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始まり
見守って頂けたら幸いです
影に産まれ 影に生き
蛹は眠り 羽化を拒み
殻に満ちた泥水の中
ただ 外の輝きを 見つめている
ーー呪われてしまえばいいと思った。
泣き続ける夜道を、振り返らずに走り抜ける。
視界の端で、次々と散りゆく桃色の花弁。
踏み躙れば、無惨に零れ空を見上げる八重桜の、小さな悲鳴が聞こえた。
頭蓋を揺さぶる動悸を無理矢理抑えつけ、体内を駆け巡る熱を耳の裏に感じる。
視認することの出来ない黒い霧に足首を掴まれ、耳打ちをされた。
貴方、最低ね。
違う。理解したくない。この罪の重さを、認識したくない。
目の奥がじりじりと焼け、やがて目の前はぐにゃりと捻じれていく。
生暖かい、春と夏の裂け目。
あたしは、友達を見捨てた。