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迷宮探索には赴かない   作者: 幸福の芋
4/6

炭鉱へ 2

第三話です!

作品通じてのことですが、キャラブレッブレになることが多々あるかもです,....ご了承ください

 −−−


 市場から一度家に帰り、待ち望んでいたアリナちゃんとのお喋りを楽しむこと数十分...


 まだまだ話のネタは尽きない。


「−−−でさぁ〜イムの野郎がこう言うわけよ、『.....てつだって』だとさ。俺はもちろん断るんだがイムの野郎がど〜うしてもって言うから、仕方な〜く討伐に行ったんだ」


「リクさんすっご〜い!」


「だろぅ?それで俺は見事洞窟に巣食っていたフレアドラゴンを討伐するんだなぁ〜いやぁ、あれは骨が折れたぜ....」


「リクさんすっご〜い!」





「....アリナちゃん?」


「リクさんすっご〜い!」




「あのぉアリナちゃん.....もしかして飽きてる?」


「またまたぁ、そんなことなく無いですよ〜」




「......ん......って飽きてんじゃん!」


 アリナちゃん....素直に言ってくれれば話止めたのに...これじゃあ俺ただの面倒なヤツじゃないか.....




「ちょっとアリナー!来てー!」


「は〜い先輩、今行きまーす!リクさん、またそのつまらないお話聞かせてくださいね!」


「アリナちゃん、つまらない言っちゃてるよ....」



 グハっ.....心に容赦なくつきささる毒舌....だがそれがいい!



 先輩さんとアリナちゃん....なんかあの二人で一緒ってのもそれはそれで....ぐへへ


 にしてもなんの話をしてるのやら。


 ちと()()()()


「先輩、どうしたんですか?」


「二層の炭鉱はわかるわよね?あそこがどうやら崩落したみたいで.....地盤的にも問題なさそうだったんだけど...」


「なんででしょうね.....おっきなモンスターさんが通ったとか?」


「まさか、二層よ?大型モンスターの目撃情報なんて聞いたことないわよ」


「うーん、どうしてでしょうか.....あと、炭鉱の中に取り残された方はいないんですか?」


「奇跡的にいなかったそうよ。掘り起こし作業が一段落して、昼休憩に戻った際に崩落したみたいなの。」


「それは良かったですね。不幸中の幸いとでもいいますか....原因解明も兼ねて、F、Eランクのパーティに依頼をお願いしてみましょうか」


「そうね。万が一も考えてEランクの方がいいかもしれないわ。炭鉱は迷宮の異端(イレギュラー)の一つ....奥に潜ればランクをまたいだモンスターが出てきてもおかしくはないわね」


「了解です。では依頼書の作成にとりかかりますね」


「任せたわ。できたら見せに来て頂戴。......はぁ、バカ上司に押し付けられた会計書に企画書に報告書に...そこに崩落事故の始末書....気が重いわ」


「が、頑張ってください....それでは!」






 なるほど.....二層の崩落事故か。


 調査に駆り出されるパーティは可哀想なこったな....まぁ関係ないけど。


 とりあえず明日の交渉に使う金でも引き出すか....イムの口座から。





 大陸最大の迷宮都市なだけあって、ここの冒険者ギルドは設備がかなり充実している。


 おなじみの受付カウンターに掲示板はもちろん、ちょっとした整備も引き受けてくれる出張鍛冶屋、気の強い女将さんが経営している酒場に加えて、二階には小洒落た応接室なんてのもあり、また宿が見つからない冒険者を一時的に泊めてくれる宿も一応ギルドが経営している。


 銀行もそんな設備の一つだ。酒場とは真逆、一階の右奥に位置していて、常に警備員が見張りについている。


 この警備員のおっさんとはこの二ヶ月で仲が良くなった。よく一緒に酒場で飲む飲み仲間の一人だ。


「おやっさん、お勤めご苦労でぇ〜っす」


「お、リクじゃねぇか。.....おいおいまてまてこの先は銀行だ。お前寝ぼけてるんじゃねぇのか?」


「なにが寝ぼけてるんじゃねぇか、だ。俺は銀行に用があるんだよ」


「いや待て待て....お前働いてねぇんだから貯金なんてあるわけ....っておいまさかお前銀行強盗......いくら飲み仲間のお前でもこればかりは譲れねぇ....今なら許してやる。退きな」


 あらぬ誤解を抱き剣を構えるおやっさん。.....信用なさすぎだろ俺ぇ....


「待て待て、違うんだよおやっさん。今日はイムに頼まれて金を引き下ろしに来たんだ。イムの口座の鍵だって預かってる。.....ほら」


 そう言って、俺はバッグから一つの金色の鍵を取り出した。全国のギルドが経営する銀行で使える、魔法の細工が施された鍵だ。.....わざわざ一度家に帰ってイムの部屋から勝手に持ち出したことは黙っておこう。


「イムさんの使いか....まぁそうでもないとお前さんがこんな所来ないわな。...ほれ、行きな。ちなみに、怪しい素振りを見せたらどうなるか....わかるよな?」


「いやだからそんなことしねぇって!」


 人信頼するということを知らないのかあのおっさんは!....元衛兵の剣なんざ受けたくねぇぞ俺は....。




 一悶着ありながらも銀行の窓口にたどり着いた俺は、受付のお姉さんにイムの鍵を渡し金貨が引き下ろされるのを待っていた。....こっちの受付嬢さんも中々いいな....。


