしたら、俺たちが自由に捜査すると俺でもない誰かが被害に遭う可能性があるだろ? 俺はそれは絶対に許さない。それなら、俺がこいつに案内してもらってターゲット通り自ら直接受けに出向いた方がいい」

「そ、そんな……!!」


 燈が目を丸くして顔を青ざめる。透の言葉に、周囲が猛反対した。


「それは一番ダメだね。いくら透お兄ちゃんの言葉でも、それには共感出来ないな。勿論、他の誰かならいいってわけでは無いけど」

「そうだぞ! 何もテメーだけで背負い込む必要はねーんだ、透。それに、テメーはタダでさえ夢に苦しめられてんだろ。オレはテメーの苦しみを代わりに受ける覚悟でついて行ったんだ」

「いや、それでも悪い。俺が皆をこの世界に連れて来たようなものだから」

「何言ってんのさ! それは透が望んだことじゃないんだし、意図してこうなったわけじゃないんだししょうがないことでしょ? いいんだよ、今まで通り皆で一緒に共有していこうよ!」


 皆に説得される透。そして、彰人が歓喜の声を出す。


「いやぁ……嬉しいなぁ。こんな僕が、透君を案内出来るだなんて光栄だよ! それに……皆を守る為に、自ら的になりに行く勇敢さ。正に皆の中心だよね! あぁ……そんな君の姿を生で見れるだなんて……僕は今日が命日でも後悔は無いくらいだよ」

「アンタは黙ってろ!! このド畜生変態キモ男が!!」

「トオくんはあなたなんかの欲求を満たす道具じゃない!! 勝手に気持ち良くならないでよ!」

「それは君たちも同じじゃないかな?」

「同じなわけ無いだろ!! オマエなんかと一緒にするなよ!」

「テメーは、まだまだ殴られ足りねーようだな?」


 直輝が指の関節を鳴らして力を溜める仕草をする。しかし、透の一言で全員が静まり返る。


「やめろ」


 一斉に視線を浴びる透。


「このままじゃ堂々巡りだ。いつまでもこうしてるわけにはいかないし、そろそろ動かないと。俺たちそれぞれの家族に帰りを待たせてるだろうし、心配もかけているはずだ。たしかに、こいつは大いに警戒しないといけない脅威的な存在だけどあれもこれも警戒してるとキリが無い。それに、手がかりが見つかる可能性がある場所も近辺ではここくらいだろうし」

「と、透くん……」


 透の言葉で皆が黙る。そして、最初に同意したのは刻だった。


「そうだね。今、外を出るのは危険そうだし外出は控えた方がいいね。それに、この殺人未遂犯の仕掛けた罠なんて、私たち皆で注視すれば簡単に見抜けるだろうし。(しゅん)くんの話を聞いた限り、この殺人未遂犯が罠を仕掛けるのも時間的にそこまで余裕も無かったんじゃないかな」

「たしかに、そうだねー! え、外が危険?」


 ピントと来ていない人物が何名かいた。そして、燈が言葉を発する。


「多分……大きな生き物が外を歩いてたからでしょ?」

「お、大きな生き物……だと? 麒麟とか象か何かか?」

「い、いや、そんなレベルじゃなかったよ。あの大きさだと多分……恐竜サイズじゃないかな」

「はぁー!? きょ、恐竜だと!?」


 直輝の質問に答える燈。


「あぁ。燈も見てたんだな。あの影を」

「う、うん……起きてからずっと窓の外を見ていたから」

「あぁ~! そういえば、燈。なんか驚いてたね! あの時、『なんでもない』とか言ってたけど。もしかして、あたしらに隠してたのかな~?」

「い、いや、違うよ!! その時は、気のせいだって本当に思ってたから……別に、隠し事をしたかったわけじゃないよ!」

「それに……瑠夏ちゃんに話せば、きっと燈ちゃんをからかうはず……」

「ええ!? まさかの追い打ち!?」

「日頃の行いだと思うよー?」

「う、うう……何も言い返せない……」


 そして、今度は刻が切り出す。


「というわけで、外は危険だからこの建物から出ないようにね。どんな生き物かwからないから。少なくとも……地球上の生き物の可能性は低いからね」

「一応、俺たちの間では近くに集落は無いからそういうアトラクションの可能性はほぼ無いと見てる」

「なるほど。たしかに、山に登って景色を見渡した時には町どころか村落のような人里すら見受けられんかった」

「じゃあ……あたしら、中生代にタイムスリップしちゃったの!?」

「いや、中生代の時代にこんな建物あるかよ!?」


 こうして、透たちは建物内の探索を開始することとなった。とりあえず、本日のスケジュールは流れでなんとか決まった。

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