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Re:verse-Re:birth  作者: あーる
第1章『夢と現実の狭間と謎編』
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1-78.『異質な朝での集会』

 刻が目を覚ます。


「……うん?」


 隣には透と明日花。その明日花の隣には乃之がスヤスヤと眠っていた。そして、透の浴衣が少し濡れていることに気がつく。そして……透からは明らかに女子の臭いがした。


「…………」


 刻は、一度険しい顔をして明日花と乃之の二人を見る。すると、乃之の顔にとある違和感に気がつく刻。


(……あれ?)


 乃之の目元は赤かった。そして……今でも閉じている瞳から涙が漏れていた。

刻は、透と乃之の状態を見て脳内のパズルのピースが全て繋がったように何が起きたのか察する。その瞬間、険しい表情から普通の表情に戻った。


(……そういうことか。これはイタズラとか悪さでは無さそう。なら許そうか)


 刻は、二人の間で何が起きたのか理解し、それを容認した。


(私の出る幕は無さそうだな。あと……私も彼女にきつく言いすぎて意地悪な人になってたな。最近色々ありすぎてちょっとイライラしやすくなってた。傷付けないように気をつけなくちゃ)


 刻は、乃之に対する言動や態度を振り返り反省する。そして、再び眠りに就いた。



 そして、更に長い時間が経過する。流石に、寝すぎたのか頭部が重くなる透たち。室内全員が同じタイミングで起きた。


「……おはよう。頭が重いな」

「そうだね……流石に寝すぎたみたい。でも……随分と夜が長かったよね」

「ほんと……なんなの? ここ。地球上じゃないって聞いたけど……だからこんなに夜が長いワケ?」

「地球とは、時間の関係が違うってこと?」

「ここが本当に地球上じゃないなら、その可能性が高いだろうね」

「ふーん……しれっと凄い話してるじゃない。ていうか、アンタ。やけに目元赤いみたいだけど?」


 明日花は明らかに乃之を指すように言う。


「え? 寝ている間にいっぱい泣いちゃってたのかな……? 欠伸もたっぷりしちゃって沢山涙が出たみたい?」

「いや、欠伸で目元赤くなるまでにはならないでしょ……お家に帰りたくなったとか、そういう涙とか?」

「……そ、そうかも。こればかりは否定出来ない……ね」

「……ま、気持ちはわかるわ。アタシも同じだし、正直……今だって泣きたいくらいだし」

「…………そっか」

「……」


 明日花と乃之のやり取り。久しぶりに見た透と刻。珍しくギスギスした感じは無く、お互いに普通の温度差で話し合っていてある意味異例の光景だった。

 刻はそんな光景に思わず微笑む。


(まったく……わかりやすい嘘つくんだから。まぁ、これは正直に言えないよね)


 刻は、乃之の嘘を直ぐに見破る。元々、嘘は嫌いな刻だがこれに関しては特に不快になることは無かった。誰にも言えない、言いたくない乃之の気持ちも十分に理解出来たからである。刻は、そんな乃之を温かく見守った。


 しかし……そんな温かい雰囲気はそんなに長く続かなかった。透の言葉で、空気が一変する。


「皆……外を見てくれないか」

「外?」


 透の言う通り、窓にやってくる刻たち三人。透の背後や隣に三人が集まって来た。


 すると、窓の外は……なんと、あんなに長く感じた夜は無事終わって朝を迎えていた。水色の雲一つ無い空模様。この快晴に、刻たちは珍しいものでも見るような表情になる。


「これは……」

「……嘘でしょ。夜が明けちゃったの? 家族たち皆、アタシらのこと心配してるんじゃ……」

「そう、だよね……どうしよう……今頃、わたしたちの捜索願いを出されてるかも……」

「でも、今は直ぐに帰れる手段が無いワケでしょ。アタシらにどうすることも出来ないわ」

「そ、そんな……!」


 そして、透の言葉はまだ続いた。


「……なんか、あの太陽。おかしくないか?」

「おかしい?」


 刻たちは注視して太陽を見る。


「たしかに……変だね」

「え? どこがよ?」

「あの太陽、肉眼で直接見れるね。全然眩しくないし目も痛くならない」

「あれ、ほんとだね……太陽の形も大きさもわかるよ?」

「なんとなく、人工っぽい太陽なんだ。この世界は、本来ずっと暗くて……あの太陽を出現させることで無理矢理朝にしているような。そんな感じがする」

「な、なんでそこまでわかるのよ!?」

「……勘」

「……は?」

「あくまでそんな感じがするだけで、まだ断定はしていないだろ? 実際のところわからないしな。あと、もっと気になる点がある。あの向こうだ」

「あの向こうって……」


 刻たち三人は、透の指す方向を見る。すると、遠くには何やら首の長い陰が映った。初めて、自分たち人間以外の生命体らしき影を透たちは確認したのである。


「は!? な、何あれ!? き、麒麟……?」

「ここから見える距離的に、麒麟でもあそこまで大きい影にはならないよ。余裕で恐竜サイズだろうね」

「きょ、恐竜!?」

「……益々、怪しくなってきたな」

「そ、そ、そんな……恐竜なんて、今の地球に考えられないもんね?」

「少なくとも、こんな大自然だらけの場所ではね。近くに町でもあれば何らかのアトラクションとかの可能性もあるけど。でも、私たちが確認した限りではこの辺りの近くに町どころか集落自体が見受けられなかった」

