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五月五日--私の信じるもの--

 楓ちゃんと私が親交を深め始めたのはいつ頃のことだったでしょうか? あれはそう、私たちが同じ小学校に入学したばかりのことでした。


 当時の私は現実と空想の区別があまりついていないというか、非常に夢見がちな少女でありました。……まあ今でもそれに近しい存在であると言えないこともないのかもしれませんがその話は置いておくとします。

 友達を百人作る! 不思議なマスコットに出会って魔法少女になる! お姫様になって素敵な王子様と運命的な出会いをする! などなど、今思えば微笑ましい夢物語を周囲に吹聴して回ったものです、お恥ずかしい。

 そんな私の妄想話を、いつもいつも、呆れることもなく聞いてくれていたのが楓ちゃんでした。


『つららちゃんのお話は夢いっぱいで聞いてるととってもわくわくする!』


 それに気を良くした私は、楓ちゃんと一緒に町中を探検して、色々なものに妄想設定を付与して遊んでいました。


『この家の犬は満月の日には人間になるんだよ』

『どうして?』

『だって犬小屋の中に靴がたくさん入ってるもの。あれは人間になったときにはくんだよ』

『なるほど!』


『あの山のてっぺんには宝石がたくさんあるはず』

『なんでそんなことがわかるの?』

『この川ってあの山の上から流れてきてるらしいの。そして私のきれいな石コレクションはこの川で拾ったものなの。つまり、きれいな石が流れてくる先であるあの山にはもっといっぱいきれいな石があるんだよ!』

『すごい!? そうとしか考えられない!』


『ここの公園の池には怪獣が住んでるんだよ』

『まさかー』

『だってここの池、大きいわりにお魚が泳いでないでしょう? 怪獣がみんな食べちゃってるんだよ』

『怖い!』


 無邪気なものです。でもそんな毎日が当時はとても楽しかったものなのでした。探求心が過ぎて、怖い目にあったこともありました。でも、ずっとこんな日が続けばいいのにと思っていたものでした。


 楓ちゃんは、私の大事な親友なのです。これまでも、そしてこれからも。

 だからきっと大丈夫。何があっても私たちの関係が壊れたりはしない。



 そして小宮山君は話を続けます。

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