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第2章 第24話(第70話) ~遺跡探索 その6・これはハーレムルート?~

遺跡内部でのお話しが長々と続いておりますが、この場所でイロイロな状況を一気に動かしてしまうつもりなので、もうしばらくだけお付き合いください。

今回もギリギリの脱稿だったので、誤字や脱字の見落としが怖いです・・・(汗)。


ところでサブタイトルにも使ったハーレムルート・・・。

エロゲをプレイしていると、ときどき「このルートが実装されないかな?」と憧れを抱いてしまうことがあります(苦笑)。

個人的に好きだったハーレムルートは、戯画から発売された「DUELSAVIOR JUSTICE」で新要素として追加されたルートでしたね。


「まぁ、だからだ。

 俺はこの世界での旅を楽しみながら、そうした危険性の芽を摘んでいくことにしたわけだ。

 俺の世界(ふるさと)と一緒にお前たちが住むこの世界も救ってやるから、そう暗い顔をするな」


 そう言って、不安の表情を浮かべていた子供たちに笑って見せ、それぞれの頭を軽く掌で叩いた。

 すると、クリスはそんな俺を見て大きくため息をついた後、何かを決心したかのように顔を上げて俺を見据えた。


「カオル殿、交換条件じゃ。

 この遺跡に関してカオル殿の意見を認める代わりに、(われ)からの要求ものんでほしい」


 俺はクリスが出した提案に頷き、彼女がどのような条件を口にするかを待つことにした。


(われ)の要求は・・・・・」





「カオル殿の出自や事情を聞いて、ますます我が国に引き留めておく必要があると感じた。

 この遺跡の管理についてはカオル殿の意向に沿うように、(われ)が責任をもって父上や母上、伯父上らを説得する。

 なのでカオル殿には(われ)の伴侶となって、この国に居続けてもらいたい」


「はいっ?」


 俺はクリスからどんな厳しい条件が出されるかと身構えていたのだが、彼女が口にした条件を聞いて拍子抜けしてしまい、思わず聞き返してしまった。


「だから、早急に(われ)夫婦(めおと)になれと申しておるのじゃ!」


「それって、今の関係とあまり変わらないんじゃないのか?」


「今の(われ)がカオル殿と結んでいる〝婚約〟の話しは、(われ)が一方的に言ってるだけの口約束みたいなものじゃ。

だから・・・だからじゃ、カオル殿には早々に(われ)と婚姻の約束をしてもらい、王都に戻り次第すぐに式をあげてもらいたいのじゃ」


 顔を赤らめながら、やや慌てた様子で話すクリスの態度が可愛らしく見えて、思わず笑みをこぼしてしまった。


「な、なんじゃ!

 (われ)が真剣に・・・し、真剣に・・・きゅ・・・求婚しておるというのに、なぜカオル殿は笑うのじゃ!」


 が・・・俺が浮かべた笑いはクリスには違う意味に見えてしまったようで、今度は頬を膨らまして怒りだしてしまった。


「ごめん、ごめん・・・別にクリスの事を変な意味で笑ったわけじゃないんだ。

 ただ、必死な姿が可愛くて・・・ついなっ」


「そんな風に可愛いなどと褒めても誤魔化されんぞ。

 で・・・返事はどうなのじゃ?」


「本当にそんな条件で、俺やリーゼがやろうとしていることに協力してくれるのか?

 クリスの事は本当に可愛いと思っていたし、少し前までは婚約してもいいかなと思っていたから、その条件は俺にとっては嬉しんだけど・・・」


 うん、もうロイドの屋敷に泊まったあたりから「俺、もうロリコンでいいや」と開き直っていたからね・・・クリスやアリシアと結婚すること自体はすでに気にしていないんだよね。