 あの鍵は一種の通帳のようなもので、どこでも使えるように、と鍵の中に持ち主の預金等の情報が魔法で詰め込まれているらしい。盗難防止のため、本人が設定したパスワードを入力しないと使えないようになっている...があいつの口座を作ってやったのは俺だからそんなものわかっている。


 しばらく待つと、金貨50枚が入った袋を持ってお姉さんが帰ってきた。


「はい、こちらがイム様の口座から引き落とさせていただいた金貨50枚になります。どうぞご確認ください」


 五枚の金貨が2、4、6.....こんだけありゃ酒飲み放題じゃねぇか....あいついくら稼いでるんだっけな...ちょっと分けてもらおうかな...。


「確認しました。大丈夫でした」


「はい。ではお受け取りください。こちらは先程お渡しいただいた鍵になります。ありがとうございました」


「はいはい、ありがとうございました〜っと....」


 さてと。じゃあ帰ったら昼飯作って昼寝でもしますかな〜っと。


「んじゃおやっさん、じゃな」


「おう、お前もあんまりイムさんに迷惑かけんなよ」


「いやかけられてるのはこっちだっつーの」


 今日はエナの一件以外面倒事は無し!

 しかも交渉は明日だしな....こりゃいい夢がみられそうだぜ。


(夕飯は久しぶりに肉でも焼くか....いや、煮物か揚げ物か....)



「リクさ〜ん!!」


 お、アリナちゃんの声。依頼書の作成は終わったのかな?


「リクさん、これ読んで下さい!」


 アリナちゃんに差し出されたのは手紙のような紙片...。これはまさか−−−!?


「アリナちゃんこれラブなレター?」


「アホみたいなこと言ってないで早く開けてください!気がついたら私の机の上に置いてあったんですよ......というかリクさんどっかで喧嘩でも売ってきたんですか?」


「喧嘩ぁ?」


 馬鹿な。この俺は世界で一番平和を望む聖人のような人格者だとというのに。


 手紙を見ると、『この紙をニートのリクに渡せ。』と書かれていた。


「リクさん、殺されるんですか?....私、悲しくないです。」


「そこは嘘でも悲しいって言ってよアリナちゃん...ったく何々....?」


 手紙は裏まで続いていた。そこには急いで書いたのか、荒い字で短く書かれていた。


「んっと....『炭鉱の調査に加われ。 どうせ聞いてたんだろ』....」


「炭鉱の調査....ってリクさん盗み聞きしてたんですか!『聞いていたんだろ』って−−−!!」


「アリナちゃんそれよりまずこの差出人が聞いてたことに疑問は抱かないの!?」


「あ、確かに.....リクさんにしては鋭い....」


「『にしては』ッ....」


「まぁ今から出発させる予定だったんですけどね。炭鉱の調査。もう依頼書は掲示してたので、別段隠し通さなくちゃいけないってわけじゃないんですけど」


「もう出すの?調査隊。早くね?」


「あちらのパーティなんですけど、ちょうど行くところだったみたいで。元々二層で戦法の確認とか刷る予定だったみたいなんですよね。一応第二便で別途のパーティー募集する予定なんですけど」


「あ、タイミングが合ってたの....なるほど」


「で、一応本題、というかさっきの手紙の内容とも合致すると思うんですけど、実はあちらのパーティーさん一人風邪で寝込んでるみたいで、もう一人が看病に当たってるみたいなんです。二層に行くには充分な数なんですが、いかんせん本調子の人数ではないから、迷宮のイレギュラーである炭鉱にこのままで行かせるのはギルド側としてもちょっと...崩落があったってことは何かしら問題があるかも....てなわけで、」


「俺にパーティーに入れ、ってこと?」


「リクさんにしては冴えてますね!その通りです。本当ならニートでクズ野郎のリクさんにギルドは期待してないのでこんなことは言わないんですが、まぁ、手紙の件もありますし?あちらのパーティーさんは全員Eランクですので一人くらいFランクのリクさんが入っても問題ないかと!」


「って今の手紙でアリナちゃんは判断したわけね...」


「はい!上には事後報告になりますがまぁ二層ですしそうそう問題もおこらないでしょう!」


「う〜ん、フラグ臭....まぁ手紙の時点でだいぶきな臭いけど...」


そもそもこのタイミングだ。十中八九エナが何か仕掛けているとは思うが...。交渉は明日、と決めたはず...。何か企んでるのか...?


「ふらぐ臭....?リクさんの体臭のことですか?」


「違ぇよ!うちの故郷の伝わる言い回しだよっ....てか俺臭う?」


「時々焼肉臭いです!」


「....それは体臭じゃなく単なる煙の残り香だ」


「まぁ、とりあえず御託はいいからさっさと働けやボケ、というのが私の本音です!」


「あぁ、うん、まぁ知ってた。...こっちとしても微妙に手紙は気になるから参加はさせてもらうよ。」


「了解です!ではパーティーの方々に連絡してきますので、できるだけ迅速に準備をお願いします」


「....わかった。じゃあ1時間後にまた来る。」


 昼飯は食えないか.....まぁすぐ終わるだろ...


「了解です!ビビってトンズラこくなんてダサいことはしないでくださいね!」


「アリナちゃんの僕への評価がなんとなくわかってきたよ....」



 明日会うと言ったのに手紙をよこしたリナの野郎。どうもきな臭いな。


 たかだか二層の炭鉱になにがあるってんだよ...。


 ったく、誰が好き好んで潜んなきゃいけないんだか。






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