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羽化を拒む蛹  作者: Yuu
1/6

始まり

見守って頂けたら幸いです

影に産まれ 影に生き

蛹は眠り 羽化を拒み

殻に満ちた泥水の中

ただ 外の輝きを 見つめている




ーー呪われてしまえばいいと思った。

泣き続ける夜道を、振り返らずに走り抜ける。

視界の端で、次々と散りゆく桃色の花弁。

踏み躙れば、無惨に零れ空を見上げる八重桜の、小さな悲鳴が聞こえた。

頭蓋を揺さぶる動悸を無理矢理抑えつけ、体内を駆け巡る熱を耳の裏に感じる。

視認することの出来ない黒い霧に足首を掴まれ、耳打ちをされた。


貴方、最低ね。


違う。理解したくない。この罪の重さを、認識したくない。


目の奥がじりじりと焼け、やがて目の前はぐにゃりと捻じれていく。

生暖かい、春と夏の裂け目。


あたしは、友達を見捨てた。


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