 どうせここは日本じゃないんだし、元の世界の倫理観に必要以上に囚われることもないだろうし。


「では、何をカオル殿は気にしておるのじゃ?」


「その条件だと俺にメリットがありすぎて、クリスや王国側にメリットが無さすぎるんじゃないのか?」


「そうでもないぞ、少なくとも我が国はカオル殿を手元に置いておくことができるからな、カオル殿が持つ異世界とやらの知識が他国に渡ることを阻止することができる。

 しかも、その知識で国が発展する可能性すら高い」


 まぁ、嫁さんの国を発展させることに貢献することは構わないんだけど。


「でも、急激な技術発達には危険は伴うから、そこはブレーキをかけるぞ」


「かまわん、そこはカオル殿のさじ加減に任せる。

 それに(われ)との婚姻でカオル殿の首に縄を付けさせてもらうのでな、申し訳ないが多少の不自由を強いる事にもなる」


 まぁクリスはこの国のお姫様だから、その夫となれば多少の制約が加わるのは仕方ないが・・・。


「王族に加われとか言うのは却下だからな。

 とてもじゃないが、俺は大勢の人の上に立つような器じゃない」


(われ)の見立てでは、そんなことはないとおもうがな・・・。

 安心しろ、(われ)が王位継承権を捨ててカオル殿へ嫁入りするから、その心配は無用じゃ。

 ただ、この遺跡の管理をカオル殿に任せるためには、国の魔導器開発機関に所属してもらい、それなりの地位についてもらう必要があるじゃろう。

 少なくとも爵位の授与は受けてもらわねばならんと思う」


 むぅ・・・レガ子のレベルアップのためにレガシィでこの世界を走り回らないといけないから、1つの場所に縛られるのはマズいな。


「俺はレガ子やリーゼとの約束で、いろいろな場所に行かなければならないんだ。

 行動の自由がなくななるような役職に就くのは無理だぞ」


「そうなのか?」


 俺の反論を確かめるように、クリスはリーゼに確認を取った。


「そうですねぇ~

 薫さんにはあちこちを走ってもらって、ココと同じような遺跡があれば封印してもらいたいですし・・・なによりも帝国が今復活中の魔導器を破壊してもらわないといけませんし~」


「ふむ・・・ではこの遺跡の管理職は魔導器開発機関ではなく父上の直轄にしてもらい、カオル殿の行動に制限があまり加わらないように交渉してみよう。

 なに可愛い一人娘のお願いじゃ、父上も無下にはせんじゃろう。

 ただし、爵位の授与だけは受けてもらわねばなんと思うので、ソレだけは覚悟しておいてくれ」


「爵位かぁ・・・正直面倒な感じしかしないんだけど。

 でも俺の自由を確保するための、そこまでしてもらっていいのか?

 クリスの立場が悪くなったりしないか?」


「心配ならば、(われ)の事よりも自分の事を考えた方が良いぞ。

 どう転んでもカオル殿の事を『姫の後ろ盾でのし上がった成り上がり者』とか、イロイロと誹謗中傷してくる輩がそれなりに出てくるはずじゃからな」

 

「そんな連中は無視するさ」


 クリスが指摘してくれた心配事に、俺は両方の手のひらを上に向けながら肩をすくめておどけて答えた。

 ふとクリスの横に座っているアリシアとミャウの方を見ると、二人ともなぜか頬を膨らませて抗議の表情を浮かべていた。


「二人ともどうした?」


「クリスちゃんだけ結婚式なんてずるいの!

 私だってお兄ちゃんと、ふ・・・夫婦の契約をしているんだから」


 そう言いながら着ていたブラウスのボタンをはずすと、そのまま肩から背中にかけて肌を露出するようにして半脱ぎになるアリシア。

 その状態で俺に背中を見せ「証拠だってあるんだから」と、先祖返り(エンシェントエルフ)の証である背中から出ている、俺の血でピンク色に染まった突起物を指差した。


「ちゃんと責任を取ってほしいの」


 その言い方は、イロイロと違う誤解を招きそうだから止めてほしいぞ。

 だいたい俺はお前たちの身体には、まだ手を出していない(はずだ)ぞ。


「わ、分かったから、アリシアはとりあえず服をちゃんと着てくれ」


 上半身が半裸状態になったアリシアから慌てて顔を背け(でも目はしっかりとその背中や膨らみかけの胸を見ていたりもするのだが)、服を着なおすように指示を出す。

 すると、今度はその隣に座っていたミャウの目に涙が浮かんでいた事に気がついてしまった。


「ボクは(あん)ちゃんとの約束とか無いけど、ボクだけ仲間はずれは嫌だにゃ・・・」


 そのまま泣きはじめてしまったミャウをなだめる方法が思い浮かばず、彼女へかける言葉が出ずにシドロモドロになってしまった俺の前で、クリスがとんでもない爆弾を落としてくれた。


