五月五日--楓ちゃんに連れられて--
さてさて。新たなる決意を胸に、私のゴールデンウィークが本格的に始まることと相成りました。お母さんの朝ご飯を食べて、お洋服を着替えて、私は玄関のドアを開けはなちます! お母さんにドアは静かに開けなさいと怒られます! ごめんなさい!
ぷー、まったくお母さんときたらしょうがないものですねえ。言わば、娘が旅立ちの時みたいなものなのに出鼻を挫いてくるのですから。
さてさてさて。今度こそ遂に改めて、私は外の世界へ飛び出します!
「つらら、こっちに来なさい」
あれ? 玄関を出てすぐに、私は楓ちゃんに手を引かれて走り出しました。昨日はどこで何をしていたの? 私を何処に連れて行くの? などなど聞きたいことは山ほど沢山なのですが、有無を言わせぬ楓ちゃんの勢いに私は気圧されて、何も言えずにいます。
決して! 日頃の運動不足がたたって息が上がり、何も喋れないわけではありませんから! これくらい余裕ですから!
でも楓ちゃん、運動部の貴方と帰宅部の私では基礎体力が大いに違うことをしっかりと理解してくださいね。お願いします……。
そして願わくば、早い内に目的地に着いてください。