「つまり……天然物の、何らかの本物の生き物の影の可能性が高いということだな」

「ま……ま……真面目に言ってんの?」

「そんな嘘を今わざわざつく理由が無いだろ。ただでさえ、元の世界に帰れなくて困ってるんだからな」

「……ねえ、透お兄ちゃん。これは一大事だと思うから、他の部屋の皆にも早く報告しに行かない?」

「あぁ。そうだな」


 透たち四人は、一旦部屋を出ることにした。



 エントランスには、なんと颯空たち男子が集まっていた。颯空の他に、行悟(いくご)(しゅん)がいた。透は、早速颯空たちと合流しに一階へ降りる。刻たち女子三人も、透について行くように一階へ降りた。


「おはよう」

「あ、透! おはよう」

「おはよう、皆」


 透たちはそれぞれ挨拶を交わした。


「ねえ、アンタたち。あのキモ男はどうしたの?」

「あぁ、あいつか? 一応、今は直輝と呂威が見張ってるけど……」

「ふーん……それはご苦労様」

「大丈夫なの……? あの人が一緒だと、あまり良く眠れなかったんじゃない?」

「……正直、そう」


 透の予想通り、早速彰人の話題になる幼馴染みたち。刻も、もう割り切ったのか露骨に癇癪起こすような様子も無かった。刻自身も、いちいち怒っていたらキリが無いと思っていたのである。当然、彰人のことは許していないし最低最悪の極悪人という認識は変わってはいない。それは、刻に限らず皆がそうだった。しかし……彼のターゲットである透を除いて。

 勿論、透も彰人に対しては当然良い印象は無い。しかし……今は、感情的になって避けている場合では無いと透はそう判断していたのである。


 透の一言に……場の雰囲気は一変する。


「なぁ、お前ら。あいつに会わせてくれないか?」

「…………は?」


 唖然とする颯空たち。


「な、何言い出すんだよ透! アイツがオマエに今まで何してきたか忘れたのかよ!?」

「ちょっと、あいつに訊きたいことがあってな」

「き、訊きたいことって……なんだ?」

「主に、この世界についてだ。あいつは、何かこの一連の流れを知ってそうな雰囲気だっただろ?」


 明日花と乃之は、昨日彰人を捕まえた直後、そして透たちがここに来る前のことを思い出す。特に……「透の居場所がわかる」といった旨の発言は、まるでタトゥーして刻み込まれてしまったかのように今でも不快感が全身に染み渡っていた。


「で、でも、透! アイツはアンタのことを好奇の目で見ているのよ!? 自分から出向くなんて正気じゃないわ!」

「そ、そうだよ、トオくん! あの人が、また何か仕掛けてるかもしれないよ!」


 珍しく、意気投合する明日花と乃之。透を心配しているからこその、全面的な反対だったのだ。

 しかし……意外にも、そんな透に同意したのは刻だった。


「私は……透お兄ちゃんに賛成だな」


 刻の発言に、周囲は更に驚いた。


「は……はああああ!? アンタ、どうしちゃったわけ!? アンタが一番、この件について猛反対しそうなことじゃない、アタシらよりも!! まさか、透の言うことだからって闇雲に従うワケじゃないでしょうね!?」

「当たり前でしょ。透お兄ちゃんも私も、考えがあって言ってるよ。寧ろ、何も考えて無かったらそれこそ私だって反対してる」

「……その考えっていうのは」


 (しゅん)の問いに刻が答える。


「今、彼は直輝くんと呂威くんによって見張られているんでしょ? 拘束の状態が今も変わっていないんだとしたら話を伺う絶好のチャンスだと思わない?」

「でも……トオくんが何かされたらどうするの?」

「そうなる前に私たちが透お兄ちゃんを守ればいいでしょ? その為に、私たちがこうして一緒にいるんじゃないの?」

「……あ」


 刻の言葉に、透に反対していた全員が本当の大切なことに気がつく。


「ありがとう、刻。俺の意図をわかってくれるのも、皆を説得までしてくれるのも助かる」

「いえいえ。どういたしまして」


 刻は笑顔で透に言う。


「そうだな……敵から身を守るんだったら、まず敵の情報をよく知っておかねえとな!」

「そうそう。何も知らないと想定外のことに対策出来ないからね」

「それじゃあ。直輝と呂威の所の部屋へ行こうか。なるべく急ぎたいしな」

「あ……じゃあ、わたしは星名(せな)ちゃんたちを呼びに行って来てもいいかな?」

「あぁ。頼む」


 乃之を除いた透たちは、早速直輝たち男子が使っていた部屋へと向かう。乃之は、燈たちの部屋へ行って燈たちを呼びに向かった。


 こうして、朝からやるべきことが決まっていった透たち。


 この世界ついても、彰人についても、まだまだ知らないことだらけの透たちはどんどん知識を味方に付けていく所存だった。

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