「大丈夫じゃ。

 ミャウ殿もカオル殿との婚姻の儀式はとっくに済ましておるぞ」


「「えっ?」」


 クリスが口にした説明に、当事者のミャウだけでなくアリシアまでも驚きの声を上げた。


「そ、それはどういうことだ?」


 そして俺も少し動揺していた。


「ミャウ殿は、同じネコ族の婚礼の儀・・・結婚式を見たことはあるかの?」


「うん、あるにゃっ。

 半年くらい前に、お隣のパトリお姉ちゃんが、父ちゃんの部下のアル兄ちゃんと結婚したにゃ」


「その結婚式の中で、パトリ殿とやらがアル殿に契りの誓いを行ったはずじゃが、どのようにして誓いを行ったか覚えているかな?」


 クリスの質問を聞いて、当時の事を必死に追い出そうと腕を組んで考え込むミャウ。

 その格好のまま5分間くらいくらい考え込んでいたが、何かを思い出したのか「あっ!」と勢いよく顔を上げた。


「アル兄ちゃんが自分で腕に剣で傷をつけて血を流して、それをパトリお姉ちゃんが舐め取ったにゃ!」


「それじゃ・・・夫となる男性の血を舐めて体内に取り込む行為が、ネコ族に伝わる婚姻の儀のしきたりだと(われ)は聞いておるぞ。

 で・・・だ、(われ)の記憶が間違いなければ、ミャウ殿はすでにカオル殿の血を舐めていると思うのだが?」


「俺はミャウに自分の血なんか飲ませたことないぞ」


 今度はミャウだけでなく俺までもが一緒になって考え込んでしまった。

 俺がミャウ達と出会ってからまだ10日間ほどだとおもうが、自分の血をミャウが舐めた事なんてあったっけ?

 少しずつ過去に記憶を遡らせながら思い当たる出来事を一つ一つ頭の中で検証していると、今度はアリシアが「あっ!」と小さな声を上げて自分の掌を右手の拳で叩いた。


「私たちが初めてお兄ちゃんに出会った時の事だよ。

 あの時お兄ちゃんがお腹に大けがをして、私が治癒魔法で手当てした後にミャウちゃんが・・・」


「あ・・・ああっ!」


 アリシアの話を聞いて俺も思い出した。

 そういえばあの時、アリシアの魔法で塞がったばかりの傷口の周りについていた大量の血を舐めていたような気がするぞ。

 (第1章・第15話参照)


