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第1章 第1話(第8話) ~最初の一歩、レベル2を目指して~

走ることでレガシィの経験値が溜まり、車体や機能がレベルアップ。

いよいよ異世界ドライブの本編がスタートします。




異世界なんて悪い夢だった・・・・・・・




「そう思っていた時が、俺にもありました・・・・」


具体的は4時間くらい前だが。



『朝~、アサダヨォ~、朝ごはん食べてドライブ行くぞぉ~~♪』


なぜか、俺と抱き枕との間に入り込んで真横にいるレガ子が、ウィンドウズ95、98時代の某名作エロゲに登場するヒロイン謹製ボイス目覚まし時計からインスパイアされたような台詞を吐いている。


喧しいのでレガ子の口に右手の人差し指を突っ込んで黙らせ、左手で本来の目覚まし時計を掴み、現在時刻を再度確認する。


午前9時・・・。


レガ子め・・・

〝4~5時間たったら起こしてくれ〟と言ったら、短い方の4時間で起こしやがったな。


寝不足のために重い思考を振り払いながら起き上がろうとすると、レガ子が恍惚とした表情を浮かべて俺の指を舐めていた。


チュッパ♪ チュッパ♪

「朝からこんな大きいのをレガ子のお口に突っ込むなんてぇ」



はぁ


頭が痛くなってきた・・・・・







30分後・・・・


亜空間庫イベントリと化したレガシィのラゲッジボックスから、キャンプ用の水タンクとバッテリー内蔵型のポータブル多機能電源、電気ケトルを取り出した俺は、朝飯がわりのカップラーメンを食べていた。


ちなみにレガ子は、聖剣スマートフォーンの一撃を受けてラゲッジルームの床でてのびている。


そのスマホには、寝る前に出したメールの返事がいろいろと来ていたが、その多くが『どこで油を売っている。さっさとBBQ会場に来い!』という内容だったため、とりあえずは無視することにした。



「しかし、この亜空間庫イベントリの管理システムは面白いな・・・」


ノートPCのディスプレイ部分を分離し、タブレットモードでレガシィのアクセスポイントへWiFi接続。

すると、ネットワーク接続先の一覧に〝イベントリ〟という名称のデバイスが表示された。

そのイベントリのアイコンをダブルクリック(タップ)して開くと、亜空間庫イベントリに収容した品々のリストが、収容物をデフォルメしたアイコンと一緒に表示される。

さらに、収容物のアイコンを右クリック(長押し)するとサイドメニューが現れ、〝取り出す〟を選択するとラゲッジボックスの上の空間にその収容物が〝ポン〟と言う感じで実体化してくるのだ。


とりあえずコーヒーが飲みたくなったので、〝インスタントコーヒー「マ○シム・アロマセレクト」(100/100)〟と〝グラニュー糖(100/100)〟を取り出して、電気ケトルに残っていたお湯でモーニングコーヒーを作る。


ちなみに亜空間庫イベントリから取り出したものは、1分間くらいラゲッジボックスの上の空間に浮かんでいるので、その間に受け取る事が出来る。

また時間内に受け取りが行われなかった場合は、そのまま亜空間庫イベントリに再収納されてしまう。


一度取り出した物や新たな物を亜空間庫イベントリに入れる場合は、ラゲッジボックスの上10センチ以内に品物を持っていくことで可能。

するとラゲッジボックスから光が出て引き込まれる感じになるので、そのまま手を離せば亜空間庫イベントリに収納される。


2杯目のコーヒーをつくり、残ったインスタントコーヒーとグラニュー糖を亜空間庫イベントリに戻すと、タブレットPCのイベントリウィンドには〝インスタントコーヒー「マ○シム・アロマセレクト」(95/100)〟と〝グラニュー糖(99/100)〟という名前のアイコンが再表示された。

おそらく品物名の後の分数は、最初にイベントリが品物を認識した時の内容量を100%とした場合の残量表示だろう。


ちなみに箱買い(12個入り)したカップラーメンの残りを戻すと〝ホーム○ン軒・合わせ味噌(11/12)〟と表示されたので、こっちはパーセントではなく個数表示のようだ。

