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女子高生と選択と

作者: takataka

いつからだろう、私には矢印が見えるようになった。

初めの頃はよく分からなかったが、次第にそれが正しい選択を指し示していることに気がついた。レストランのメニュー、テストの選択肢、道に迷った時だって、矢印はいつも私を助けてくれた。矢印に従って普段と帰る道を変えてみたら通り魔事件を避けられたことがあった。もしも矢印を無視していたら大怪我をしていただろう。あの時かな、私が『一生矢印について行こう』って決めたのは。


最近だって助けてられてばかりだ。矢印に従えば通学路でいじめっ子と鉢合わせしなくて済む。流石に学校では逃げられないけどね。無視から始まって、悪口、暴力、カツアゲ、いろいろひどいことをされた。けれど、私は大丈夫だ。矢印がきっと今よりいい未来へ導いてくれるはずだ。だから大丈夫。


そうは言っても、溜まったものがあったのだろう。ある日、ふと学校に行くのが嫌になった。なんとか駅には着いたが、気づいたらいつもとは逆の電車のホームに来ていた。なんだか無性に遠くへ行きたいのだ。一人になりたい。でも、学校をサボったら親へ連絡がいく。そうなったら、サボった理由を、いじめられてることを言わないといけない。それも嫌だ。

そうだ、こんな時こそ矢印を頼ろう。矢印を見る。予想外の答えに少し困惑するが、すぐに思い直す。これが正しい選択なのだ。戸惑う必要なんてない。それに、私ももう疲れた。

だから私は、迷いなく線路に身を投げた。

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