「そういえば、(あん)ちゃんの傷を舐めてきれいにしてあげた覚えがあるにゃっ♪」


「つまり、そういう事じゃな」


 先ほどまで泣いていたミャウが、今度は目に涙を浮かべて喜びはしゃぐ姿を見て、クリスが「クスクス」と笑いながら俺の方に視線を移した。


「カオル殿は自分が気が付いていなかっただけで、出会ったその日のうちにミャウ殿とアリシア殿との婚姻の儀式を済ましていたわけじゃ」


 そのクリスの言葉を聞いて、俺はガックリと項垂れるしかなかった。

 次の目的地である獣人自治区に行くのが、ものすごく気が重くなってきたぞ。

 ミャウのご両親に会うのがとても怖い。


「つまり(われ)だけがカオル殿との正式な絆がないのじゃ・・・。

 婚姻を急ぐ(われ)の不安な気持ちを、少しは分かってくれたかな?」


 すぐ近くでクリスの声が聞こえた気がしたので慌てて顔を上げると、いつの間にか隣に移動してきたクリスが俺の瞳を覗き込んでいた。


「でも、クリスちゃんだけ結婚式をするのはやっぱりずるいの!」


「わかっておる。

 なのでな・・・(われ)だけでなく、アリシア殿、ミャウ殿、レガ子殿、なんならリーゼ殿も一緒になって全員で合同結婚式を盛大に行おうと思っておるのじゃ」


 そのクリスの提案に、今度はアリシアとミャウが目を丸くして驚いていた。

 というか、なぜそこでリーゼまで顔を赤くしてオロオロしているんだよ・・・。


「でもいいのかなぁ・・・クリスちゃんはお姫様なんだよ。

 それなのに私のような平凡な村娘が一緒に結婚式に参加しても・・・」


「気にするでない、気にするでない。

 それにこの方が〝王族も平民も、人族も亜人も平等に扱う夫〟として、カオル殿の国民ウケが良くなるはずじゃ。

 なので、カオル殿の評判を上げるためにも、できる限り盛大に式をしたいと考えておる」


 王族のクリスと同じ舞台に立って結婚式を行うことに及び腰にになっていたアリシアの不安を、クリスが盛大に笑い飛ばした。

 そして、そんなクリスの大胆な提案に、アリシアの笑みが若干引きつっていた。


「それにじゃ、(われ)はこれを機に、貴族の内部に少なからず残っている〝ヒト族優越主義〟の思想を少しでも排斥したいと思っておるのじゃ。

 そっちの方面でも、カオル殿には期待しておるからのっ♪」

 

 そう言って俺にウィンクを送るクリスを見て、俺は盛大にため息をつくしかなかった。


「お前は本当に10歳の女の子か?

 俺が居た世界の10歳の少女は、そんな大人びた策略や政略を考えたりはしないぞ。

 実は中身が前世の記憶を持った転生体とかで、精神年齢が俺より上だったりとかしないだろうな?」


「失礼なっ!

 (われ)は正真正銘のリアル10歳だっ!」


 俺とクリスは1分ほどの短い時間睨み合い、やがてどちらからともなく笑い出した。


「わかった、クリスの提案にのっかてやるよ。

 全員俺の嫁として貰ってやる!」


「本当だな!

 約束をたがえたら承知せんからなっ!」


「お兄ちゃん、うれしい・・・」


「やったぁ!

 ボクもこれで憧れのお嫁さんだにゃん♪」


「ポッ・・・」


 全員との結婚を俺が承諾したことで、3人の娘っ子たちは手を取り合って喜び合っていた。

 まぁ正直なところ、この中から一人だけを選べとか言われても選べる自信がないだけに、全員と同時に結婚ができるのはありがたくもあった。

 一夫多妻制で結婚年齢が低い異世界バンザイ!


 あとリーゼさん・・・幼竜をぬいぐるみのように抱きしめながら顔を赤らめて、恋する乙女のような表情を浮かべるのやめてください・・・。

 俺的にはリーゼもアリだとは思っているけど、女神としてその態度でいいのか見ていて不安になるよ。


『話しは全部聞かせてもらったのっ!』


 俺が異世界の婚姻制度の素晴らしさについて思いをはせていると、部屋の中でホバリングをしていたドローンからレガ子の声が突然響き渡った。


『レガ子も含めての合同結婚式をするのなら、なにも文句はないのっ。

 というか、ほぼレガ子の目論見通りの展開なので大歓迎なのっ』


「おいっ」


『人間と同じサイズになれたとしても、肉体を持たないレガ子には薫さまの子供は生めないのっ。

 だから薫さまの子孫を残すためにも、現地妻の必要性は感じていたのっ』


「マテこら」


 俺の予想の斜め上をいく計画を立てていたレガ子の考えを聞いて、ちょっと頭が痛くなってきた。

 そういえばこの手の話しに、あの焼きもち屋のレガ子が何も口を出してこなかったことを疑問に思うべきだった。


『そんな事よりも、あと1時間もすれば第5騎士団の新米竜騎兵が到着しそうなのっ。

 ダンジョン探索が終わったなら、一度外に出てきてほしいのっ』


「了解だ。

 ココにある危険物を回収したら、上に行くよ」


 レガ子の声を発しているドローンに向かってそう答え、俺はリーゼに()()()()()の回収を指示するのだった。

レガ子「ハーレムルートへの分岐が確定なのっ!」


薫「いいのかなぁ・・・」


クリス「わが国の貴族では、奥方が複数いるのは普通の事じゃぞ」


レガ子「しかもロリロリ幼な妻ちっぱい天国確定なのっ!」


薫「嬉しいんだが・・・俺の中の倫理観が・・・・」


クリス「この世界では13~15歳くらいで嫁ぐのは一般的じゃぞ。

    しかも貴族なら、8~9歳の娘を政略結婚に出したり、迎えたりするのは良くある事じゃ」


薫「・・・・・・・」


作者「ところで、あっちの方でアリシアやミャウに混ざってリーゼまでウエディングドレス選びに参加しているが、いいのか?」


薫「もうどうとでもしてください・・・」

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