なおポータブル多機能電源や電気ケトルなどは品物名しか表示されなかった。



遅めの朝食をのんびりと済まし、レガシィの先に伸びている道を眺める。


文明レベルは中世ヨーロッパくらいと聞いていたので、あまり期待はしていなかったが、路面の状態はかなり悪い。

時折荷馬車などが通るのだろう・・・

車輪が通った轍などの痕跡があるが、現代日本人の感覚から見ればかなりの悪路だ。


「これは、ランカスターでも走るのに苦労しそうだな・・・」


ちなみにランカスターというのは、愛車のBH型レガシィをベースにオフロード踏破性をプラスした車種の事だ。

自分のレガシィは車高こそ下げていないが、基本的にはオンロード向けの車両だ。

オフロードにも対応可能な四輪駆動車とはいえ、この凹凸の激しい道を走るのは骨が折れそうだ。


「言葉どおりに骨(車両の部品)が折れないといいのだが・・・」


クルマとしてご老体に入ってしまった愛車の状態が気になり、下回りを覗き込む。

すると、各々のパーツがやたらとキレイで状態が良い事に気がついた。

まるで新車のような状態の下回りだ。


この子レガシィなら、異世界に移動するときに女神様が新車の状態に若返らせてくれましたよ」


復活したレガ子がいつの間にかすぐ後まで来ており、空中に浮かびながらレガシィのフェンダーを撫でていた。


「マジでか?」


「はい。

 ですのでパーツ劣化や金属疲労の心配はないはずです」


女神、グッジョブ!


異世界に来た直後は俺の中で暴落していた女神様の株価が、後半になって急上昇しているような気がする。

ただ、何かの拍子にまた暴落しそうでもあるが・・・。


「とはいったものの、この道は大変だぞ」


視線をレガ子から路面へと向ける。

レガ子も状況を認識しているようで、真剣な表情へと変わる。

少なくとも日本の林道のように軽快に走行する・・というわけにはいかないのが一目瞭然だった。


「とりあえず最初のレベルアップまでは慎重に走りましょう。

 レベルアップさえすれば、獲得したポイントをスキルに割り当てて、この子レガシィの強化もできますから」


「強化ねぇ・・・・」


強化の内容がどのようなものかは知らないが、ボディ剛性が上がるくらいでは役に立たないような気もするが・・・・。

ま、実際にレベルアップして確認すればいいか。


「で、どっちに向かいます?」


俺の前に回りこみ、同じ目線の高さに浮かんだレガ子が、笑顔で問いかけてくる。


「Uターンも面倒だ。

 前に進むぞ」


「はいっ♪」


返事を返してきたレガ子の笑顔は、眩しいくらいに魅力的だった。












約3時間後・・・・


凹凸が激しい路面に四苦八苦しながら、なんとか10kmをレガシィで走行して最初のレベルアップに必要な10ポイントを獲得。


軽い障害物競走のような路面状況に翻弄されてしまい、速度が出せずに予想以上に時間が掛かってしまった。


常にギアを1速、2速、3速と頻繁に入れ替えながら運転していたため、そのたびにクラッチを踏んでいた左足は、ふくらはぎが疲労でパンパンになっている。


明日起こるであろう筋肉痛の事を考えると少々鬱になる。



とりあえずは、レベルアップのファンファーレと共にナビの画面に表示されたスキルアップ案内の画面を、レガ子と共に見ることにした。


【レガシィ(種族:自動車)】

【獲得ポイント:4ポイント(合計:4ポイント)】


【現時点でポイント割り当て可能なスキル】

【追加装備(レガ子用シート):1ポイント】

【車体変形(車高リフトアップ・レベル1):2ポイント】

【車体変形(ビッグタイヤ化・レベル1):2ポイント】

【車体変形(オーバーフェンダー化・レベル1):2ポイント】

【追加装備(ラリー用ボンネットライト):2ポイント】

【追加装備(ルーフバー):2ポイント】

【追加装備(ダブルチューブバンパーガード・フロント):3ポイント】

【追加装備(ダブルチューブバンパーガード・リア):3ポイント】

【車体強化(ボディ硬質化・レベル1):4ポイント】

【車体強化(ガラス硬質化・レベル1):4ポイント】

【車体強化(アンダーガード硬質化・レベル1):4ポイント】

【タイヤ強化(防弾・防刃化・レベル1):4ポイント】


〝ドノスキルニポイントヲワリフリマスカ?〟





「これってどういう意味だと思う?」


「そのままじゃないですか?」


「でも〝変形〟って、クルマがどういう状態になるんだ?」


「わかりません」


「あと〝追加装備〟て、そのパーツはドコから出てくるんだ?

 それに取り付けとかどうするのよ?」


「う~~ん・・・

 選んで実行してみれば分かるんじゃないでしょうか」


たしかにそうだな・・・

レガ子と二人で悩んでいても、分からないものは分からないわけだし。

実際にこの目で見て確認するしかないか。


「それで、オーナーさまはどれを選びます?」


この先もおそらくこんな悪路が続くはずだ。

であれば、最初に選ぶものは決まっている。


「コレとコレだな」




今回もエロゲが元となったネタを埋め込んでしまいました(苦笑。


亜空間庫イベントリの管理システムは、結構便利なものを考える事ができたと思うのですがいかがだったでしょうか?

弱点をあげるとすれば、タブレットPCなどでアクセスしないと、取出しができないことでしょうか。


さて、主人公が選択したスキルアップはどれだったののでしょうか?

まぁ、悪路での走破性を考えるなら、おのずと選ぶのが決まってくるはずです。

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